2013年04月17日

フルーティーな香りのウミウシの化学物質

前回のアメフラシに引き続き、軟体動物ついでにもう一つ。
ウミウシいいよねウミウシ。カラフルでのっそりした感じが癒されます。あー水族館で一日過ごしたい(ぉ
通称ピカチュウと言われるウデフリツノザヤウミウシをはじめ種類もいろいろあって、というかありすぎて和名がかなり珍妙なものもあります。オシャレコンペイトウウミウシやらシンデレラウミウシやらエレガントヒオドシウミウシやら、なんだよエレガントにオシャレって。
中にはインターネットウミウシなんてのもいるんですが、いったいどこへんがインターネットなのかと小一時間問い詰めたい気分です(各リンク先2013/4/14 accessed)。


そんな最近人気のウミウシですが、個体数がかなり少ないこともあって飼育できる種が結構限定されたりします。特に食生活がかなり偏ってるやつが多く、特定の海藻・海綿しか食べないとかならまだしも、よくネットでかっこいいとか言われてるアオミノウミウシは猛毒クラゲのカツオノエボシやギンカクラゲなどが主食ですし、ウミウシのくせにウミウシが主食(しかも自分よりでかいやつ)っていうのもいて、事実上飼えないやつも多いのです。
自分よりでかいやつを丸のみって怖っ(((((( ;゚Д゚)))))



なかでも姿かたちからして独特なのがメリベウミウシの類。どんな形なのかというとまさにラッパ。フードみたいな口兼顔と、ちょうどラッパのピストン部分みたいな装飾品のついた体。そのフード状の口をくぱぁと開いたと思えばそれをガバーーッと投網のごとく地面にかぶせて獲物を閉じ込め食すというとんでもないヤツです。
実際どんなやつなのかは次の動画をご覧ください。

続きを読む
posted by 樹 at 09:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生き物の化学物質 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月11日

アメフラシの紫汁の謎

アメフラシをご存知ですか?
黒字に白い斑点のある海の軟体生物で、広義にはウミウシの仲間とされています。ウミウシと言ってもでかいものでは50cmを超すなどかなり巨大なやつにもなります。頭部にある2本の突起が耳に見えることから英語では"Sea Hare"(海のウサギ)、中国語でも"海兎"と呼ばれているそうです。ですのでアメフラシを萌え擬人化する際にはうさ耳をお忘れなきようお願いします(何

ちなみにアメフラシは雌雄同体で、頭に♂、背中に♀があるため、複数匹が一列につながったり輪になったりな状態でお盛んなことになってることもよくあるとか。
ということは擬人化したら・・・(ゴクリ




そんなどうでもいい話はさておき、近年、新しい抗がん作用を持った天然物がアメフラシから見つかっており、全合成、作用ポケットの構造解析や、構造改変などのケミカルバイオロジー研究が積極的に行われている生き物でもあります。

アメフラシ aplyronine A.jpg
1)
Interactions of the Antitumor Macrolide Aplyronine A with Actin and Actin-Related Proteins Established by Its Versatile Photoaffinity Derivatives
Kita M., Kigoshi H. et al.
JACS 2012, 134, 20314.

2)
アクチン脱重合分子の合成と活性
末永聖武,木越英夫
有合化 2006, 64, 1273.

また、アメフラシは記憶学習などにおける神経学分野のモデル生物として利用される動物としても有名で、Eric Kandelはこのアメフラシ(ジャンボアメフラシ、日本の真っ黒いやつと違って白くてさらに巨大)を使ったニューロンに関する研究でノーベル賞を取っています。意外と科学に密接に関係している生物なのです。

ところで和名である「アメフラシ(雨降らし、雨虎、雨降)」の諸説ある名前の由来の一つとして、「アメフラシが噴出する紫色の液が、海中に拡散する様が暗雲が立ち込めたように見えるから」というものがあります。警戒物質や忌避物質をばらまいているようにも思えますし、煙幕を張っているようにも見えます。ちなみに種類によっては紫色ではなく、白色の液を振りまくものもいるようです。



この紫色の煙というか汁の役割は実はよくわかっていなかったのですが、最近になってその機能が明らかになってきたそうです。

続きを読む
posted by 樹 at 10:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生き物の化学物質 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月23日

クモの糸とアリの話

クモと言われて思い浮かべるのは網を張るクモ、歩き回るクモのどちらでしょうか。この辺は人にもよりますが、地面を歩きまわる方と比べて別に注目しなくても目に入ってくる網を張る方がどちらかというと日本では印象として強い気がします。網を張らない方のクモに関しては私は小1の時にアシダカグモの一種(全長15cmくらい、動きが極めて素早い)が風呂場に入ってきてこれ以上にない恐怖を味わったことがあるのであばばばば。
それはそれとして、蜘蛛の糸と言えばすぐに思い浮かべるのが

・頑丈
・ネバネバ
・カンダタ

でしょう(最後なんか違う
実際蜘蛛の糸を強固な素材として実際に利用しようとする話もあります。その辺はChemStationさんでも話題に出てますのでここではスルー。
今回は頑丈さとネバネバ以外の話。
(※クモの写真は載せてないのでご安心ください)

続きを読む
posted by 樹 at 10:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 生き物の化学物質 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月19日

ちょっとした貝毒の話

真面目なのが続いた(気がする)のでみじかいのを。

シーフード大好き日本人。特に私は貝類には目がないのですが、貝と言えば貝毒(その流れはおかしい)。取る時期によっては毒をため込んでいたり、そうでなくても貝に当たることも良くあること。大体はシガトキシン、ブレベトキシンのようなポリエーテル系化合物、サキシトキシン類、ドウモイ酸、スルガトキシン等だったりしますが、この手の毒分子は貝自身が生産しているのではなく渦鞭毛藻などによるもので、それらを貝が摂取・思い切り濃縮した結果である場合がほとんどです。ちなみにスルガトキシンの場合、それ自体は無毒で、プロスルガトキシン、ネオスルガトキシンが活性本体であるとされています。

surugatoxin.jpg

しかし、中には貝自身が毒を生産しているものも当然いて、有名なのはアンボイナガイなどイモガイのコノトキシン。この貝は貝のくせに生きている魚を銛のような毒針でハンティングして食すというすごいやつ。人間もこいつにやられると数時間で死亡してしまうレベルの猛毒です、しかも血清なし。ちなみにコノトキシンはたんぱく質より成る化合物です。

と、そこまで酷い毒を持たなくても中毒を起こすような毒を持っている貝もいます。それも食用と知られているメジャーな貝で。自分でさばいたりしない限り知らない場合が多いですが、ツブ貝もその一つ。
続きを読む
posted by 樹 at 01:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生き物の化学物質 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月26日

昆虫の毒-タダでは死なない話-

色々真面目な化学ポスト用のネタはあるんですが、そういうのは結構書くのも時間がかかってしまうのでどうしても遅れてしまいます。というわけで軽ーいネタでごまかす(何

世の生物には毒を持っているものがたくさんいます。それは微生物から哺乳類まで色々で、今回はその中から昆虫毒についてポストします。しかも単に毒を持つだけでなく、排除しようとした結果余計ひどいことになるようなものを集めました。

一つ目は知っている人は知っている有毒虫(つまり知らない人はしらないw)、アオバアリガタハネカクシ(青羽蟻形羽隠)。写真を見てもわかるようにいかにも『俺にかかわると危ねえぞ!』的な警戒色で出来上がった虫ですが、体長は6-7mmと非常に小さいです。みると羽が無いように見えますが、「ハネカクシ」の名にあるように胴の部分に非常にコンパクトに折りたたまれており、飛ぶことが出来ます。

羽隠し.jpg



続きを読む
posted by 樹 at 16:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生き物の化学物質 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする