明けましておめでとうございます、今年も宜しくお願い致します。
さて毎年やっていた「~に行ってきた」シリーズ、過去「元素のふしぎ展」(2012)に始まり「深海展」(2013)、「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展(もうどく展)」(2014)、「単位展」(2015)と毎年続けてきましたが、なんと2016年はどこにも行っていません。なんてこったい!いや単に書くような展示会とかなかっただけなんですけどね。
そんな中、ぎりぎり「2016年版~に行ってきたシリーズ」に間に合わせるべく?暮れも押し迫った12月31日の大晦日に行ってきましたよ、お台場国際展示場(ビッグサイト)で開かれていた冬コミことコミックマーケット91に!
え、化学関係ない?あるんだなあこれが。
コミケと言えば東京お台場の国際展示場にて夏に開催され、3日間延べうん十万人が訪れる同人誌即売会ですが、冬もやってます。最近だとコスプレもよく話題に上りますね。中には夫婦子供の一家そろってやってるのも。いーないーな(´・ω・`)
実はわたし、夏冬通じてコミケの参加は約20年ぶり2度目。その昔行った理由も、『友人宅に忘れ物して取りに行こうとしたら「オリジナルでサークル参加するからコミケ来て取りに来い」と言われたから』というなんか目的間違ってる理由でした。
てかそれ、コミケそのものに別に用がないな?

↑逆光でなんかおめでたい感じするけど初詣じゃないのであしからず。
なお9時半過ぎから並んで入場できたのは11時(;´Д`) (開場は10時)
ちなみに会場は上の逆三角形部分じゃなくてここに映ってない下の大ホール。逆三角形部分の階とその上は大小の会議室になってて学会シンポジウムなんかでも使われますね。さらに上に行くと展望レストランがあって懇親会なんかも行われます。あそこの夜景すごいきれいなのでいいっすよ(。・∀・)ノ

↑同人誌じゃないけどりんかい線国際展示場駅のトイレにでかでかと貼ってあった「はたらく細胞」ポスター。色々説得力ある。こえーよ。

↑会場ホール内。奥の黒いのみんな人間。こんなホールがいくつも。
基本的に2次創作本には興味がないのでコミケには全然行こうと思ってなかったんですが、アニメとか漫画の2次創作ばっかりクローズアップされてるコミケ、実はそれらと全然関係ない事柄の論説・解説本やグッズが結構な割合を占めているということを後々知りました。例えば電子マネー比較とかスカイツリー定点撮影、ムササビフルカラー写真集、変な形の高層建築いろいろ、数学定理のガチ解説、爬虫類の体表模様にフォーカスした本、村上春樹風文章が書けるようになる本、排水パーツまとめ本、マーガリン食べ比べ批評本やアジの開きのきれいな食べ方本などなど、こんな程度では済まないウルトラマニアックな分野の本まで結構な数が出ているというのです。てかそれぞれでタモリ俱楽部でやりそうな感じがすごい。なお、マーガリン食べ比べ批評本(なんとフルカラー!)は買いました。

↑最高にアホな企画本(誉め言葉)。でも成分表、マーガリン史、昔のマーガリン広告や「マーガリン=プラスティック」が誤訳であることもちゃんと書いていたりと内容は非常にまじめ。隣はアイラお勉強用に買ったった。
で、そんな中には医学生物学化学の本もいろいろあると聞いたので20年近くぶりに参戦を(前日)に決意したわけです。というわけで今回は買ってきた科学分野の本を紹介します。なお中身は写すのよろしくないので外観だけで勘弁してください。
ちなみに行くの決めたのが前日なのでどこのサークル回るとかそういうことほとんど決めてなくてほぼ事実上当日情報集めたり、ウィンドウショッピング的にぶらぶらして探したやつです。ええ、要は行き当たりばったりです。会場は冗談抜きで広いし恐ろしい数のサークルがあるのでよい子はマネをしないように。

どっかで見たことあるデザインの表紙です?気のせい気のせい、というサークル「生命科学同女子会」実験女子学(新刊はvol.3)。表紙でなんだマンガかと思う人もいるかもですが、内容はそんなイラストほとんどなしのまじめな生命科学レビュー。「BLの遺伝学」など(コミケ的に)キャッチーなタイトル見出しで大真面目な話するのは大好きです。Referenceばっちりだしわかりやすくできてるので、生命科学に興味はあったけど学部→修士と順調に成績を下げていって向いてなさを突き付けられて脱落した私にはありがたい本です(白目)。そんな人間には小難しい学術書籍でこういった話やられても確実に
( ˘ω˘ )グッスリスヤァってなるだけだもん。

