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レポート・実験データ等のまとめ
・研究室に貼っておくと便利な表などをあつめてみた(現在も随時更新追加中)
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・特殊記号の出し方・ショートカットキーまとめ
・MS WORDショートカットや特殊アルファベットの入力法まとめ
・Powerpointのショートカットキー
・出版社ごとのオープンアクセス化費用をまとめてみた(有機合成化学向け)
・ネットコンテンツを参考文献に挙げる話
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・タダで読めるけど・・・-オープンジャーナルのあやしい世界
・最近のOLのはなし

材料化学・自然化学・疑似化学
・ボーイング787の窓の秘密とクロミック材料の話
・アメフラシの紫汁の謎
・タコが光ってもいいじゃなイカ!-青い毒タコ・ヒョウモンダコ科の秘密-
・やけど虫の毒と抗がん活性
・世界一大きい花の臭いの話
・竜の血の赤、虫の赤
・撤回された天然竜血分子が全合成で確かめられた話
・はじけるキャンディ・ドンパッチの話
・危険なDHMO? SDS(MSDS)の話
・水を脱水した話
・高校生が高価な薬分子を格安で作った、という話
・人工分子は天然に存在しないのか―抗がん剤分解物は妖精さんだった話―
・創薬分子が天然から採れた!!と思ったら・・・な話

有機合成化学実験
・Swern酸化の利点
・光延"反転"の話
・実験、爆発:やってはいけない組み合わせ
・モレキュラーシーブスは塩基か酸性か
・TBAFにモレシな話
・モレキュラーシーブスの乾燥法で収率が変わった話
・原料の不純物で反応が行ったり行かなかったりした話

大学講義の初級有機化学
・フィッシャー投影式をジグザグ式に変換する方法
・ニューマン投影式の理解の仕方
・R/S表記やE/Z表記など

2021年03月29日

一軒家みたいな形をした天然物の話

ビルやタワーのような建造物と同じように、ミクロな建造物ともいえる分子の形も有機無機にかかわらず人を惹き続けてきました。実用性や機能性とかはさておき形だけでも注目を集めるあたり、テンプレビルよりもどうかしてる(誉め言葉)形状の建造物が目立つのと同じ匂いがします。

そんな分子のなかで、3角形のシクロプロパン環と4角形のシクロブタン環がつながった分子構造は通称ハウサン骨格と言われています。"Housane"という名前からも分かる通り、シクロプロパンを屋根とした「家」の見た目からつけられています。いいの?そんな名前の付け方で。

housane05_ssz-housane.jpg

※ハウサン骨格自体には煙突もといMeは要りません(ツッコむとこはそこなのか


作り方にもいろいろあるんだとは思いますが、最近では5角形のシクロペンタンからの分子内SN2反応でトイメンの頂点とつないでハウサンのカルボン酸を100gスケールで作ってしまうという報告が出てきました。ウクライナが誇るEnamine社のグループですが、東欧・旧ソ連界隈ってこういうマニアックなことやってくるから好き。

Building the Housane: Diastereoselective Synthesis and Characterization of Bicyclo[2.1.0]pentane Carboxylic Acids
O. O. Grygorenko, et al.
J. Org. Chem. 2020, 85, 4, 2321.

なお、分子構造としては家のような平面ではなく、四角形シクロブタンを平面とした場合に屋根は紙面に対してほぼ直角に立っています。結構無理がある形をしてはいますが、『どう考えてもむりでしょこれ』という構造も自然界は作り上げてしまうのでないとは言い切れません。

天然物はどこまで歪めるか

そんな一軒家分子が最近出てきたので、その話を。

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2017年08月01日

撤回された天然竜血分子が全合成で確かめられた話

論文の取り下げについては某ありまぁす細胞の件でずいぶんと世間にも知られるようになりましたが、著者が訴える説の根幹が致命的に揺らぐ場合、↑のようなデータねつ造だけでなく、データの誤解釈や過大評価、再現性皆無、実はまったく違う因子もしくはコンタミが原因だったといった場合でも、retraction(撤回)という形で論文そのものが「なかったこと」になります。

ただし「なかったこと」と言っても全く歴史上から消されるわけではなく論文そのものは存在し、それが『撤回』されたという形で存在し続けます。ある種晒し上げですな。なので、論文そのものはなかったことになりますが発表されたこと自体は存在し続けるので、こうした論文が撤回後も引用されることはよくあることです(m9(^Д^)プギャーっていう引用もあるけど)。もちろんそれを根拠にして再現性を確認して復活することもたまにあるわけですが、そもそもその事実自体が撤回されているので、それの真偽や再確認についての話はあっても、「撤回された論文の内容を前提とした研究」というのはなかなかありません。てかそんなのありなの?

そんな話が最近現れたので紹介することにします。

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2013年11月29日

天然物のお名前―中華編―

すっかり忘れてた化合物のお名前シリーズ!


天然物の名前となると、「~トキシン(~toxin)」、「~オール(~ol)」、「~マイシン(~mycin)」といった感じである程度決まった形式の名前が付けられることが多く、何処の国の何から取れたとしてもある意味洋風な名前で統一されている感があります。ですが、そんな流れを無視するかのような現地語丸出しな名称のまま一般にとおっているものもいくつか知られてるのです。今回は中国語まんまやんけ!という天然物を紹介します。

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2013年03月02日

有機分子の形をベースに色々例えてみた

世界的権威の論文誌「Cell」の表紙にタンパク質を女の子に擬人化したイラストが載ったと話題になっているようです。

世界三大学術誌Cell、最新号の表紙がタンパク質を擬人化した女の子ということで話題に
(アレ待チろまん)


こういう注目を集める表紙になると全くの門外漢や科学にかかわってもない人からも食いついてもらえるので、そのインパクトは計り知れない物があります。事実、以前に同じCellの表紙をJOJOでおなじみの荒木飛呂彦氏が手掛けた際には2chまとめブログ等までもが取り上げて(中身についてはほぼスル―だけど)大騒ぎになりました。逆に日本工業新聞での記事は「表紙になった」くらいの取り上げ方で荒木氏に一切触れず、ずいぶんそっけなくて面白かったです。

取り上げた人によっては「萌えイラスト」とか言われているようですが、個人的には「ラブケミストリー」の表紙みたいでオサレだと思ってるんですが、これは私の萌えのハードルが一般人より高いからですかそうですか。まあ萌え云々言うのであれば2010年に登場したJ. Org. Chemの表紙に勝てるモノは未だに無いような気がします(何がすごいってこれだけ萌え萌え言われてるのにこの論文が日本発『じゃない』ところ)。

こういう表紙なりgraphical abstractは大体がその機能・効果を分かりやすく伝えるものになっていますが、分子の形をベースにした擬人化などでabstや表紙にインパクトを与えることも出来るはずです(分子が人型になってしまったナノプシャンシリーズは別、あれはあれで凄まじいインパクトですがw)。
[3/2追記:そういえば元素自体は既に萌え擬人化されてましたねw忘れてたw]
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2012年09月19日

天然にない官能基の話

天然には無数の有機化合物があり、様々な官能基を持っています。
一方で化学の進歩により人工的に作り出された官能基もあります。
有機化学の基本の授業では色々な官能基を習うわけですが、天然物にある官能基はいくらでも人工化合物には組み込める一方、工業的な化学製品、医薬品でよく見かける官能基なのに天然物ではそんなに見た覚えのない官能基も中にはあります。

今回は窒素官能基でそれを見ていくことにします。続きを読む
posted by 樹 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 化合物・反応お名前 | 更新情報をチェックする