よくアクセスがあるものをまとめておきました。右バーのカテゴリ別も参照ください。

レポート・実験データ等のまとめ
・研究室に貼っておくと便利な表などをあつめてみた(現在も随時更新追加中)
・検索・計算に使える化学サイトをあつめてみた
・特殊記号の出し方・ショートカットキーまとめ
・MS WORDショートカットや特殊アルファベットの入力法まとめ
・Powerpointのショートカットキー
・出版社ごとのオープンアクセス化費用をまとめてみた(有機合成化学向け)
・ネットコンテンツを参考文献に挙げる話
・情報ソースはウィキペディア、な論文の話
・タダで読めるけど・・・−オープンジャーナルのあやしい世界
・最近のOLのはなし

材料化学・自然化学・疑似化学
・ボーイング787の窓の秘密とクロミック材料の話
・アメフラシの紫汁の謎
・タコが光ってもいいじゃなイカ!−青い毒タコ・ヒョウモンダコ科の秘密−
・やけど虫の毒と抗がん活性
・世界一大きい花の臭いの話
・竜の血の赤、虫の赤
・撤回された天然竜血分子が全合成で確かめられた話
・はじけるキャンディ・ドンパッチの話
・危険なDHMO? SDS(MSDS)の話
・水を脱水した話
・高校生が高価な薬分子を格安で作った、という話
・創薬分子が天然から採れた!!と思ったら・・・な話

有機合成化学実験
・Swern酸化の利点
・光延"反転"の話
・実験、爆発:やってはいけない組み合わせ
・モレキュラーシーブスは塩基か酸性か
・TBAFにモレシな話
・モレキュラーシーブスの乾燥法で収率が変わった話
・原料の不純物で反応が行ったり行かなかったりした話

大学講義の初級有機化学
・フィッシャー投影式をジグザグ式に変換する方法
・ニューマン投影式の理解の仕方
・R/S表記やE/Z表記など

2016年11月15日

最近のアミド縮合法の話

有機合成のための反応は数あれど、最も基本的かつ古典的な合成反応のひとつはカルボン酸とアルコール・アミンからのエステル・アミド合成・脱水縮合反応と言えるかと思います。単純かつ古典的な反応ですが、身の回りにはペプチドやらなんやらとエステル、アミド分子がゴロゴロ転がっているため、創薬分子をはじめその合成の需要は極めて高いのは今も変わりません。カルボン酸とアルコールもしくはアミンを混ぜるだけでもエステルやアミドは出来ますが、加熱と過剰量の反応剤を使用しなければならないなど、効率は基本よろしくありません。そういった背景から、古くからあるアシルハライドに始まり、DCC、HATUなどなど、年を追うごとに高活性、安定、精製容易な新しい縮合剤が誕生しています。以前もボロン酸を利用した脱水縮合法を紹介しました(モレキュラーシーブスは脱水剤か貯水剤か)。他にも向山法、山口法、椎名法がありますが、これらはアミド化ではなくラクトン化、エステル化がメインに使われています。見た目複雑な反応剤ですが基本的にどれもやってることは同じで、カルボン酸から脱離能の高い部位をまず導入し、そこにアミンやアルコールをぶつけることで生成物を得ています。

縮合剤一般機構.jpg

縮合剤いろいろ.jpg

Oxymaってなんか響きがいいよね、「おきしま!」って書くとなんか今にもアニメ化しそう(何

それはさておき、今でも進化を続ける縮合剤に見られるように、縮合反応の開拓は基礎合成化学にしていまだ重要な研究分野でもあります。そんな縮合反応の中から、カルボン酸・エステルとアミンによるアミド合成について、最近の論文をいくつか挙げてみたいと思います。

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2016年10月08日

第一回国際ナノカーレース2016

(2016/10/8 NIMS日本チーム特設サイトや動画リンクを追加)

ノーベル化学賞が先日発表になりましたね。対象は分子ナノマシンでSauvage, Stoddart, Feringaの三氏が受賞、順当な人がとった印象です。カテナン、分子エレベーターにナノサイズの実際に動く分子自動車などなど、最小のマシンと言えばマシン、おもちゃといえばおもちゃな感じ。



と、そんななかその化学賞受賞者Sauvage教授の地元国フランスで、本ノーベル化学賞対象の研究でもあるナノマシンを使った
第一回国際ナノカー(Nano Car)レース
が開催されるという情報が!なんというグッドタイミング!


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2016年08月06日

ボーイング787の窓の秘密とクロミック材料の話

飛行機で寝るのは余裕だけど、タダで映画(しかも今映画館でやってるやつとかやる前のやつとか)見れちゃうのでもったいないおばけと化して映画とか番組見まくっちゃうので結果寝不足になる人ですこんばんは。最近じゃあけいおん!とかラブライブもあるんだからすごい。あ、ズートピアめっちゃよかったですブルーレイ予約しちゃった(∩´∀`)∩


で最近乗った飛行機がたまたま最新のボーイング787-8ドリームライナーだったんですよ。液晶画面でっかいし機内wifi飛ばせるしすげえなこれ、って思ってたら飛行機の窓もちょっと今までと違うことに気づきました。