サークル「AirFLUTE」の新刊、CTスキャンについての本。造影CTまで撮られてる管理人としてはやっぱりこいつの仕組みは気になるのです。「中学生までの理科で分かるように書いた」と中の人が行っていた通り、原子とはなんぞや、から始まり電場磁場X線の比較的簡単な解説を経てCTについての概説を行っている本です。きょうびググればわかるんだろうけどこういうのを基礎からひとまとめにしてくれた薄い本(入門書的な意味で)があると大変助かるし興味も理解も進みます。あと「(「中学生までの理科」で分かるように)わかりやすい文章で説明する」というコンセプトからもいろいろ得るものがあります。新刊は当日完売したそうです。
ちなみに上の方に映ってるのは購入特典商品の「"H"なポケットティッシュ」。既刊本は「おしっこの科学」。とってもコミケらしいですね(何が
既刊本も買えばよかったな(´・ω・`)

有機(合成)化学系もあるでよ!それがサークル「輝く分子」。新刊は(DELTAだけど)vol.5で、有機金属、高分子、創薬プロセス、超分子など多岐にわたる分野のトピックスの総説を載せています。内容は各論や先端内容というより入口めではありますが、1トピック6~10ページ強でreferenceも結構な数あり、これボリューム的にちょっとした邦文学術誌「有機合成化学協会誌」の総説くらいあるんじゃね?って気すらします(有合化は総説よりも自分の業績まとめた総合論文がほとんどなんだけど)。大学生、院生の入門書としても分野外の基礎勉強にもよさげなガチ有機本。ここに限りませんがコミケだの同人誌だの言って舐めてはいけない。ここも200部を昼には売り切ったとのことです。

一時期話題となったTwiFULL Pressの「月刊ポスドク」。月刊と言っても実際には季刊といったところです。あらゆる分野のポスドク(相当)の人らが、将来設計や食いつなぎ方などなど生きるすべの体験談やアドバイスなどの寄稿した情報共有薄い本です。ちなみに写真に載せたのは既刊なので今冬コミの新刊(海外特集、渡航とかそういうの)ではないのですが、『非常勤講師』特集ということでこの先生きのこるために買いましたよもう。わたしも後がないんでね・・・(タイトルが『薄れゆく存在意義に生き残りをかけて』だの『最後の砦=非常勤講師』だの漂う危機感がやばい)
ちなみに「進捗ラムネ」(ラムネに「進捗」って書いてある)のおまけつき。新刊の方は『業績せんべい』がついてました。
他にも論文添削付箋やアカハラ(意味深)イモリステッカーなどのグッズも販売しております(『意味不明』の付箋貼りてえ・・・)。月刊ポスドクも含めて、ここはサイトでの通販もあるので気になる方はコミケに行かずともこちらでオーダーもできます。
・STUDIO7839
いつも買い続けてる月刊ポスドク。海外特集で若干えぐられるだけでなく、オマケで現れた業績煎餅に、思わずブースで「これは目を覆いたくなりますね・・・」と売り子の人に言ってしまった・・・w pic.twitter.com/swReg3xTyY
— いっちーさん@英国紳士P (@icchy_07) 2016年12月31日
ところでこういう本は誰が書いてんの?と思う人も多いでしょうが、ちゃんと修士どころかPh.D持ちの人も書いてたりします(もちろんサークルにも依る)。大半は匿名なので素性は分からない場合も多く、(゚Д゚)<そんなもん信用できるか!というのもまあわかります。ただ、論文や書籍原稿と違って外部査読はないとはいえ、『こういうことをしたい!伝えたい!』という意欲で回っているあたり、大昔の学術業界にも似たものがあるのではないでしょうか。幸いにしてこの手の学術本はその手の学術研究に関わってきた人が書いてる場合が多いためかreferenceがしっかりしているので、気になったら事柄の1次ソースに当たれるのは大きいです。なんにしても本当にディープに理解したければ専門書や学術論文に最終的に行きつくわけで、トピックスや入門、概論、ネタがこういった薄い本で得られるのはいいことではないかと思います。別に分野ど真ん中合致してる人じゃなくてもターゲットなんだし。てかコミケ自体お祭りなんだからええやん、なんだってさ(∩´∀`)∩
というわけで、アニメマンガコスプレばっかしだと思われがちなコミケにも、こういう学術的なものが実はいろいろあるんですよという紹介でした。もちろん同じような分野のサークルも他に多数ありますのでこれで気になった人やタモリ俱楽部大好きな人(そこかよ)は、いろんなカルチャーショックを受けるかと思いますが半年後の夏コミで探検してみましょう。
・果てしなくどうでもいいおまけ:ほかに買ったやつ


コミケで免罪符売ってます。東O-31a pic.twitter.com/9SODBUat9U
— 藤原浩一@コミケ3日目東O-31a (@k_fjwr) 2016年12月31日
現代によみがえる免罪符!だいたい売り場の売り文句が『ルター大激怒』ですよもう、こんなん言われたらすごい買いたくなるじゃん。「下記の通り免罪いたします」とかやけに丁寧だし(控)まであるのが笑う。誰用の控えなんよ、教授とか社長に学長?やっぱし罪の内容でお値段ちがうのかしら?
というわけで年末、年度末のラボ懺悔用にどうぞ(やめなさい
「研究費とれなくてすいませんでした免罪符」今のうち用意しとこ(´・ω・`)