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レポート・実験データ等のまとめ
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材料化学・自然化学・疑似化学
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・やけど虫の毒と抗がん活性
・世界一大きい花の臭いの話
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・撤回された天然竜血分子が全合成で確かめられた話
・はじけるキャンディ・ドンパッチの話
・危険なDHMO? SDS(MSDS)の話
・水を脱水した話
・高校生が高価な薬分子を格安で作った、という話
・人工分子は天然に存在しないのか―抗がん剤分解物は妖精さんだった話―
・創薬分子が天然から採れた!!と思ったら・・・な話

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・モレキュラーシーブスは塩基か酸性か
・TBAFにモレシな話
・モレキュラーシーブスの乾燥法で収率が変わった話
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大学講義の初級有機化学
・フィッシャー投影式をジグザグ式に変換する方法
・ニューマン投影式の理解の仕方
・R/S表記やE/Z表記など

2016年12月28日

論文誌1年分まとめ読む話

みなさん仕事納めましたか?え?そもそも納めないでそのまま新年だって?
いや別に特に書くことないんですけど年末なのでかなり短くちょっとだけ。

あ、ケムステのレビュー読んで感化されてついうっかり買ってしまった化学同人の「カリカリベーコンはどうしておいしいにおいなの?」はいい本でしたよ。タイトルからして子供向けかなと思ったらちゃんと大学生院生でも面白く読めるレベル。構造式もばっちりついてるし、それでいて素人にもわかるような注釈ちゃんとついてて、科学に興味持った中高生とかなら十分にいい教本ではと思いました。世のお父さんお母さんお兄ちゃんおねえちゃんは化学洗脳のため正月ギフトに購入するように(何

カリカリベーコンはどうして美味しいにおいなの? 食べ物・飲み物にまつわるカガクのギモン
Andy Brunning 化学同人



それはさておき、とある若手シンポでの宴会意見交換会でこんな話になりました。

大昔の論文はかなり先駆的かつ斬新なことをやっている、にもかかわらず分析法・分析技術が追いついておらず、『合成しました!おしまい』とか『こんな方法あったけど収率めっちょひくいで。 完』という大変しょんぼりなまま終わっているものも多い。今あれらを見直したら宝がわんさか掘り起こせる

という話。まあ論文自体過去の知見からどかーんと出るものだから当たり前と言えばそうなんですけど、特に最近、大昔に報告があって完全に忘れ去られてたことをバージョンアップさせたり再合成分析したりしてそこそこ以上のネタとして報告していることが結構多いような気がしますし、それみて「え、そんな昔に例あんのかよ」って思うこともしばしば。

というわけで、俺も徳川埋蔵金ほしいぞ!💡(°ω° )
って感じで昔の論文を掘り起こす作業もとい昔の論文を論文誌1年単位で全部読んでいくということを始めました。

まず前提条件として紙媒体で冊子体として持っていること。要は図書館行ったり、長く継承されてる研究室なら自前の在庫を使うわけです。全部読んでいくといっても今やJACSも10000ページ年間超えるくらいだし、論文数の少なかった昔でも相当な量になるので、まともに読んでくと永遠に終わりません。なので図やタイトル、authorをちょいちょい見ながらペラペラめくっていくだけ、気になったところでちょっと止まるとかそういうのです。ちなみにこんなインスタントな感じですら1年分見るのに3,40分かかりましたよ、なんせちゃんと1枚1枚めくってくのも結構しんどいし、そのうえ途中で結構な頻度で気になってページが止まるから(;´Д`)
ただこういう形でのやり方ができるのは紙媒体冊子だからこそですね、電子媒体だと連続してペラペラは出来ない。現代のでやるとするとWebでGraphical Abstだけ見ていく形にせざるを得ないかなあ。

こうして最初から通して読んでいくと、オンライン検索で終わってたら絶対に見ないであろう論文、本当に学術的興味だけでこれ作ったな?ってやつにも目を通すことができますし、こういうところで埋もれた宝見つけることができるのかもしれません。また宝とかそういうのは置いといても、当時の研究トレンドなども知ることができるので読んでて楽しいです。この間は1980年のChem. Commun.を読み通しましたが(そんなに昔じゃないじゃんという突っ込みは総スルー;ChemCommunの一番古いのこれしかなかったんじゃいヽ(`Д´#)ノ)、あの年はendiandric acid類の初単離の論文と、連続ペリ環状反応による生合成仮説の論文が載っており、その後の(当時Penn大の)K. C. Nicolaouのマイルストーン的全合成につながるのかーとか思ったり、二酸化セレンによるアリル位酸化の反応機構考察とかの論文もいくつか出てて、なるほどこういうことをやってる時代かとかちょっとしたタイムスリップ感を味わったりできます。あとは「Olefin Metathesis」という単語がこの時代(1981だったか82のChemCommun)にも出てたりとか(当然当時RuカルベノイドのGrubbs試薬はなく、単に「交換」としての意味でのmetathesis, 要するに[2+2]-retro[2+2]を繰り返してオレフィン位置・骨格を変えてた)ってのを見るとおっ、てなるわけです。

きょうび論文誌側も冊子体をやめてしまってますし、購読費用削減で冊子体を買わなくなったりしてしまったりしている昨今では、最近の論文でこういうことをするのはなかなか難しいかと思います。ただ、書店をぶらついたときにある出会いみたいなものを論文誌でも味わえるのはやっぱり紙媒体だなあとおっさんは思ってしまうのです(一応indexは見るけどキーワード検索したくて仕方なくなることは多いが)。

というわけでこれから年度末のクソ忙しい時に向かっていく時にアレですが、最新論文でなく過去の報告を追ってみるのも面白いですよ、という話でした。個人的には旧ソ連時代の英語論文誌あたりがなんかこっそりすごいのあったりするのでおすすめ(と言いたいところだけどあれ冊子体持ってるところそうそうないよなあ・・・USSR! USSR!)
posted by 樹 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学雑記 | 更新情報をチェックする
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