2017年01月02日

冬コミ(コミックマーケット, C91)に行って科学評論本買ってみた

(1/7 タイトルちょい変更)
明けましておめでとうございます、今年も宜しくお願い致します。


さて毎年やっていた「〜に行ってきた」シリーズ、過去「元素のふしぎ展」(2012)に始まり「深海展」(2013)、「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展(もうどく展)」(2014)、「単位展」(2015)と毎年続けてきましたが、なんと2016年はどこにも行っていません。なんてこったい!いや単に書くような展示会とかなかっただけなんですけどね。

そんな中、ぎりぎり「2016年版〜に行ってきたシリーズ」に間に合わせるべく?暮れも押し迫った12月31日の大晦日に行ってきましたよ、お台場国際展示場(ビッグサイト)で開かれていた冬コミことコミックマーケット91に!

え、化学関係ない?あるんだなあこれが。


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2016年12月28日

論文誌1年分まとめ読む話

みなさん仕事納めましたか?え?そもそも納めないでそのまま新年だって?
いや別に特に書くことないんですけど年末なのでかなり短くちょっとだけ。

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2016年12月07日

高校生が高価な薬分子を格安で作った、という話

(2016/12/08 ちょいちょい修正)

とあるニュースが先月末あたりから海外を中心に話題となりました。

「大炎上男」が「1錠9万円」に吊り上げたHIV薬、オーストラリアの高校生が約230円で作り出すことに成功(engadget日本版)
米の「最も憎まれた男」の鼻を明かした? 豪の高校生たち (BBC Japan)
Australian students recreate Martin Shkreli price-hike drug in school lab (The Guardian)
Students make $750 drug cheaply with Open Source Malaria team (The University of Sydney)


オーストラリアのシドニーグラマー校の高校生らが、pyrimethamine (商標名Daraprim)を合成、市価11万ドル相当の量をわずか20ドル程度で作ったというニュースです。

マラリアのみならずHIV治療薬として現在も使われているpyrimethamine自体は1953年上市という半世紀以上前の創薬分子なので当然化合物特許もオリジナルの製造特許も切れているわけですが、なぜこれが今更話題になるのでしょう。実はTuring Pharmaceuticalsという会社がこれの米国内独占販売権を取得、そのアメリカでの薬価を$13.50から$750.00という50倍強にも釣り上げたことがそもそもの発端にあります。

この製薬会社は当時のCEO、Martin Shkreli(シャリと読むらしい)が大半を出資して設立したものなのですが、この人、フォーブス誌による「30歳以下の金融業界の成功者30人」にも選ばれたことのある超やり手のヘッジファンドマネージャーで製薬を中心に投資展開を行っている様子。ただし製薬・創薬に関するバックグラウンドは全くなく、投資など以外の面ではまるでダメ。アメリカ版ホリエモン(+村上ファンド)と言われてることからもわかる通りかなり人間性に問題があるようで、「マイナーな疾病の特効薬(シャーガス病薬も)」といった患者の足元を見て金儲けすることに躊躇も反省もなく、他人を徹底的に見下して侮辱する態度は政治家からも猛反発を浴び、世界的に大炎上しました。

“米国版ホリエモン”マーティン・シャリの素性とは (Wedge)
「バイオ坊や」のテレビ出演が大ひんしゅくを買い、バイオ株が総崩れ (market hack)

で、そんな中くっそ高くなったpyrimethamineを高校生がわずか20ドルで合成したというニュースが出てきたもんだからアンチ・Shkreliにしてみりゃナイスなフルボッコネタが上がったといえるでしょう、あとアンチ創薬企業とか。もっとも当のShkreliはこれに対し「人件費や設備費用は?」「物理化学者をただで働かせられるなんて知らなかった」「研究室の設備を無料で使えるのなら、なぜ自分は設備を購入しなければならなかったんだろうな」「先生たちが命令すれば、彼らはただで働いてくれるんだな」「どんな薬でも少ない量なら低価格で作れるよ」「薬の合成を学ぶだけではイノベーションにならない」と徹底的にバカにしてるので大して効いてなさそう (一方対外的なyoutubeでは祝福コメント出してるらしいので使い分けちゃんとしてるなあと)。

薬価50倍つり上げの元CEO、薬の生成に成功した高校生をからかう(AFP)

ただ、開発経費は年々高騰しており今では一つの新しい薬を生み出すのに数千億円かかるとまで言われています。それらの費用を回収しなければ会社としてやっていけないわけですから、原価が格安で作れたから企業は暴利をむさぼっている、という理屈はおかしいわけでそういう意味ではShkreliの言っていることは間違ってはないわけです。もっとも「pyrimethamineは大昔の分子だからとうに開発投資金は回収済」+「おまえ金出して販売権買っただけだから設備費以外苦労してないだろ」という意味で説得力はないのですけど。あと段階的でもなくいきなり50倍に値上げするとか真面目に稼ぐ気あんの?

さて、そんなpyrimethamine(daraprim)ですが、このシドニーの高校生らが一体どうやって格安でpyrimethamineを合成したのかについてはどこのメディアも触れていません。ちなみにpyrimethamineの構造式はこちら↓

1 daraprim structure.jpg


安く簡単に作れ!って言われると結構悩ましい構造式にも見えますが、さてどうやって合成したのでしょうか。

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2016年09月27日

2016年ACS社説から〜元素分析・基礎化学の死・筋トレ〜

(2016年9月30日:本庶先生インタビューリンクと、Janis Louieのムキムキ映像を追加)

気が早いですが2016年ももうすぐ終わりですね、進捗どうですか?(ブーメラン

今年もいろいろな革新的な論文が出たりでなかったりしましたね。
個人的には全合成では
Ryanodolの15工程全合成(Science 2016, 353, 912)
Pallambins C, D 11工程全合成(JACS 2016, 138, 7536)
タミフル60分合成(OL 2016 18, 3426)

構造有機だと
安定ゲルマニウムビニリデン(Nat. Chem. 2016, ASAP)
2個入りポリイン・3個入りロタキサン(JACS 2016, 138,1366; JACS ASAP)
どえらく単純な分子で水素ガス、酸素ガスを使って光応答性をスイッチングするオルトキノン (ACIE 2016, 55, 7432, chem-stationスポットライトリサーチ)

反応だと
遷移金属なしの光照射だけでアリールハライドをボリル化するやつ
(Chem. Sci. 2016,7, 3676; JACS 2016, 138, 2985)
アリールアセチレンと硫黄(S8)だけでアリールチオフェン作っちゃったやつ
(JACS 2016, 138, 10351)
ニトロシルラジカルがトリプトファン選択的にぶっ刺さる遷移金属フリーClick型反応
(JACS 2016, 138, 10798)

でしょうか。なんとなく思いつくままに挙げましたけど。なんか下期の割と最近のばっかし挙げてるから上期のやつ覚えてないだけじゃないか説あるけど気にしない気にしない。

で、今回は化学論文それ自体ではなくて、その論文誌の社説、特に最近のアメリカ化学会(ACS)論文誌の2016年社説で気になったものを簡単にまとめて取りあげてみました。

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2016年09月11日

論文中に書かれた愚痴っぽい話

科学論文というとやっぱり研究に関する難しい話ばっかり書いてる印象ですが、そこは人間同士ですので相手に何か言いたいことというものも出てきます。もちろん相手を侮辱するようなことは書けませんし、そうでなくても「紙面の都合もあるしいらんこと書くな」とはeditorによく言われることで、関係ある話ですら削られるくらいです。が、そんななかでも愚痴にも似たアピールのようなことが書かれていることもあったりするので、そんなのをなんとなく集めてみました。

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posted by 樹 at 09:00 | Comment(4) | TrackBack(0) | 有機化学雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする