2013年12月23日

データなしで成果報告する方法?

もうすっかり年末ですねー。
あとは大掃除を残すのみ。



え、今年の進捗?成果?論文?なんのこと?




てかさー、論文とか書くのめんどくさくね?_(:3 」∠)_
こっちは一応それなりにやってるんだからさー。
データとかそんなんまとめなくても成果的には出てるんだからもう論文とかなくても相手の脳内に直接届くとかそういう発明ないの?


とまあ、論文書くのめんどくさいデータ集めめんどくさいとかそういうグータラな理由はさておき、学術研究成果は先行性が極めて重要。結果が出ただけでは当然論文にはならないので再現性やらデータやらを全部かき集めて初めて論文にできるわけです。しかしそうするには当然時間もかかるので、この間にだれか出したりしないかなど色々悶々とすることにはなります。


というわけで結果が出たら即報告したい気持ちにもなりはします。もちろん学会での発表を先行してやればいいんですけど、やっぱり発表するなら論文で。
まあ、さすがに上記のような脳内ダイレクト成果報告とかはないですが、
中にはその成果の論文を出す前に別の論文でデータもなくこっそり公開して、なんとなくプライオリティを確立している(と思われる)例があったりするので紹介してみます。

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posted by 樹 at 21:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月25日

アジドTシャツの話

アジド基は窒素原子3つからなる官能基で、1,3双極子としても使えるし、窒素官能基の導入だったりと色々な機能があります。最近ではアジドを使った[3+2]反応であるHuisgen反応がクリックケミストリーの代表としてすさまじく使われていることもあり、アジド=クリックと言った印象を持っている人も多いのではないでしょうか。なお、分子量が低い、もしくは分子全体におけるアジドの割合が大きければ大きいほど爆発性が高くなるシロモノなので、金属スパチュラでの取り扱いは厳禁。そうでなくても取扱いには注意しましょう。

アジドの構造.jpg


このアジド、人工化合物ならいくらでも使われていますが、意外にもこの官能基を天然物はこれまでに知られていません・・・・・・と思われていました。

実はほとんどの文献に無視されていて全然気づかなかったのですが、たった一つだけ、アジド基をもった天然物というものが報告されています。それは1985年に渦鞭毛藻から発見され、X線結晶構造解析によってその構造が確認された化合物です。その構造はこちら。

アジド天然物.jpg


Structure of 6-azidotetrazolo[5,1-a]phthalazine, C8H4N8, isolated from the toxic dinoflaggelate Gymnodinium breve
M. B. Hossain, D. Van Der Helm, R. Sanduja, M. Alam
Acta Cryst. 1985, C41, 1199-1202


単純な構造のようにも見えますが、実にユニークな構造をしています。アジド基を持っているだけでもとてつもなくレアなのに、創薬分子にしか見られないと思われているテトラゾール(4つのNでできてる5員環)まで持っているというプレミア級の構造。実際この分子は「テトラゾールを有する唯一の天然物」とされています。その上、さらにもう一つのNともつながり、「5連続窒素結合」というとんでもない構造を持っています。おそらく、フタラジンのジアジド体からの片側アジドの環化によってできると思われますが、そもそもいったいどうやってアジドができているのか不思議です。というか、ここまでレア中のレアな構造を詰め込んだ天然物がここまでシカトされまくっているのはなぜなんでしょうか(citationもたったの3報だけ)。

と、クリックケミストリーでノーベル賞候補とまで言われ、ついに自然界からも見つかったこのアジド。その影響力と知名度のせいか、この間、なんと「アジド」とデカデカと書かれたTシャツを発見してしまいました。
それがこちら。

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posted by 樹 at 11:00 | Comment(4) | TrackBack(0) | 有機化学雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月05日

2013年08月24日

タダで読めるけど・・・−オープンジャーナルのあやしい世界

論文誌の購読料が高すぎるよ。・゜・(/Д`)・゜・。うわぁぁぁぁん
ってな話を前回書いたのでついでにオープンアクセス論文誌の話もしちゃうことにします。

オープンアクセスジャーナルとは何ぞや、というと、
早い話が「ただで読める論文誌」です。
普通の論文誌はバカ高い購読料を払って冊子体を購入するかアクセス権を得ない限りりロックがかかってて読めませんが、オープンアクセスジャーナルに関してはどこからアクセスしようが論文が読めます。文字通り「オープンアクセス」なのです。科学誌ではPLoS ONEや最近創刊されたScientific Reportsあたりが有名ですね。ほかにも掲載時からオープンにするものや、ある程度古くなったものをオープンにするスタイルなど色々あり、それらを含めて昨今急速に増えてきているタイプの論文誌です。

