今回は学会のマナー的なやつの基本でもある「撮影」についてちょっと今年思うことがあったので。
今年アジア某国での国際学会に参加しました、初某国。スパムメールで来るようなウソ会議じゃないよ?ちゃんと伝統も権威もある各国持ち回りのやつ。で、もちろん学会自体は普段通り行われたわけなんですが・・・・。
Plenary講演やInviteの講演が始まってから異変に気付いたんですよ。
ええ、
スタッフ含め現地学生がみんなしてスマホで講演スライド撮影するんですよ。しかも毎スライド。
「撮影禁止」を撮影するのはセーフなはず・・・!(震え声)
バイオとかコンピューター系の学会はどうなのかわかりませんが、少なくとも化学では学会発表は論文に先行して行われることが多いので、学会発表よりも論文発表をもって成果とする分野としては事前にネタばらししてるようなもの。それらを撮影されて持ち帰られたら下手すりゃ先に出されてしまう可能性もあるわけです。しかもうまくいったものばかりを載せるわけですからその通りやっとけばうまくいくわけだし、なんなら相手が学会発表したとこまでで先に論文化してしまえば楽して成果総どり、相手をつぶすこともできちゃうわけで。
ということやなんやらがあるので基本的に学会は撮影禁止のはずです。ハワイでのPacifichemでも写真撮ってたやつに御大がブチ切れたという話も聞くし。無論やろうと思えば撮影録画なんかしなくたって出来るんだけど、特にきょうびそういうクローズドな情報もオンラインにバーッと即拡散してしまうのでやはりそういう事態は避けたいところ。
と、ここまで書くと「なんだ某国最低だな」とか「民度www」とか「スパイ国家だ!」とかいう印象を持つ人もいるかもしれません。まあそれも否定はできないんですが、個人的に感じたのはそういう権力とか戦略とかそういう話じゃなくて、
もう「写真を撮ることそのものが特別なことだという認識が一切ない」んだなってシンプルなことです。
どういうことかというと、確かに毎スライド撮影するんですよ。でもそれだけなんです、「撮影して終わり」なんです。純粋に研究目的だろうがスパイ目的だろうが(スパイ目的で堂々とカメラ構えてたらただのアホですが)、真面目に情報を得ようとするならスライド撮影以外にも言ったことをもとにメモるとか内容の概略とか感じたこととか書くでしょう。でもそれもなし。撮ったらカメラおろしてノートも出さずそのまま、で次のスライドに行ったら一斉にカメラ上げて撮影、以下繰り返し。これどっかで見たことあるなあと思ったら『講義でスライド撮影(だけ)して勉強した気になってる』学生と同じなんですよね(てかスライド配布してるのになんで撮影すんの)。
それこそ昔はカメラなんて高級品だし、それ以上に
カメラを持ってくる=撮影しようという意図・意志がある
なわけですから、コンサートでも学会でもカメラ持ち込み禁止とかいうことをしてたわけです。そして撮影する側も
普段持ち歩かないカメラを持つ=日常的でない特別なこと
という感覚があったように思うのです。だからダメって言われたときにも自制しやすいし、でかでかカメラ抱えてりゃ明らかに怪しいし。
ところが今やカメラはカメラとして独立しておらず、携帯電話(というかもう電話でもないな)・携帯ネット端末の1機能として、先進国途上国問わず誰もが常に持ち歩くものになってしまいました。そしてその機能・解像度も格段に向上。もう思い立ったらすぐ取れるし、昔みたいにフィルム残数気にする必要もなく連写しまくれるし、息を吐くように写真が撮れるわけです。動画も録音も同様。そしてカメラ単独でなくなった以上持ち込み規制もできないし。もはや我々ジジイが持つカメラの感覚と全然違い、撮影に抵抗がなく、撮影禁止って言われてもまあええやんってなるし手持ちでカメラもってるし止める手立てはないわけです。この点で「我々日本人はそんなことない」的なこと言うのもいるんでしょうけど、そもそも日本の携帯端末どういうわけか()シャッター音なってうるせえじゃん?撮ったらバレるじゃん?てだけでは。音消しアプリあるけど。
と、ここまで書いてると
(゚Д゚)<最近の若者は実にケシカラン!わしらのころは以下略
というド定番のくだらん小言にしかならんのですが、わかもんこき下ろして切り捨てられる話じゃないのは、携帯端末が全世代に普及していることを考えればすぐわかること。
同年参加した別の某欧米での国際会議では、有名御大も頻度こそ少ないものの明らかにスライドを選んで撮影しているのをみていますし他にも何人か。もちろん非アジア人。日本人がどうしてたのかはしらない。もうスクリーンショットみたいな感覚なんだろうなあ、スマホで撮影するってこと自体が。
で、スライドを撮影すること自体ですが、個人的には撮影したい気もすごいあるんですよ。イントロのコンセプトとか長ーい文章(名言的なやつ)、使い道まとめ図みたいなの出されると書きようがないし、一枚絵でぱっと撮ってしまえれば楽なのになあと思うことは多々あるのです。もっと困るのがスライドの出された参考文献。あれメモるの大変なんですよ、ページ番号書いてる最中に次のスライド行かれたり、あんまり書くのに集中していると講演聞けないし。こんなん最初に撮影しちゃえばあとで文献のとこみればいいんで講演そのものに集中できるのになあ、と思ってる講演ノートの9割が文献で占められてるマン。
でも撮影OKにしたらしたで絶対問題になるし(ポスターは最近国内でも「本人の了解とってね」ってのが出てるけど、結構本人いない隙に撮ってるやつを見る)。どうしたらいいんでしょうねこれ。個人的には一般公演はアレだけどPlenaryとかInviteくらいちょっと許してちょ、って思うんだけども。
ちなみに前述の某国国際会議、スマホで講演撮影とかそういうこと以前に、
・「Confidential」とでかでか書いてある企業講演スライドも遠慮なく大勢撮る
・そもそも個人でなくオフィシャルに三脚付きビデオカメラで全講演ばっちり撮影
・ポスターを端から一眼レフで撮影して回るスタッフ
という会議であったことも付け加えておきます。
やっぱし国際学会で未発表ネタは言えんな(;´Д`)
何を今更?学会初めて行ったイキリ学生さん?
普通に日本人の研究者も、アカデミアも企業も関係なく撮ってるよね(別に日本人が格別多い訳でもない)。で、「講義を撮る学生」って結論ありきで穿った目をしてると別かも知れないけど、普通に聞いたこともメモして質問なんかもしてる人も多い。
そもそも論文に先立って学会発表した内容のトレース実験なんてやったら、マトモな研究者なら「あっコレあのラボのあの発表のパクリやん」と気付いて、爪弾きにされるよね。だからやらない。
は明確に逸脱した投稿であり削除対象. 他の読者にも迷惑, 不快.
意見が少し意味不明なだけならまだスルーで済んだのにね.
情報技術の普及が進んだ結果, 旧い慣習が宙に浮いてしまったみたいなよくある話か.
発表会場が撮影禁止に指定されているのに撮影しても罰則がないのが一つの問題だろうな.
本気でコントロールするつもりなら端末の持ち込みを禁止にするしかないんじゃないだろうか.
たとえ同業者でも紳士的でない人間がいるのがわかったので, やっぱルールはきっちり守られるようにすべきだと気付く.
学会側が本気で禁止する様子がないってことは, 撮影が剽窃に繋がっている事実は今のところなく, 撮影が行われても実際の影響はないって考えてるからなんだろか. もし学会が不正の媒体になっていることが明らかになった場合, 困るのは発表者だけじゃなかろうに.
まあ「撮影禁止」って言ってるのに『みんな撮ってる』とドヤるのが来るとは思いませんでしたが、スパム以外は消してないんでほっといてました。これ以上なんかなるんならごっそり消しときます。
端末持ち込み禁止は無理でしょうね。ライブコンサートでも昔はそれこそカメラ持ち込み禁止で荷物チェックまでされましたけど、電話含め多機能in oneになるとそれを持つなと言っても無理難題ですし。もう撮られるものであるという前提での発表者側が対応するしかやりようがないのでは。