2016年03月20日

スターウォーズ・バックトゥザフューチャー風論文表紙の話

(2016/3/21いくつか論文を追加)
研究内容をちゃんと知ってもらうためには、論文を投稿してもまず読んでもらわないと始まりません。中身がちゃんとしているのは当たり前の話なのですが、特に近年は読んでもらうためにそれ以外にも様々なところで工夫が必要になります。例えばタイトル一つとっても印象は全然違うもので、最近ではGoogle検索で引っかかったときのことを意識したタイトル付けなんていう考えも出てきています。

Google検索を意識した論文タイトルの付け方 / 重要なキーワードを先頭近くに置くとなぜ有利?(ワイリー・サイエンスカフェ)

また、論文内容を絵で表したグラフィカルアブストラクトも、絵などのヴィジュアルでキャッチーに訴えるツールとして重要です。実際私は論文新着通知が来たら
@タイトルAGraphical Abstract
で内容を判断してチェックしています。英文の要旨本体なんかろくに読んでません。めんどくさい

さらに重要論文になると表紙や内表紙、挿絵として1ページ前面を丸々使ってアピールすることになり、グラフィカルアブストラクト以上にキャッチーな絵になってきます。Graphical Abstもそうですが内容を端的に表していれば基本なんでもいいので、中には日本人の論文でもないのにやけにSDキャラな表紙になったり、「グレートですよこいつはァ」な表紙になったりと様々。絵なので研究にあまり詳しくない人も含めて「お?」と思わせるような絵であることが重要になってきます。

世界三大学術誌Cell、最新号の表紙がタンパク質を擬人化した女の子ということで話題に(アレ待チろまん)
論文の表紙などの話題(有機化学美術館・分館)

そんな論文誌表紙やGraphical Abstractの中でも、実際の映画、しかもあの有名なスターウォーズとバックトゥザフューチャーをモチーフ、というかキャラなどをまんま使ったものを紹介します。

A Fascinating Journey into History: Exploration of the World of Isonitriles En Route to Complex Amides
Danishefsky, S. J. et al. ACIE 2012, 51, 2834.

↑リンク先のPDF論文本体に飛ばないと見れません。要アクセス権。

イソニトリルを使ったアミド合成の総説。"A Fascinating Journey into History"というタイトルに合わせ、論文表紙には御大Danishefskyが映画「バックトゥザフューチャー」でおなじみのデロリアンに乗る姿が!
てかこのデロリアンどこから取ってきたの?映画の切り貼りにしては構図も解像度も合い過ぎだし、もしかして本物?まあ御大なら持ってても・・・


Synthetic Gene Transfer Vectors II: Back to the Future
Behr, J.-P. Acc. Chem. Res., 2012, 45, 980.

↑アクセス権なくても画像は見られます。

サブタイトルそのまんまバックトゥザフューチャー!
なのはいいけど、これ映画のワンシーンそのまんまやんけ!
しかもなんでよりによってこんな画像なんだよドクwww
ちなみにこの論文のPart 1はこういったキャッチーなGraphical abstractを採用する前の時代なので面白い絵はありません、残念。


Ultralow-Density, Transparent, Superamphiphobic Boehmite Nanofiber Aerogels and Their Alumina Derivatives
Gen Hayase et al. Chem. Mater. 2015, 27, 3
(2016/3/21追加)
上だと論文本体PDFじゃないと見れません。画像を見る場合にはこちら

バックトゥザフューチャーと言えばデロリアンとホバーボード、そしてこの論文ではそのホバーボードをフィーチャーしたgraphical abstractを出しています。と言ってもホバーボードの研究ではなく、超低密度かつ透明なベーマイトナノファイバーエアロゲルの研究。この絵、実際にはエアロゲルの上にボードが乗っているわけですが、極めて透明度が高いため、さも浮いているかのように見えるという、物性アピールにはピッタリなデザインになっています。

ところで主人公のマーティーがPart2でやってきた未来は2015年10月21日でとっくに過ぎてしまったんですが、ホバーボードの実用化はまだですかフジタサーン!
ビフのモデルになったドナルド・トランプが超権力を持つ未来の方はなぜか現実化の可能性が強くなってアレ


Enantioselective Bimetallic Catalysis of Michael Additions Forming Quaternary Stereocenters
Jautze, S.; Peters, R. ACIE 2008, 47, 9284.

