2013年04月04日

博士論文のネット公開化と引用の話

年度始めから博士論文の話をするのもあれですが(いやむしろした方がいいのか)、4/1から博士論文のデジタルデータがインターネットでも公開されることになったそうです。

・学位規則の一部を改正する省令の施行について(文科省, 2013, Mar, 31 accessed)
国内博士論文の収集について(国立国会図書館, 2013, April accessed)

卒論・修論と違ってD論は国会図書館に収蔵公開される、ちゃんと論文の参考文献にも挙げていい著作物ですので他人に見られるという意味では今までと変わりはないし、デジタルデータも国会図書館で以前から見れたわけですが、ネットでアクセスできるという利便性の劇的向上からして、これまで以上にD論の閲覧が増えるのではないでしょうか。
となるとこれまで以上によその人に読まれることを考えてちゃんと書かないといけないのかもしれません。

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2013年03月10日

ジオトロピー転位の話

シグマトロピー転位は協奏的にπ電子を介してσ結合が移動する反応で、Claisen転位やCope転位、Wittig転位などが有名です。なお、シグマトロピー(sigmatropy)とはσ結合(sigma)が移動する(tropos:ギリシャ語で「移る」)という意味で、反応機構を別に表しているものではありませんが、ペリ環状反応のことを普通は意味します。

1 sigmatropic cope.jpg

こんな風に矢印で書くときれいに一周した後に単結合(と不飽和結合)が違う場所に移動しており、捨てになるものもないし見た目もきれいな反応のひとつです。

と、ここで疑問。上のように円を描いて矢印が一周し、結合が移動するのがシグマトロピー転位なわけですが、


(・ω・)
-----------------
     (・ω・)

こんな配置の二つの置換基が一度に

       三・ω・)ヒュン
  ----------------
ヒュン(・ω・三 

ってな具合に位置が入れ替わってしまう反応はないものなのでしょうか。ありそうでなくて、あったら便利そうな反応ですが、それが今回紹介するジオトロピー転位(dyotropic rearrangement)です。

2 dyotropic.jpg
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2012年12月20日

Sterically-hindered

有機合成は立体障害の化学と言ってもいいくらい、立体障害は様々な場面で考える必要が出てきます。たとえばSN2反応において、4置換炭素上で進行しないのは、三つの置換基による反応点の遮蔽ですし、それはネオペンチル位(4置換炭素の隣の炭素)になっても強く現れ、反応性を著しく落とします。
※但し、ごく一部の例では4置換炭素でもSN2が進行
(教科書を変える(かもしれない)SN2反応の話)


neopentyl.jpg


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2012年11月22日

モレキュラーシーブスは脱水剤か貯水剤か

また何をわけわからんことを、なタイトルですがそんな話。まあ脱水剤も貯水剤も見方が変わってるだけで結局同じこと言ってるんですけどw
だいぶ前にモレキュラーシーブス(モレシ)の話を載せました。通常脱水剤として多用されているモレシも実は酸や塩基として働くなど色々悪さ(?)をするという話です。

モレキュラーシーブスは塩基か酸性か

またモレシを添加することによる、脱水+αを利用した新たな反応の開発も行われています。

MS4A存在下でのDMSOの特性に着目した無触媒反応の開発
歩仁内広平、折山剛 有合化 2012, 1041-1053


上に載せたような副次的な作用はあるものの、やはりモレシは強力な脱水剤としての利用が圧倒的で、特に反応系内で逐次発生する水や各種有機溶媒の除去に利用されています。ヘタに蒸留するよりも活性化モレシを放り込んだ方が水分が少ないという結果もあります。

Drying of Organic Solvents: Quantitative Evaluation of the Efficiency of Several Desiccants
D. Bradley G. Williams and Michelle Lawton
JOC 2010, 75, 8351–8354


しかしモレシがトラップした水等はゼオライト空孔内に閉じ込められただけなので分解されているわけではありません。ということは捕まえた分子がチョイと顔をのぞかせて逆反応を起こしてもよさそうなもんです。そんなことあっては困りますが、なぜかモレシを入れたことで無水中なのに基質が加水分解した例がありました。
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2012年11月10日

論文査読にどれくらいかかる?

やあみなさん! Reject & Reject、俺でーす!(゚∀。)
こんなのってないよ!
次回よりブログタイトル「たゆたえども沈まず」改め「もうゴールしていいよね」が始まりますのでこうご期待!

そんなことはさておき、一球入魂ならぬ一報入魂で投稿した論文が採択されるかどうか、その審査結果通知は非常に待ち遠しいものがあります。が、よく審査結果がなしのつぶてでまるで返ってこないとかそういった話も聞きますし、余りに長いと放置されてるんじゃないのかと思ったり。個別の話はボス等から聞こえては来ても全体の傾向等はなかなか見えてこないものです。その論文査読に関して面白い論文があったので紹介しようとおもいます。

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posted by 樹 at 00:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする