ChemDraw Ver 19.0を触ってみた: たゆたえども沈まず-有機化学あれこれ-
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レポート・実験データ等のまとめ
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・MS WORDショートカットや特殊アルファベットの入力法まとめ
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・出版社ごとのオープンアクセス化費用をまとめてみた(有機合成化学向け)
・ネットコンテンツを参考文献に挙げる話
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・タダで読めるけど・・・-オープンジャーナルのあやしい世界
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材料化学・自然化学・疑似化学
・ボーイング787の窓の秘密とクロミック材料の話
・アメフラシの紫汁の謎
・タコが光ってもいいじゃなイカ!-青い毒タコ・ヒョウモンダコ科の秘密-
・やけど虫の毒と抗がん活性
・世界一大きい花の臭いの話
・竜の血の赤、虫の赤
・撤回された天然竜血分子が全合成で確かめられた話
・はじけるキャンディ・ドンパッチの話
・危険なDHMO? SDS(MSDS)の話
・水を脱水した話
・高校生が高価な薬分子を格安で作った、という話
・人工分子は天然に存在しないのか―抗がん剤分解物は妖精さんだった話―
・創薬分子が天然から採れた!!と思ったら・・・な話

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・Swern酸化の利点
・光延"反転"の話
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・モレキュラーシーブスは塩基か酸性か
・TBAFにモレシな話
・モレキュラーシーブスの乾燥法で収率が変わった話
・原料の不純物で反応が行ったり行かなかったりした話

大学講義の初級有機化学
・フィッシャー投影式をジグザグ式に変換する方法
・ニューマン投影式の理解の仕方
・R/S表記やE/Z表記など

2019年10月31日

ChemDraw Ver 19.0を触ってみた

(2019.11.20: Arialのままでも日本語がかける話を追加)

ChemDrawの最新版、Ver19.0が10月28日公開になりました。

Release Announcement - ChemOffice and ChemDraw version 19.0 (Perkin Elmer)

ChemDrawは(管轄がPerkin Elmerになってから?)、サイトライセンスであっても個々人でのアカウント作成→アカウントごとにダウンロードセンターからのアップデートが前以上に簡単にできるようになっています。
というわけでその追加機能等の紹介とその他について、人柱として大慌てで簡単に紹介します。


ChemDraw00Logo19.png


・ホットキーの追加
以下のホットキーが追加されました。これで書くのがより便利に!Carbamoyl系保護基が多いのでペプチドマン歓喜(そうかな?
他にも"COOH"が追加されたらしいですが、どのキーなのかわかんなかったのとCO2H派だしこんなんつかわんやろって思ってるのでスルー

N3   Shift + [Z]
Cbz  Shift + [H]
Boc  [Y]
Fmoc  Shift + [Q]
NO2  Shift + [N]
MgBr  Shift + [M] ←Grignard試薬がより描きやすく?なりました。

ところでホットキーはver17から結構変わっちゃってて、こういうショートカットキー変えるの困るんですけど
( ・᷄ὢ・᷅ )
([T]でのTMSとOTs表示が使えなくなったのが痛い)

・フォントがArialのままでも日本語で表示されるように(2019.11.20追加)
いままでのversionだと日本語を表示させるには普通に日本語を入力しても文字が化けちゃうので、そのあと適宜日本語のフォント(よく使われるのがHGPゴシック類やMSゴシック・明朝など)へと変更する必要がありました。
しかし、このVer19.0からはフォントを変更せずデフォルトのArialのままでも日本語が表示されるようになっていました。これは便利。
ただ、カッコなど半角でも可能なものを使った時に表示がうまくいかないことがあるので注意。


・データベースアクセスボタンに"SciFinder-n"と"GHS"が追加
Ver 18からChemDrawに描いた構造式からダイレクトにデータベース検索がかけられる"Reaxys"ボタンと"SciFinder"ボタンが登場しました。検索データベース上の描画インターフェイスめっちゃ使いづらいんで、このボタンは大変重宝しています。
そして、そのボタンにver 19から"SciFinder-n"用のボタンが追加されました!ってかSciFinderボタンと別なのかよ。いろいろ金の臭いが。というわけでSciFinderからSciFinder-nに切り替えさせられた機関はこれでやっと検索が便利になります。

そしてもう一つ追加されたのが"PubChem GHS Laboratory Chemical Safety Summary (LCSS)"ボタン。GHSとは"Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals"の略で、安全性に関する国際的に統一された基準で提供される危険有害性情報システムです。まあ要はSDSといった薬品ハザード情報が手に入るってことです。ChemDrawで描いた構造式や略号を選択してこのボタンを押すと、一発でその化学物質の安全性情報にたどり着けるので結構これは重宝しそう。

GHSとは(環境省)

ChemDraw01.png

"THF"といった略号でも可。右上にあるボタン類を押すと、こんな感じで別ウィンドウに情報が出てきます。ちなみに大昔から続く「THFの略称が構造エラー出る」問題はver 19.0でも解決されず。


・高分子繰り返し構造のかっこ書き数字でも分子量や構造式が算出可能に
高分子だけでなく低分子でも繰り返し構造がある場合、スペースの都合で「( )」書きして省略、右下に繰り返し数を入れていました。当然構造的にはこれまでは後から追加した「( )n」は考慮されないので分子量や分子式には手計算を要求されましたが、Ver 19.0ではカッコ「( )」を書くと自動で右下に繰り返し単位の数字を入れられる手順にシフトします。つまり「( )」の描画が「( )n」としての機能付きに進化したわけです。今まで数字のサイズでも悩んでたのでこれはうれしい機能。

ChemDraw06Polymer.png

こんな感じで分子量も構造式も出せます。個人的には数字のフォントサイズと位置で悩まなくて済むのがうれしい。


・芳香環の表示形式を切り替えられる
これってひょっとして前からあった?まあいいや初めて知ったしスルースルー。
ベンゼン環の芳香族性は「〇」で描くのが実際は近いのですが、現実的に共役や電子の押し引き等々を理解するにはやっぱり不飽和結合3つの形で描くのが便利なのです。それを切り替えるのが[Structure]にある"Tobble Aromatic Display"。Alt+[K]のショートカットもあり。これいつ使うねんという気もしますが、フェロセンなどは〇で書いたりするし、あとChemDrawデフォルトの斜め芳香環(template中のCp, Ph ringsなど)の描写は全部〇で描かれちゃってたりするので大変昔から気に入らなかったのですが、この機能を使えば無事相互変換が可能に。

ChemDraw05Aromatic.png

〇から2重結合3つに直すパターン、もう一回押せばその逆。立体表記が消えちゃうのでそこは手動で。


・環構造を色塗りできる
こ れ 要 る?
というわけで環構造の中を塗りつぶしてカラフルにできます。猫も杓子もインスタ映え(そういうやつなの?
環の範囲を選択したのち、[Colors]にある[Fill Ring Colors]→好きな色を選ぶことで・・・・

ChemDraw02RingColor1-1.png



ChemDraw03RingColor2.png

これであなたもK. C. ニ〇ラウ風の論文に
(色の濃さ的に最近多いチャイナ物取り界隈の論文っぽくもあるな?)


といった機能が追加されています。高分子界隈とSciFinder-n利用者はupdateした方が便利かもしれません。

さて、ポジティブな話はここまで。
ここからは導入後に遭遇した変なバグについて報告します。


正直ChemDraw上で日本語を書かなければ何の問題もないのですが、申請書やら願書やらでproposalを書くときはどうしてもChemDraw上で日本語を書く必要に迫られる場合があります。そしてこのVer19、なぜか「安全」、「安心」、「安寧」といった単語が入っているVer18以下で作成したChemDrawファイルを開こうとしても、破損ファイルと認識されてしまい開けません。中には開けるファイルもあるのですが、
元ファイルの「安直」が「鮎」、「安泰」が「為」に変わってしまっていました。その一方で「安価」は問題なし。なんで?

じゃあ「安~」という言葉がver19では使えないのかというとそんなことはなく、普通に「安全」も「安心」も書けるし保存もできます。ところが、そのVer19で作ったファイルをVer18で開くと、やはり文字が化けてしまいます。まとめると、どういうわけか「安~」という文字列にVer18~19間の互換性がないものが多数あるという、大変意味の分からないバグを見つけてしまいました。文字化けするだけならともかく過去Verのファイルが開けなくなる症状はほんと困る・・・
ただし完全にn=1の事象で、ほかの人でも同じようなことが起こるかどうかは不明です。

また、Ver18から発生している大変困ったバグとして、「MS Word上にChemDrawファイルを貼り付け、それをPDF化すると、ChemDrawファイルのボックスの影や文字列の表示がめちゃくちゃになる」というのがあるんですが、これも直ってません。AdobeのせいなのかChemDrawのせいなのか。これの何が困るって、科研費とかの書類にChemDrawファイル貼ってると、提出時の強制PDF化で体裁がめちゃくちゃになっていることに気づかずsubmitしちゃう可能性なんですよね。というわけで、生のChemDrawファイルではなく画像ファイル(tiffなど)に変換して貼り付けてからPDF化し、ちゃんと確認してから本提出しましょう(1敗)。

Macの話?しらないしらない。

posted by 樹 at 09:00| Comment(0) | 化学とネット・PC | 更新情報をチェックする
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