有機化学雑記: (5) たゆたえども沈まず-有機化学あれこれ-
よくアクセスがあるものをまとめておきました。右バーのカテゴリ別も参照ください。

レポート・実験データ等のまとめ
・研究室に貼っておくと便利な表などをあつめてみた(現在も随時更新追加中)
・検索・計算に使える化学サイトをあつめてみた
・特殊記号の出し方・ショートカットキーまとめ
・MS WORDショートカットや特殊アルファベットの入力法まとめ
・Powerpointのショートカットキー
・出版社ごとのオープンアクセス化費用をまとめてみた(有機合成化学向け)
・ネットコンテンツを参考文献に挙げる話
・情報ソースはウィキペディア、な論文の話
・タダで読めるけど・・・-オープンジャーナルのあやしい世界
・最近のOLのはなし

材料化学・自然化学・疑似化学
・ボーイング787の窓の秘密とクロミック材料の話
・アメフラシの紫汁の謎
・タコが光ってもいいじゃなイカ!-青い毒タコ・ヒョウモンダコ科の秘密-
・やけど虫の毒と抗がん活性
・世界一大きい花の臭いの話
・竜の血の赤、虫の赤
・撤回された天然竜血分子が全合成で確かめられた話
・はじけるキャンディ・ドンパッチの話
・危険なDHMO? SDS(MSDS)の話
・水を脱水した話
・高校生が高価な薬分子を格安で作った、という話
・人工分子は天然に存在しないのか―抗がん剤分解物は妖精さんだった話―
・創薬分子が天然から採れた!!と思ったら・・・な話

有機合成化学実験
・Swern酸化の利点
・光延"反転"の話
・実験、爆発:やってはいけない組み合わせ
・モレキュラーシーブスは塩基か酸性か
・TBAFにモレシな話
・モレキュラーシーブスの乾燥法で収率が変わった話
・原料の不純物で反応が行ったり行かなかったりした話

大学講義の初級有機化学
・フィッシャー投影式をジグザグ式に変換する方法
・ニューマン投影式の理解の仕方
・R/S表記やE/Z表記など

2014年09月14日

創薬分子が天然から採れた!!と思ったら・・・な話

去年の末頃にこんな論文が発表されました。

Occurrence of the Synthetic Analgesic Tramadol in an African Medicinal Plant
De Waard, M. et al.
ACIE 2013, 52, 11780


トラマドールという鎮痛作用のある合成医薬(μアゴニストのオピオイド鎮痛剤)がアフリカ、カメルーンの薬用植物から単離、構造決定された、という論文です。

トラマドール(Wikipedia)
↑Wikipediaに載ってるくらいに有名なのねコレ

まあこれ出たときには「へー、アフリカまだまだいろんなのあるなー(ホジホジ」くらいにしか思ってなかったし、せいぜい『天然から採れたんだったらこれから権利とかなんだとかもめそう』だとか『合成品が天然から見つかったとかで自然派のみなさんどうすんですかね』だとかそういう性根の曲がったことを思う程度だったんですが、先日、この「『天然から見つかった』医薬品」についての疑義に触れた論文が、同じくAngewandte Chemieから出てきました。

トラマドール.jpg

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posted by 樹 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学雑記 | 更新情報をチェックする

2014年06月05日

最近読んだ本から-病の皇帝「がん」に挑む~人類4000年の苦闘-

どうも、久々の更新です。何とか生きてます、というか一応直ったようなのでぼちぼちと再開していきたいなと思っています。

と言っても論文が読める状況でもなかったので最近読んでた本をひとつ紹介したいと思います。

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posted by 樹 at 11:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学雑記 | 更新情報をチェックする

2014年03月12日

更新(しばらく)休止のおしらせ

うん万人に一人だか10万人に一人だかという無駄にレアな病気をこじらせた関係でしばらく更新を停止します。元々月に1,2個くらいしか書いてないんでわざわざ通知したもんかなとも思ったんですがまあ告知ということで。ネタは一応あるんで気力あったら夏くらいまでには再開したいとこです。どうせレアなら車とか海外旅行とか巨額研究費とかが当たればいいのにと思う今日この頃。
(:3[___]


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2013年12月23日

データなしで成果報告する方法?

もうすっかり年末ですねー。
あとは大掃除を残すのみ。



え、今年の進捗?成果?論文?なんのこと?




てかさー、論文とか書くのめんどくさくね?_(:3 」∠)_
こっちは一応それなりにやってるんだからさー。
データとかそんなんまとめなくても成果的には出てるんだからもう論文とかなくても相手の脳内に直接届くとかそういう発明ないの?


とまあ、論文書くのめんどくさいデータ集めめんどくさいとかそういうグータラな理由はさておき、学術研究成果は先行性が極めて重要。結果が出ただけでは当然論文にはならないので再現性やらデータやらを全部かき集めて初めて論文にできるわけです。しかしそうするには当然時間もかかるので、この間にだれか出したりしないかなど色々悶々とすることにはなります。


というわけで結果が出たら即報告したい気持ちにもなりはします。もちろん学会での発表を先行してやればいいんですけど、やっぱり発表するなら論文で。
まあ、さすがに上記のような脳内ダイレクト成果報告とかはないですが、
中にはその成果の論文を出す前に別の論文でデータもなくこっそり公開して、なんとなくプライオリティを確立している(と思われる)例があったりするので紹介してみます。

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posted by 樹 at 21:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学雑記 | 更新情報をチェックする

2013年10月25日

アジドTシャツの話

アジド基は窒素原子3つからなる官能基で、1,3双極子としても使えるし、窒素官能基の導入だったりと色々な機能があります。最近ではアジドを使った[3+2]反応であるHuisgen反応がクリックケミストリーの代表としてすさまじく使われていることもあり、アジド=クリックと言った印象を持っている人も多いのではないでしょうか。なお、分子量が低い、もしくは分子全体におけるアジドの割合が大きければ大きいほど爆発性が高くなるシロモノなので、金属スパチュラでの取り扱いは厳禁。そうでなくても取扱いには注意しましょう。

アジドの構造.jpg


このアジド、人工化合物ならいくらでも使われていますが、意外にもこの官能基を天然物はこれまでに知られていません・・・・・・と思われていました。

実はほとんどの文献に無視されていて全然気づかなかったのですが、たった一つだけ、アジド基をもった天然物というものが報告されています。それは1985年に渦鞭毛藻から発見され、X線結晶構造解析によってその構造が確認された化合物です。その構造はこちら。

アジド天然物.jpg


Structure of 6-azidotetrazolo[5,1-a]phthalazine, C8H4N8, isolated from the toxic dinoflaggelate Gymnodinium breve
M. B. Hossain, D. Van Der Helm, R. Sanduja, M. Alam
Acta Cryst. 1985, C41, 1199-1202


単純な構造のようにも見えますが、実にユニークな構造をしています。アジド基を持っているだけでもとてつもなくレアなのに、創薬分子にしか見られないと思われているテトラゾール(4つのNでできてる5員環)まで持っているというプレミア級の構造。実際この分子は「テトラゾールを有する唯一の天然物」とされています。その上、さらにもう一つのNともつながり、「5連続窒素結合」というとんでもない構造を持っています。おそらく、フタラジンのジアジド体からの片側アジドの環化によってできると思われますが、そもそもいったいどうやってアジドができているのか不思議です。というか、ここまでレア中のレアな構造を詰め込んだ天然物がここまでシカトされまくっているのはなぜなんでしょうか(citationもたったの3報だけ)。

と、クリックケミストリーでノーベル賞候補とまで言われ、ついに自然界からも見つかったこのアジド。その影響力と知名度のせいか、この間、なんと「アジド」とデカデカと書かれたTシャツを発見してしまいました。
それがこちら。

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posted by 樹 at 11:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 有機化学雑記 | 更新情報をチェックする