2011年11月06日

エステルだけに求核反応させる話 その2

カルボニルに対する求核反応は有機化学の中でも基本的であり、且つ立体選択的合成、増炭反応としてとても重要です。その求核剤の反応性はカルボニル化合物の中でも以下のようになっており、アミド・エステルが低く、アルデヒドが最も反応しやすくなっています。この基本的な序列は合成戦略を組み立てる上で極めて重要ではありますが、実際に基質が官能基で一杯になってくるとこの序列のせいで困ったことになることもしばしば。

01.jpg




続きを読む
posted by 樹 at 10:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 酸化還元反応 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月22日

DIBAL-Hと1,4還元の話

ちょっとカテゴリ分けとか「続きを読む」っていうスタイルに変更したりと改造したんですが、どうもこのseesaaブログ、その反映が全然上手く行ってないらしく、開くページによってカテゴリー毎の記事数が変わって表示されるというダメっぷりを発揮。せっかく細分化した(つもり)なのに!

話は変わってこのサイト、自分の勉強も兼ねてっていうのもありますが基本的には学部、院生時代から気になってたネタ、反応を掘り下げまくってエントリーしたり、過去にまとめたことのあるものとか自分の合成で使ってたことでなんかニッチな感じのするものなんかを中心に書いてます。あとは全合成論文中でむむっ、と来た反応を掘り下げてみたりとか。

新しいネタやマニアックなヤツも拾ってきますが、基本的なネタも交えてポストするつもりなので有機化学勉強したての学部生の方等も参考にしていただければと思います。
あとブログタイトルですが、有機合成やってる身として沈まないで生き残ってやる的な意味合いで付けたのですが、正直失敗したと思ってますw今更変えるのもなんなのでそのまんまにしときますけど(全く化学と関係ない私的な話の雑記も書こうかと思ってたってのもあるかも、もっともorgchemicalなんてURL取得してる時点でもうそんなの書けないじゃん、と気付いたのは開設後しばらく経ってからだったりする)。

都合上本年度に入ってから更新頻度が激落ち(というか前の更新頻度が異常か)してますがまあ月に1回は最低ポストしたいなーと。更新が止まった場合には更新するネタが無くなったか、飽きたか、「ああ、沈まずって言ってたけど遂に沈んだのかw」とか思っていただいてよろしいかと思います(ぇ

というわけで前振りおしまい!今回はDIBALの話。

DIBAL 構造.jpg

続きを読む
posted by 樹 at 12:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 酸化還元反応 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月24日

炭素−炭素結合開裂-オゾン酸化やdiol開裂-

有機化学では炭素―炭素結合の構築の方が注目されますが、逆に切断する手法もまた大切な手法です。特に炭素―炭素結合を切断して酸素官能基へと変換する手法は基礎的かつ重要な化学変換法であり、学部の有機化学の授業でも教わるオゾン酸化もその一つ。

炭素―炭素2重結合を、酸素ガス存在下放電によって発生させたオゾンガスによって切断し、カルボニルへと変換する手法。結構トリッキーな反応ではありますが授業で必ずやる結合切断法です。反応機構は教科書的に、オレフィンとオゾンとが[3+2]の反応を起こしてモルオゾニドへと変化、極めて不安定なこの構造は速やかに逆環化反応によってカルボニルフラグメントと過酸化カルボニルフラグメントへと分解、さらにその二つが先ほどとは異なる位置で環化してオゾニドへと変化。この構造は(爆発性はありますが)安定であるので、これを処理(一般的にはtriphenylphosphineやdimethylsulfideなど、NaBH4などを用いると異なる生成物を与える)することでC=CがC=Oへと変化する形で真ん中から切断された2つの基質(アルデヒド、ケトン)が得られます(clickで拡大)。

一般オゾン.jpg

と、以上の反応機構はテキスト的に教わるもの。実際にオゾン酸化をした人ならわかると思いますが、反応途中でTLCを見てもやけに多点化していたり、そのくせ処理後にはしっかり生成物ができていたり、処理前なのに生成物が見えていたりと、教科書のように単純ではありません。

続きを読む
posted by 樹 at 01:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 酸化還元反応 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月15日

マンガン、DDQを使った選択的酸化法(ちょっと追記)

今回は酸化反応について。

アルデヒド→カルボン酸への酸化は全ての酸化法で可能というわけではなく、Dess-Martin酸化、Swern酸化などではカルボン酸に酸化することはできません。Jones酸化、Pinnick酸化、Fetizon酸化、PCC酸化などがカルボン酸への酸化が可能な手法であり、主には前者2法がよく使われています。また、同じアルデヒドでもα-β不飽和アルデヒドのみを選択的に酸化するする方法としてCorey-Gilman法が知られています。これはKCN(もしくはNaCN)と過剰量の活性二酸化マンガンを用い、AcOH酸性MeOH中で反応させる方法で、系内でシアノヒドリンを形成、それがMnO2によって酸化されてアシルシアニドとなり、これがメタノールで加溶媒分解を起こしてメチルエステルへと変換するものです。他の酸化と違うのはカルボン酸ではなく、いきなりエステルとして得られるというものです。

corey-gilman-ganem oxidation.jpg

続きを読む
posted by 樹 at 01:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 酸化還元反応 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月06日

Swern酸化の利点

同じような変換でも、様々に異なる手法がが世の中には知られており、その各手法の長所や特徴を把握して適切な方法を選ぶのも重要な合成計画の一つです。今回は酸化反応の中からSwern酸化について。

続きを読む
posted by 樹 at 02:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 酸化還元反応 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする