2017年10月01日

アリル位のC(sp3)-H酸化とC(sp2)の酸化の話

もうC-H activation(functionalization)が流行ってからだいぶ経ちますが、そもそもの大元のC-H官能基化はアリル位やベンジル位C-Hの酸化反応から始まっています。その理由は、お隣のオレフィンのπ軌道との相互作用によってたんなるC-Hであるはずが軌道相互作用のおかげで普通のアルキルC-Hよりも活性化を受けており、官能基化が容易であるためです。だからこそ何の活性化も受けていないC-H部位の官能基化が高難易度であり、現在も1研究分野として注目されており、界隈ではノーベル化学賞ワクテカってなっとるわけです。個人的にはまだまだ先だと思いますけどね、理由としてはここ2,30年の合成化学での受賞は大半工業化されてナンボな感じだからなので(だからこそ某アメリカにいるモジャってる人は工業的応用を推進していると予想)。←あ、完全にフラグなので発表後にプギャーしていいですよ

とまあそんなC-H官能基化の最新のものをまとめても面白くないので(何)、超古典であるアリル位sp3炭素のC-H酸化と、オレフィン側sp2炭素を参加してアリルアルコール類へと変換する反応について最近のものを含めておさらいしてみようかと思います。

ちなみにアリル位のC-H酸化反応の天然物合成への応用については総説があるのでそちらもご覧ください。

Allylic Oxidations in Natural Product Synthesis
A. Nakamura, M. Nakada
Synthesis 2013, 45, 1421-1451

allylicOxTop.jpg
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posted by 樹 at 00:28 | Comment(0) | 基礎有機化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月03日

エバポの話

新年度ですねえ。ピッカピカの一年生としてはラボ研究に心躍るですよすいません嘘つきました〇年生の老害です。

というわけで老害は老害らしく、研究室で汎用されるエバポの使い方の注意事項について。

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2015年07月29日

あなたはどれ派?立体化学の表記法色々

有機化学において分子を表記する場合、実線「―」、二重線「=」、三重線「≡」を使って結合を表記しますが、場合によってはそれ以外に立体化学というものを表す必要が出てきます。炭素原子でいえば飽和炭素はsp3の四面体構造を取るので、2辺を平面に取ると、残り2つの結合手は手前か奥に伸びていることになります。

くさび例.jpg

その表記方法として現在一般に用いられているのがくさび型で、黒塗りの高級車に追突してしまうくさびは紙面上側、つまり自分に向かって伸びている結合を、点線でできたくさびは紙面の後ろに向かって伸びている結合を表しています。

くさび見方.jpg

と言っても実際に一義的にくさびで表せ、と決まっているわけではありません。実際にはいくつかの流派にもにたタイプがあり、ある種派閥みたいなものにもなっています。

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2015年04月25日

カルボニル類の極性転換A:ヘテロ原子を求電子剤にする話

前回の続きー。

・カルボニル類の極性転換の話@:カルボニル炭素を求核種にする話

さて、前回はカルボニルを求核剤として反応を逆転させる手法を見てきたわけですが、カルボニル類は通常求電子部位として働くものです。ただし、求電子部位と言っても求核剤が反応する部位は酸素などのヘテロ原子ではなく、根元の炭素原子が求電子部位になるのがごく一般的な有機化学。これを逆転させる、すなわち、炭素ではなくヘテロ原子部位に求核剤を付加させる前回と違った極性転換手段はないのでしょうか。

umpolung_intro2 addition.jpg

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2015年04月23日

カルボニル類の極性転換@:カルボニル炭素を求核種にする話

男らしくとか女らしくとかどうでもええんじゃああああああ!!!!(_・ω・)_バァン


冒頭からいったい何に怒ってるんだかわかりませんが、別に「○○は○○らしく」とか正直どうでもいいですね。どこぞのなんちゃらパートナーシップなんちゃらとかで家庭が滅びるとか自然に反するとかなんだとか、はたまた女装やら男装やらはなんやかんやと言ってる人いますけど、別に毒ガスを吐いて回ってるわけじゃあるまいし、別にそうしたいんだからそうすりゃええじゃないですかね。推奨するのもなんか違うとは思いますけど、それを認めないとか否定に走るとか異端扱いするとか嘲笑目的で取り上げるとか、ずいぶん偏狭やなあと思う次第。

でそれはそれとして。高等生物の人間でなくもっとシンプルな系、有機分子だってその極性に起因する「普段はこう」という通常の反応性とは全く反対の性質を持つこともできます。分子だってたまには「○○らしく」ないこともしたくなるもんです。

このように分子の性質、極性を逆転させることを極性転換(umpolung)と呼び、通常の有機化学ではできない結合生成を可能にするなど、分子変換をより柔軟かつ幅広く行えるようにする優れた合成戦略として知られています。今回はその中で、重要な反応性官能基であるカルボニル類の極性転換についてまとめてみました。

なおこのumpolungという用語、元は当然ドイツ語(反転)からきてるんですが、ドイツ語だと名詞の最初は必ず大文字にする決まり。でもこの場合完全に化学英語化してて小文字にしないといけないのでなんか気分的にもやっとする私。
ちなみに女性名詞(die Umpolung)。

umpolung_intro.jpg

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posted by 樹 at 10:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 基礎有機化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする