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2015年08月05日

「鳥のコカ・コーラ」の話

fakkinhot.jpg



クソ暑くてやってられるかああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!
ジャパンは気温高くて湿度高いとか蒸す気かああああ!!


という地獄の中、いかがお過ごしでしょうか皆様。

もう冷たい炭酸飲料が捗る捗る(そしてデブ一直線
もっとも炭酸飲料じゃなくて塩とポカリスウェットみたいなやつにしといた方が安全だし健康的にもいいんでしょうけど、そうはならないのが人間の性。塩にはこだわるのでワシ沖縄とかの塩がええのう( *´ω`)岩塩だとしょっぱすぎて舐められん(これはこれで塩分過多になる予感

ところで炭酸飲料の代表格としてはやっぱりコーラということになるのでしょうか。コカ・コーラとペプシの仁義なき戦いは有名ですね。最近はコカ・コーラが天然由来甘味料ステビアを使ったものを出してるようです。特保コーラと言い、炭酸飲料なのにえらく健康に気を遣うんですねえ。なお、私はペプシNEXを、日本発売当初にやってた懸賞目当てで一生分飲んだのでもういらないです(ぉ

余談ですが、甘味料の話だと下の話が大変面白いです。確かに害があるとかないとか以前に砂糖じゃないものと比べるとうまくないような気が・・・・特に昨今のゼロ飲料のマズさときたら。

人工甘味料なんとかしてほしい (券売機で購入できます)

と、そんなコーラの中でも「鳥のコカ・コーラ」と呼ばれるものの成分について書いてみました。


"Unique Proline-Benzoquinone Pigment from the Colored Nectar of “Bird’s Coca Cola Tree” Functions in Bird Attractions"
Li, S.-H. et al.
Org. Lett. 2012, 14, 4146


Leucosceptrum canumという木の花からは、コーラ色、すなわちこげ茶色の蜜が取れるそうで、この花の蜜を求めてとっかえひっかえいろんな鳥が集まってくるそうです。その数40分以内に40種を優に超える鳥がやってくるくらいとのこと。
このことから鳥類学者の中で、L. canumはタイトルの通り、「鳥のコカ・コーラ」と呼ばれているそうです。色は確かにそうでしょうけど炭酸じゃなくね?中国人の論文だし中国の木だし烏龍茶くらいの方がいいんじゃないかなとも思ったのですが、鳥が魅せられて吸ってるところを表すのにコカ・コーラは最適な表現と言ったところでしょうか。そしてペプシ派涙目。
関係ないけど中国語のコカコーラ表記に『可口可楽』(口にすべし楽しむべし)を充てた人はほんとに頭いいと思った。

この木からは摂食阻害を持つテルペンやフラビリウム類が既に単離されているのですが、何が鳥たちをここまでひきつけているのかは謎のままです。

コーラ接触阻害テルペン.jpg

そこで彼らはこの花の蜜の色(こげ茶色、コーラ色)に着目し、この成分の分析を試みることとしました。分解が起こるため、採取後すぐに精製したりしないといけない等かなりの苦労があったようですが、その結果、蜜のコーラ色成分を構造決定することに成功しました。
アミノ酸であるプロリンとp-ベンゾキノンがくっついたいかにも不安定そうな化合物がその正体で、植物由来の成分としては珍しい構造となります。全合成とCDスペクトルの結果からL-プロリンがくっついたものが天然物と一致しました。

コーラプロリンベンゾキノン.jpg

メジロを使ってどの蜜を最初に吸うかどうか実験したところ、茶色の蜜と透明な蜜、水とでは明確な違いが出て、茶色の蜜へ圧倒的に集まりました。一方で、水(透明色)と今回得られたプロリンベンゾキノンを混ぜたもの(茶色)とで比較を行ったところ、L-プロリン由来、D-プロリン由来、ラセミ体での区別はとくになく、天然物(の形をしたもの)が入った方に多く集まる結果となりました。

ところが、この容器の外側をこげ茶色に塗って水の色をわからなくしてしまった場合、差が無くなってしまいました。この結果から、この成分は特にフェロモン的なことをしているわけではなく、純粋に色による呼び寄せ効果を示しているのではないかとしています。透明なコーラじゃ物足りないですからね。鳥もよく知ってるってことでしょうか。


ところで「鳥のコカ・コーラ」なんて言われて涙目なペプシですが、化学界には強力な助っ人がいるのです。金属触媒にはペプシ(PEPPSI、どう考えても狙って名前つけてる一方でPを一個増やして係争回避)というものがあり、ノーベル賞反応でもある鈴木―宮浦クロスカップリングをはじめとしてさまざまな有機合成に使われています。ペプシ大勝利!!!

ペプシPd.jpg

しかしこれでコカ・コーラ派が黙っているとも思えません。「CoCa CoLa」、つまり『Co(コバルト)-Ca(カルシウム)』の2核錯体(茶色)を開発して反撃にでてくるやもしれません。

というわけで金属関係の研究者の皆様、コカ・コーラ社とタイアップしてこんな触媒を開発してみませんか?ソフトドリンク最大手企業ですから研究費がっぽりいただけるかもしれませんよ?

研究費じゃなくてコカ・コーラ1年分とかだったらどうしよう・・・
posted by 樹 at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 生き物の化学物質 | 更新情報をチェックする
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