↑アクセス権なくても画像は見られます。

ビスパラダサイクル触媒を用いた不斉Michael付加による4級炭素の構築反応。
なんだけどなぜかいるスターウォーズのC3PO
この研究のどの辺がC3POなんでしょうかね、金触媒だったら金ピカつながりなんだけど。


Synthesis of bis(pentafluoroethyl)germanes
Hoge, B. et al. Chem. Eur. J. 2016, 22, 4758.


論文表紙だけ見る場合にはこちら(Frontispiece)。アクセス権なしで見れます。


ペンタフルオロエチル基を2つ持ったゲルマニウム化合物類の合成と結晶構造解析。
なんですが、その論文の表紙はその構造とかぶせてスターウォーズの戦闘機Xウィング(風のなにか)が!

ゲルマン.jpg
↑これが

Xウィング.jpg
↑これに見えるらしい。

いやそれはちょっと・・・。というかそれだけじゃなくて最近のEp7のタイトル
"The Force Awakens (フォースの覚醒)"
を模してスターウォーズタイトル風フォントで
"The Germanium Awakens"
なんてタイトルつけてるし、どんだけラブなんだ著者は。ちょっとフォースが覚醒している間にいつの間にかゲルマニウムも覚醒していたようです。14族典型元素はシリコンばっかし研究されている感がありますが、ついにゲルマニウムの時代がやってた模様。

May the germanium be with you.


Validating Eaton's Hypothesis: Cubane as a Benzene BioisostereCraig M. Williams et al.ACIE 2016, 55, 3580
(2016/3/21追加。情報ありがとうございます)
論文表紙だけ見る場合にはこちら(Frontispiece)。アクセス権なしで見れます。

と思ったら今度は"Cubane Awakens(キュバンの覚醒)"だよ、オープニング風に。いろんなモンが覚醒してんなおい。で、これはEatonが初めて合成した分子状サイコロのキュバンが、医薬品においてベンゼン環の生物等価体なることを示した論文。この手の人工高ひずみ分子は構造有機化学的な興味や研究が先行(もともとのきっかけがそうだから当然なんだけど)しているわけですが、こういう研究を経てこういったひずみ分子が医薬品にも有用であるということを示した点ではまさにAwakenと言えるでしょう。
あんまし関係ないけどすさまじい環ひずみを持った分子は何も人工物だけじゃないので、今後こういった骨格が低分子創薬の候補骨格として研究されてくるかもしれません。作るのしんどすぎるけど。

・天然物はどこまで歪めるか

こんな感じで漫画方面じゃなくて映画方面に乗っかって注目を集めるGraphical Abstや表紙もあるんですけど、これら権利関係どうなってんですかね????Acc Chem Resはちゃんとプロダクション商標画像についてるけど、ルーカスフィルムとかユニバーサルスタジオに言ったら使わせてくれるんですかねこういうの。最後のゲルマニウムのは本物を使ってない"っぽい"だけの絵だから許諾なくてもセーフですね(本当にセーフかどうかはしらない)。
というわけでみなさんも論文を投稿された際にはぜひ三丁目の夕日やおくりびとと言った邦画をモチーフに作ってみてはいかがでしょうか(わかりにくいやつばっかしやないか!

関係ないけど年度末進行になるとグリーヴァス将軍みたいにもう二つ手がほしくなる日々。
by カエレバ
posted by 樹 at 11:29 | Comment(2) | TrackBack(0) | 有機化学雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最近のangewにこんなのもありましたよ
http://onlinelibrary.wiley.com/wol1/doi/10.1002/anie.201681161/full
Posted by いんせー at 2016年03月21日 09:02
>いんせーさん

おお!まさかキュバンまで覚醒していたとは・・・。早速追加しました、ありがとうございます。
Posted by かんりにん at 2016年03月21日 20:05
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