・Half of All Papers Now Free in Some Form, Study Claims(Science, 8/23)

じゃあどこで儲けてんのよ?ボランティア?いえいえそんなわけありません。
既存の論文誌は『読む方が金を払う』のに対し、オープンアクセスジャーナルは『論文を投稿する方が金を払う』システムなのです。従って、「幅広い人に読んでもらいたい」という論文を著者自身が身銭を切ることで投稿し、誰もが読めるようにするシステムなわけです。限られた人しかdetailを知り得られなかったこれまでと違い、情報共有の面で圧倒的に有利かつ大きな影響力を持つ現代に即した論文形態とも言えます。

論文誌高騰でますます注目を集めるオープンアクセスジャーナルですが、確かに「図書館が払う費用」は軽減されます。しかし今まで図書費で出ていたものを今度は「研究者側が払わないといけなくなった」わけです。しかも(ピンキリですが)一報あたり10万円くらいはかかるので、ただでさえ研究費切られてひもじい思いをしている中で痛すぎる出費になります。複数報出したらなおのことなので、お財布に余裕のある研究室とかじゃないとなかなか出しづらいものはあります。なので図書費浮いた分で「論文投稿費」みたいな感じで別枠で経費を研究所ごと用意したり、それ用の助成とかを出してもらえるようにならないとちょっときついかしらという気がします。普通の論文誌でも最近はオープンアクセスにするかどうかを選べる(もちろん自腹)ので、自分の論文を広くみんなに知ってもらいたいという力作に絞ってオープン論文にする、という感じになるのでしょうかね。もっともそれで購読料が安くならなかったら出版社丸儲けにしかなってないからそれはそれで問題のような気もしますが。

と、ここまでは普通のことを書きました、まっとうなオープンジャーナルに関して
ここから先はダークサイドな話。

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posted by 樹 at 10:04 | Comment(2) | TrackBack(0) | 有機化学雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月04日

論文誌が高すぎて

何気なく読んでますけど論文誌の購読料ってすさまじくお高いんですよ。そのうえ最近は冊子体購読に加えWebコンテンツの無制限アクセスみたいなプランとかついてるのでますますお値段↑アゲアゲ↑
特に最近はWeb上で受理されたてでページ番号もついてない段階での論文(ASAP, Inpress, SciencExpress, EarlyViewなど)が大量に読めるようになったせいで、その維持管理更新コストもすさまじいことに。結果、購読料の「倍プッシュだっ!」状態が続いています(まあ倍にはなってないけど)。それに加え、昨今の円安ががが(大体は米ドル等現地通貨建てなので。まあ以前の$1=80円が異常だっただけなんですけど)。

どれくらいお高いかというと、某化学論文誌の購読がいつまでたっても見送られっぱなしなので

なんでこんなに需要が高い雑誌なのに購読をしないんですか!
どういうことですか!いつ購読するの?今でしょ!
(「・ω・)「  (_・ω・)_バァン

と抗議の声を一斉に寄せたものの、年間購読費用と一年ごとの値上げ率を聞いて

すいません私が悪かったです
_| ̄|○_| ̄|○

と一瞬で降参するレベル。
年間最低10%値上げしてるってどういうことよ(´Д`)

ただでさえ大学の金減らされてるところに論文誌のお値段高騰の連続(どころか値上げ頻度up)なので、最近はとても購読維持できない状態になって購読そのものを止めてしまうところも少なくないようです。少なくとも冊子体の購読を止めてしまうところも多いのではないでしょうか。最新の論文を読める点やわざわざ歩いて図書館に出向かなくても手に入る点でWebアクセスを残しておく方がメリット大きいし。もっともデメリットとしては契約解消してしまうと紙媒体など後に残るものが『なにもない』ことですが。

しかし購読をやめても論文の査読依頼はやってきます。なお論文査読は無報酬事業です(まあ投稿がタダだから文句言えませんけど)。
その結果ついには購読停止を通りこして査読編集まるごとボイコットなんて騒ぎにも発展したものもあるようです。
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posted by 樹 at 13:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする