2012年11月10日

論文査読にどれくらいかかる?

やあみなさん! Reject & Reject、俺でーす!(゚∀。)
こんなのってないよ!
次回よりブログタイトル「たゆたえども沈まず」改め「もうゴールしていいよね」が始まりますのでこうご期待!

そんなことはさておき、一球入魂ならぬ一報入魂で投稿した論文が採択されるかどうか、その審査結果通知は非常に待ち遠しいものがあります。が、よく審査結果がなしのつぶてでまるで返ってこないとかそういった話も聞きますし、余りに長いと放置されてるんじゃないのかと思ったり。個別の話はボス等から聞こえては来ても全体の傾向等はなかなか見えてこないものです。その論文査読に関して面白い論文があったので紹介しようとおもいます。

続きを読む
posted by 樹 at 00:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月01日

2量体天然物の話

複雑な構造を有していることの多い天然有機化合物ですが、繰り返し構造のないものばかりではありません。同じ基本骨格が2つ3つと繰り返しで出来ているものも多く知られています。一か所でつながったものから、大環状ラクトンを形成する形で2量化しているもの、2量化した後に片側だけ骨格変換して非対称化したものなど色々あります。あの有名なモルヒネにも2量化したbismorphineというものが知られていたりするのです。
また、ニガヨモギに含まれ、アブサンパスティスと言った香草系リキュールの苦味成分でもあるabsinthinという巨大なテルペンも[4+2]のDiels-Alder反応によって2量化して出来ています。
わぁい濃いお酒、管理人濃いお酒大好き(酒の話はもういい

というわけで今回は2量化した天然物について。
bismorphine A.jpg
absinthin.jpg
続きを読む
posted by 樹 at 18:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月12日

2次軌道相互作用なんてなかった?

「嘘乙!」「はいはいエイプリルフールエイプリルフール」とか思わないでちょっと待つんだ。大体4月1日過ぎてるし。

ペリ環状反応の代表格と言えば[4+2]のDiels-Alder反応。反応機構も一般的な反応とは異なり、ジエン―ジエノフィルの軌道エネルギーが大きく左右し、一挙に反応が進行(協奏的、「競争」ではない)する反応です。一挙に環状骨格を形成でき、しかも信頼度の高いこの立体選択的反応は天然物を含め様々な縮環化合物の合成にこれでもかと用いられてきました(でもやったことない私(´・ω・`)

その反応機構の特殊性もあって普通では起こらない選択性も見られます。それがEndo則であり、立体障害の大きい付加体が、立体障害の少ないExo体に優先して速度論的に得られるというものです(ただし分子内D-Aは立体的な制約がつくので別の話)。

Diels-Alder 1.jpg続きを読む
posted by 樹 at 11:00 | Comment(3) | TrackBack(0) | 有機化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月01日

全合成したはず・・・?の話

天然有機化合物の合成屋さんのお仕事(?)は、物取り屋さんが天然から採取、単離し推定した構造を参考に、その分子を人工的に合成することです。なんで天然にあるものをわざわざ作るのか?と問われれば、生理活性に重要な絶対立体化学の決定、実際に利用するための量的供給法の確立、そして提出された推定構造があっているかどいうかを確認する、という重要な意味があります。なんで推定構造をまた合成すんの?もうそれで構造出てるじゃん、と思うでしょうが、実際には提出構造した構造が間違っていることは多々あり、全合成によって構造が訂正された例はたくさんあります。これに関しては以下の総説をご覧ください。

@
Chasing Molecules That Were Never There: Misassigned Natural Products and the Role of Chemical Synthesis in Modern Structure Elucidation
K. C. Nicolaou, Scott A. Snyder
ACIE 2005, 44, 1012–1044


A
Survey of marine natural product structure revisions: A synergy of spectroscopy and chemical synthesis
Takashi L. Suyamaa, William H. Gerwickb, Kerry L. McPhail
Bioorg. Med. Chem. 2011, 19, 6675-6701


なんだよ、構造間違えてるのかよ!とか思っているかもしれませんが、そもそも自然界に存在する目的成分は超微量であり、しかも複雑な骨格を有した分子が出来上がっている状態。これをそのまんまの状態で各種分析を行ったり、木端微塵にならない程度に変換してまた分析・・・目で構造が見えれば何の苦労もしませんが、そんなものは見えるわけもなく、どんな構造をしているかのヒントもないまま形を創出していく苦労は計り知れない物があります。

と、そんな天然物の構造が正しいかどうか、ここで全合成屋さんの登場というわけです。構造の分かっている分子から段階を経て、確実に一歩ずつ骨格を増設していき、最終的に提出構造を合成し、それが標品の分析データと合致するかどうか、これを確かめるわけです。これにより、目的の分子の形が確実なものになるわけです。

が、


なぜか全合成した・提出構造を合成した、にもかかわらず、その分子の形について論争が展開されることもあるのです。何のどの話かは挙げませんが、全合成によって提出構造が正しいと決定されたはずなのに後発の全合成によってやっぱり間違ってることが判明したり、全合成によって提出構造が間違いだとわかって訂正されたはずなのに後発の全合成で実はそんなことはなかったことが分かったり、そもそも合成が嘘だったりということもあったりします。

まあ最後の例は論外として、せっかく一から分子を組んでいても、間の構造決定等で油断したり、先入観を持ったりするとこういうことに陥ってしまうことがあるのです。そんななかから一つ最近の話を。

続きを読む
posted by 樹 at 10:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月08日

天然物はどこまで歪めるか

なんだか鉄腕DASH!!みたいなタイトルですが。

天然に存在する化合物には様々な骨格を持ったものがいるのはご存じと思いますが、中には、一般的に優しくmildという印象のある自然界が作り出したとは思えないほどに思いっきりねじ曲がった分子も多数存在します。有名どころではBredt則に反するオレフィンを持ったTaxolCP-molecule、inside-outside構造のために関節技を決められたかのようにねじれた構造を持つingenol、平面のはずのベンゼン環がボート型にねじ曲げられたhaouamineなど、分子模型を組むにも苦労する分子も。人工分子ではキュバンやテトラヘドランなどが知られていますが、天然有機化合物はどこまでそれに近づけるのでしょうか。

cubane等歪み分子.jpg
続きを読む
posted by 樹 at 11:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする