よくアクセスがあるものをまとめておきました。右バーのカテゴリ別も参照ください。

レポート・実験データ等のまとめ
・研究室に貼っておくと便利な表などをあつめてみた(現在も随時更新追加中)
・検索・計算に使える化学サイトをあつめてみた
・特殊記号の出し方・ショートカットキーまとめ
・MS WORDショートカットや特殊アルファベットの入力法まとめ
・Powerpointのショートカットキー
・出版社ごとのオープンアクセス化費用をまとめてみた(有機合成化学向け)
・ネットコンテンツを参考文献に挙げる話
・情報ソースはウィキペディア、な論文の話
・タダで読めるけど・・・-オープンジャーナルのあやしい世界
・最近のOLのはなし

材料化学・自然化学・疑似化学
・ボーイング787の窓の秘密とクロミック材料の話
・アメフラシの紫汁の謎
・タコが光ってもいいじゃなイカ!-青い毒タコ・ヒョウモンダコ科の秘密-
・やけど虫の毒と抗がん活性
・世界一大きい花の臭いの話
・竜の血の赤、虫の赤
・撤回された天然竜血分子が全合成で確かめられた話
・はじけるキャンディ・ドンパッチの話
・危険なDHMO? SDS(MSDS)の話
・水を脱水した話
・高校生が高価な薬分子を格安で作った、という話
・人工分子は天然に存在しないのか―抗がん剤分解物は妖精さんだった話―
・創薬分子が天然から採れた!!と思ったら・・・な話

有機合成化学実験
・Swern酸化の利点
・光延"反転"の話
・実験、爆発:やってはいけない組み合わせ
・モレキュラーシーブスは塩基か酸性か
・TBAFにモレシな話
・モレキュラーシーブスの乾燥法で収率が変わった話
・原料の不純物で反応が行ったり行かなかったりした話

大学講義の初級有機化学
・フィッシャー投影式をジグザグ式に変換する方法
・ニューマン投影式の理解の仕方
・R/S表記やE/Z表記など

2021年02月16日

化学系研究室における地震対策関連オープンアクセス記事ほかのまとめ (東京化学同人, 化学同人の関連記事無料公開を追記)

ご存じの通り東北で大きな地震が発生しました。
今また研究室での安全管理対策、耐震などを考え直す、または改めてチェックしているところも多いかと思います。

これに関連して、有機合成化学協会誌が過去の震災関連記事をオープンアクセスにしました。体験者が語る大変重要なことがいくつも書かれています。とりいそぎ、そのOA化のお知らせがてら、関連する雑誌なども併せて載せておきます。


【有機合成化学協会誌】
震災関連記事のオープンアクセス化について

熊本地震からの復興と教訓 (2017年, 石川 勇人, 西野 宏, 中島 誠, 小谷 俊介)
大地震に遭遇して (2011年, 桑原重文)
阪神淡路大震災 : 災害からの復興と教訓 (1997年, 加藤次裕)
阪神大震災からの復興 : 甲南大学有機化学研究室の事例 (1997年, 山田 隆己)


【日本化学会「化学と工業」】
未曽有の東日本大震災。心構えと必要な緊急対策 (2011年, 山本嘉則)



現代化学、月刊化学は出版社サイトですので各自ご購入ください(と書いてる本人も持ってないので買わないとこれは・・・特に2011年の現代化学9月号と月刊化学12月号)。ただし、だいぶ前のバックナンバーで在庫がどんなもんなのかが読めないので、大学図書館などで探したほうが確実かもしれません。


【東京化学同人】
研究室を地震から守るには━東日本大震災の教訓━ (現代化学2011年9月号)

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2021.2.18 追記

東京化学同人様から上記の無料公開のアナウンスがありましたのでリンク先を変更しました。



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【化学同人】
月刊「化学」東日本大震災の地震対策関連資料の公開 (月刊化学2011年12月号)

【特集】東日本大震災─科学者たちが語る被災体験と提言 (月刊化学2011年5月号)
【特集】理工系大学の「根本的な地震対策」を考える (月刊化学2011年12月号)
【特集】福島第一原子力発電所事故から10年──廃炉への化学のかかわり (月刊化学2021年3月号)
↑地震対策とは直接関係ないですが、関連の新刊ということで載せました

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2021.2.22 追記
化学同人様から上記の無料公開のアナウンスがありましたので上記公開リンクを追加しました。



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posted by 樹 at 00:11| Comment(0) | 事故・爆発・毒物 | 更新情報をチェックする

2018年01月18日

原料の不純物で反応が行ったり行かなかったりした話

合成反応において、用いたものに意図せず含まれていた不純物が成否に決定的となることがあります。野崎-檜山-岸-高井(NHK)反応におけるCr試薬中の不純物であった微量Niがカギを握っていた話は有名ですし、実は使っていた試薬は関係なくて、それに含まれていた微量成分だけが活性種だったという場合もあります。鉄触媒反応で当時ブイブイ言わせていたBolmが、実は鉄に含まれていた銅やパラジウムが真の活性種で鉄はいらんかったんや!だとわかって以降、鉄触媒反応を完全になかったことにして別な方向行っちゃったなんてこともあったり。

impurity_01.jpg

S. L. Buchwald, C. Bolm
On the Role of Metal Contaminants in Catalyses with FeCl3
Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 5586


・鉄の仮面の下に (有機化学美術館・分館)

・パラジウムが要らない鈴木カップリング反応!?(Chem-Station)


もちろん触媒や試薬のクオリティだけでなく、反応に用いる原料基質そのものの純度が一番重要であることは言うまでもありません。話は関連してるようであんまりしてないのですが、マメコガネの性フェロモンである(-)-Japonilureの鏡像体である(+)体は、(-)体の強力な阻害剤として働き、たった1%混ざるだけで活性が2/3に減弱し、混入が20%、すなわち光学純度が60%eeにまでなるとすっかり活性がなくなってしまいます。光学純度は大事だよっていう例にもよく出されます。

impurity_02.jpg

A. T. Proveaux, et al.
Identification of the female Japanese beetle pheromone: inhibition of male response by an enantiomer
Science 1977, 197, 789


Reviews: K.Mori
Pheromones: synthesis and bioactivity
Chem. Commun. 1997, 1153


Semiochemicals - Synthesis, Stereochemistry, and Bioactivity
Eur. J. Org. Chem. 1998, 1479



というわけで、今回は試薬の方ではなく、原料基質に含まれていた不純物で反応が行かなくなったり、逆に行くようになったりした話です。

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posted by 樹 at 00:30| Comment(0) | 事故・爆発・毒物 | 更新情報をチェックする

2013年12月05日

事故・安全に関する論文から色々―完全な安全って難しい―

プロセス合成がメインの論文誌Organic Process Research & Developmentの最近でた論文で、主に事故・安全に関する話ですが面白い論文があったので載せてみます。

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posted by 樹 at 10:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 事故・爆発・毒物 | 更新情報をチェックする

2013年01月20日

試薬を飲ませた話

前回「更新頻度が落ちる」と言ったな、あれは嘘だ(何

塩酸を水で薄め生徒に飲ませる 愛知、中学教諭が「罰」
(朝日新聞)

生徒に希釈塩酸飲ませる=実験ミスで罰、健康被害なし-愛知(時事通信)

学校での体罰やらなんやらが話題に上っていますが、遂にはこんな話まで。実験ミスの内容が危険を伴う重大なものだったのかそうでないのかも気になるところですが(そうでないならコラッ!ぐらいで済む話だし、うまく結果が出ないというだけならそれはちゃんと考察の対象であり怒られるものではない)、塩酸飲ますってなにそれ。既に化学関係ブログやまとめブログも含めいろんなところで反応がでています。続きを読む
posted by 樹 at 03:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 事故・爆発・毒物 | 更新情報をチェックする

2012年02月15日

危険なDHMO? SDS(MSDS)の話

DHMOという化学物質をご存知でしょうか?

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DHMOとは

CASナンバー7732-18-5を与えられた酸性雨の主成分で、金属を腐食させるだけでなく、悪性腫瘍の患者からも検出される低分子化合物。防虫剤剤散布に用いられ、洗浄後も残存し悪影響をもたらす化学物質としても知られている。
なお、DHMOとはDiHydrogen MonoOxideの略であり、組成式はH2O。
要するにただの水。

大概は、知りもしないのに言葉だけで大騒ぎする人を揶揄する(もしくは釣る)為に用いられ、化学者コミュ内ではMMR的なネタ(「DHMOが風呂場から検出された!」「な、なんだってー!?」等)として使われる。

そもそものDHMOネタの起源とかはこちら(wikipedia)
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と、ただの水に大仰な名前を付けただけなんですが、知りもしないDHMOを一言聞いただけで危険物質だとわめきたて、んで真相を知って逆切れするパターンが後を絶たない気がします。まあ引っかける書き方もいかんのでしょうけどおかしいですよね、正体も分からないのなら恐れることも喜ぶことも出来ないはずなんですが・・・(本来「酸性雨の主成分うんぬん」いう詳述とセットで使われるのに、detailもない「DHMO検出」ってだけも大騒ぎするからもうね・・・)。

まあそんな水は安全だとはっきり分かっているわけですが、その他化学物質の安全性はよっぽど一般に知られているものでない限り知識として持ち合わせていない場合が殆どであり、取り扱いには慎重にならないといけません。そんな試薬等化学物質を安全に取り扱うための情報を記載したSDS(旧MSDS)[(化学物質)安全性データシート、(Material) Safety Data Sheet]というものがあり、これを見て試薬等の安全性や、何か起こった時の対処法などの情報を得る人も多いでしょう。ところで、そもそもSDS(MSDS)とはどういうものなのでしょうか。

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2014.7.23追記
昔はMSDSと呼ばれていたのですが、国連GHS準拠の規格に変更になり最近はSDS(安全性データシート)と呼ばれるようになりました。
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posted by 樹 at 10:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 事故・爆発・毒物 | 更新情報をチェックする