前回の続き。
Cookbook chemistry、つまり「レシピに乗っかるだけの創造性のない化学」の話を前回しました(半分くらい普通の料理の話をしていたような気がしますが気のせい気のせい)。"Cookbook"と書かれてはいますが、料理本においても書いた本人の物を実際にどれだけそのままフォローできるかというと実際にはかなり難しいでしょう。なぜならば
・塩 一つまみ
・胡椒 少々
・ひと煮立ち
・しんなりするまで
と、ぱっと思いつく表現を出してみましたが、肉や魚の主材料が定量的に示されているのに対し、サイドの味付けや調理法に関しては料理者の解釈でどうにでもなる実にアバウトなものが多いのです。適当にやってもまあレシピ通りならそれなりに食えるものはできるでしょうが、じゃあ店で出せるかというと別問題。レシピ通りにやってもうまくいかない、なんか味が薄い、焦げたなどと言ったレシピには出てこないことに起因する問題点を挙げ、原因を究明し、改良していくと言った姿勢が重要なのです。
が、レシピまんまで満足しているとそういった問題を放置(もしくは気付かない、レシピがそうなってるんだからそんなもんなんだろう)し、眼前の宝の山を逃したりすることもあるかもしれません。
そこで今回はこのcookbook的な考えによって痛い目を見たという例を紹介します。
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