2017年03月27日

サンシャイン水族館『毒毒毒毒毒毒毒毒毒展・痛(もうどく展2)』に行ってきた

水族館大好きマンとしては水族館の特別展示のチェックは欠かせません(そのくせ沼津港深海水族館とかアクアマリンふくしま行ってない。あとチェックしたからと言って行けるとは限らないし基本行けない、葛西臨海水族園のイベント何度逃したことか_(:3」∠)_)。だれか年間パスポートください。

というわけで、始まったばっかりのサンシャイン水族館の「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展・痛(もうどく展2)」に行ってきました!前回のもうどく展は2014の夏ごろで、色々な海洋毒生物とその毒成分症状を展示するものでした。この辺は以前にも紹介していますので、復習のため(?)に↓もご覧くださいませ。

サンシャイン水族館「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展(もうどく展)」に行ってきた←前回の話

今回はその続編、「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展・痛」です。

毒毒毒毒毒毒毒毒毒展・痛 - サンシャインシティ
開催期間 2017/03/16(木)〜2017/06/25(日)
開催時間 10:00〜20:00


もうどく2-1ポスター.jpg


この展示、サンシャイン水族館本館展示とは別の特別展示なので別料金(¥600、年パスもしくは本館チケットがあると¥400)です。逆に言えばこの特別展示だけでも気軽に入れるようになってます。なお本館展示にもヤドクガエルとかがいたりしますのでこちらもチェックしときましょう(宣伝)。

もうどく2-6サキシトキシン.jpg

こういう内装見て食いつくのほんとやめような俺。ちなみにこれも海洋毒のサキシトキシン。全合成例も20世紀までは岸義人くらいだったのに21世紀になってからどんどこ増えてきた印象あります。


もうどく2-2ファイアサラマンダ.jpg


ヤドクガエル並みに毒々しい色をしてるイモリの仲間、ファイアサラマンダー。何が恐ろしいってこいつは毒腺から毒液を飛ばしてくるところ。実物結構でかいのな。
展示のボードだと『毒成分:神経毒』という雑な書かれ方してますが、こいつの毒成分はステロイド型アルカロイドで、サラマンダリンをはじめとして数種類あります。いくつかは1960-70年代に全合成もされています。

もうどく2-2ファイアサラマンダステロイド毒.jpg


A Total Synthesis of Samandarone
S. Hara, K. Oka
JACS 1967, 89, 1041-1042

Denial of the proposed structure of salamander alkaloid, cycloneosamandaridine. Total synthesis of cycloneosamandione and supposed cycloneosamandaridine
K. Oka, S. Hara
JACS 1977, 99, 3859-3860

Alkaloids from Amphibian Skin: A Tabulation of Over Eight-Hundred Compounds (review)
J. W. Daly et al.
J. Nat. Prod. 2005, 68, 1556-1575

↑"Denial"なんてタイトルの論文初めて見た。


もうどく2-3モンガラカワハギ.jpg
もうどく2-7ドクウツボ.jpg


海洋毒の中でも有名なのがシガテラ毒。これらは攻撃のための毒ではなくこっちが食べちゃったときに大変なことになるタイプの毒。本展示場ではモンガラカワハギ、バラハタ、ドクウツボなどが展示されています。シガテラ毒の成分の一つであるシガトキシン1B (CTX1B)は下のような芋虫型をしています(ポリエーテル)。シガトキシン類はこのCTX1Bだけでなくこんな形のキモイ分子が何種類もあったりします。

もうどく2-4CTX.jpg


もうどく2-5ハタゴイソギンチャク.jpg
もうどく2-55ウンバチイソギンチャク.jpg


毒の定番イソギンチャク。ですがいわゆる一般的な形のイソギンチャクではなく、今回の展示ではハタゴイソギンチャクとウンバチイソギンチャクがあります。前回展示されていたスナギンチャクはバカでかい非ペプチド毒のパリトキシンでしたが、今回のはそれぞれ毒成分としてペプチド毒がしられています。

Isolation, characterization, and amino acid sequence of a polypeptide neurotoxin occurring in the sea anemone Stichodactyla helianthus
Kem, W. R. et al.
Biochemistry, 1989, 28, 3483–3489

Proton NMR study of the solution properties of the polypeptide neurotoxin I from the sea anemone Stichodactyla helianthus
Kem, W. R. et al.
Biochemistry, 1989, 28, 1820–1826

ウンバチイソギンチャク類の刺胞毒(ミニシンポジウム海洋動物の刺毒に関する最近の知見)
大城直雅
日本水産学会誌 2003, 69, 829-830


そして今回の展示の目玉は、なんとスカンク!
水族館とは一体何だったのか。

もうどく2-10スカンク臭い.jpg


だいぶ薄めたスカンクのにおいを嗅げるという貴重な体験ですよ。ちなみに展示されていたシマスカンクの悪臭成分は以下のような硫黄化合物群。わかってる人が見ればやばいことがよくわかります。

もうどく2-10スカンクにおい.jpg


さて、普段からジメチルスルフィドだのチオフェノールだのをはじめとしたおぞましいにおいに囲まれてる身としてはワクワクするですよ!
というわけで、においのボタンをポチっとな!!!



・・・・

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山岡.png


薄めすぎ!!!薄すぎて「ワンプッシュだけ」って書いてあったのにうっかり2プッシュしちゃったよもう。いやまて普段の環境のせいでマヒしちゃって一般人と感覚違うのかも・・・?まあこれはやばいって臭いにまでしたら展示会場が恐ろしいことになるからしょうがない。もし興味がある方はその辺の大学いけばこれらの原液もってるところいろいろあるんで嗅がせてもらえるかもしれませんが、
や め と け

なお、毒のさかなの代表例ともいえるフグも前回に引き続き登場。でも前回クサフグとかだったのに今回コモンフグとかだいぶ地味。

もうどく2-9コモンフグ.jpg


で、このフグ毒の成分であるテトロドトキシンも、前述のサキシトキシン同様に構造が内装デザインに描かれているんですがこれがまた適当。何個も描かれているにもかかわらず一つとして正しい構造式がないってどういうことなの。そのくせサキシトキシンはちゃんと合ってるから謎。

もうどく2-8TTX1.jpg
もうどく2-8TTXとSTX構造.jpg



もちろんここに載せていない生物もいるんですが全部載せるとよろしくないのでこんなところで。
で、今回の展示の感想ですが、

前回全力出しすぎて2はネタ切れ

に尽きるかと。前回スベスベマンジュウガニとかスナギンチャクとか、フグでもハコフグとかいろんな種類いたのに、今回全然魚とか水生生物いないしそもそも種類が全然。あとオニオコゼは前回もいたな?肝心の毒の種類とかにしても、まあ毒成分の決定ってすごく難しいしいうほど種類もそんなないからしょうがないんだけど、前述のファイアサラマンダも「神経毒」で濁すし、わかってるやつはわかってるやつでなんか全体的に「シガトキシン」でやっつけてる感じも。あと成分が不明なのはわかるけど症状が不明ってやつもあってそんなのありかよと。

というわけで、前回の毒毒毒毒毒毒毒毒毒展を期待して行かれるとかなり(´・ω・`)ってなると思います。まあ¥600で入れる特別展に過剰な期待しすぎといわれりゃそうなんですけど、少なくとも整理券入手まで1時間、指定時間まで1時間の中途半端な暇つぶし、並び始めて入場まで20分をかけてまで行く必要は個人的にないかとおもうので、もう少しほとぼりが冷めたころに行くのがよろしいかと思います。少なくとも連休は避けよう。

もうどく2-Xシマスカンク1.jpgもうどく2-Xシマスカンク2.jpg

まあ、すやりシマスカンク(しかもあおむけ)見られたから問題ないわ(´∀`*)

ちなみにペットのスカンクのお散歩に遭遇したことあるんですが、あのふっさふさなしっぽフリフリしながら夜道歩かれると、巨大な毛虫が前から接近してくるようにしか見えなくて心臓に悪いので勘弁してください。


posted by 樹 at 09:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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