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2016年07月05日

モレキュラーシーブスの乾燥法で収率が変わった話

これまでにいろいろとモレキュラーシーブスの知られざる(?)機能と性質について書いてきており、ちょっとしたモレシブログと化しております。

1)モレキュラーシーブスは塩基か酸性か
2)モレキュラーシーブスは脱水剤か貯水剤か
3)TBAFにモレシな話

モレキュラーシーブスは合成化学者にはご存知の通り脱水乾燥剤として利用されているので、溶媒の脱水に用いたり系内で生じる有機低分子を吸着させたりといった使われ方をされていることがほとんどです。蒸留するよりも水分が少なくなるということで、実験の危険性回避で蒸留をできるだけ避けるようになってきている昨今ますます利用されている感があります。

Drying of Organic Solvents: Quantitative Evaluation of the Efficiency of Several Desiccants
D. B. G. Williams, M. Lawton,
JOC 2010, 75, 8351


しかし何でもかんでもモレシを入れれば乾燥できるわけではありません。3Aや4Aなどモレシごとで吸着できる穴のサイズが異なるので、目的に合ったモレシを選択しないと溶媒そのものが吸われてしまうことにもなります。また、モレシの添加はあくまで脱水であって、蒸留とは全く別であるということはちゃんと理解しておかないといけません。特に含窒素系のものは溶媒が空気酸化されたものも入ってたりしてるので当然そんなのはモレシでは除けません。

・乾燥剤の種類と乾燥能力(+再生法と乾燥対応表) (ナカライテスク)


それだけではなく、なぜかアセトンはモレシを入れると水分が増えるという謎現象も報告されています。これは、以前も書きましたがモレシが基本的に塩基性であるためで、アルドール反応、Claisen縮合等を繰り返し、2量体由来のメシチルオキシドができてしまうため、その際の脱水反応で水がどんどん増えていくと報告されています。さらには3量化したイソホロンもできるとか書いてあるブログやらなんやらも。というふうに「アセトンにモレシは水増える」って論文にはあるんだけど、各種メーカーのデータだとアセトンのモレシ脱水の表もあったりするんだよなあ。どうなってるんだろほんとのところ。
(Jul/6/2016:イソホロンあたりの図と文章を修正)
アセトンMS表.jpg
アセトンバイプロ.jpg

Desiccant efficiency in solvent drying. 3. Dipolar aprotic solvents
D. R. Burfield, R. H. Smithers
JOC 1978, 43, 3966


1)モレキュラーシーブスは塩基か酸性か


そんなモレシは、ただ入れただけでは水は吸ってくれません。というかもう空気中の水をたっぷり吸った状態で置かれていて機能は低下したままですから、加熱などで吸着された水分子をふっとばし活性化してから用いられます。そんな活性化法と収率について面白い論文があったので紹介します。


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posted by 樹 at 13:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月01日

ゲルマニウムin有機合成の話

さて、前回の話で、ゲルマニウムが覚醒してしまったようなのでこんなタイトルの話をまとめることにしました(そうなの?

ゲルマニウムは14族の典型元素で、周期表的にはケイ素(Si)の下、スズ(Sn)の上で炭素(C)と同系列の元素です。日本ではどうにも胡散臭い健康用品として使われる印象が圧倒的に強いゲルマニウムですが、すぐに交換反応を起こしてしまうスズよりも炭素との結合(特にアルキン)が頑丈、ケイ素よりも重原子、イオン化エネルギーがSiより小さいといった特性を持っております。

周期表14族.jpg

そのため、電子材料は発光材料などと言った分野ではゲルモール(フランのOの部分がGeになったもの。Siの場合にはシロール、Snの場合にはスタノール)などの形で、構造有機化学の分野では様々な高ひずみを持つ安定化合物の合成(もちろん物性も重要ですけど)などで結構利用される元素です。そしてなぜか高い日本人研究者率。

ゲルマニウム化合物.jpg

・Stable Germanone Nat. Chem. 2012, 4, 361
・Tetragermaplatinacyclopentane Organometallics 2011, 30, 3386
・1,2-Digermabenzene Organometallics 2015, 34, 2106
・Pentagermapyramidane Organometallics 2016, 35, 346
・Spirodithienogermoles Organometallics 2016, 35, 20
・Germa[N]pericyclynes Dalton Trans. 2015, 44, 11811
・2013年までの高周期14族メタラサイクルのまとめ
M. Tanabe, Tetrahedron Lett. 2014, 55, 3641.


ちなみに創薬分子としてもゲルマニウムを持ったものはプロパゲルマニウムというものが古くから知られており、ウィルスマーカーの改善剤として使われているほか、抗がん作用も知られています。
プロパゲルマニウム.jpg


またケイ素を含むこれら高周期14族は炭素と全く違う反応性も見せます。炭素と違って結合の手が5,6本生えた5配位、6配位状態をとることが可能ですし、以下のようにTfOHやHBrと言った酸で処理することによってフェニル基をOTfやBrなどへと変換することもできます。これを利用してフェニル基を保護基として使うことも可能です。

Ge置換1.jpg
・Hoge, B. et al. Chem. Eur. J. 2016, 22, 4758

こんな風に独特の特性や反応性を示す元素にもかかわらず、どういうわけかいわゆる有機合成化学、合成反応の中でのゲルマニウムはほぼ見たことないに等しいレベルで出てきません。周期表で上下にいる元素のケイ素とスズはしょっちゅう見るのに、です。

というわけでそんな有機ゲルマニウムの合成化学上での反応をまとめてみました。


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posted by 樹 at 13:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする