2015年05月16日

研究室に貼っておくと便利な表などをあつめてみた

(2015 6/2, 12/3、2016 2/20, 9/2, 11/30, 12/11, 2017 9/19 一部リンク追加)
ちょいと前に検索などに使えるサイトのまとめエントリー(検索・計算に使える化学サイトをあつめてみた)を投稿しましたが、研究室配属で慣れたころなのでちょっと机まわりをデコレーションしたいところ。そこで今回は研究に役立つ表など、研究室や居室にポスター代わりに貼っておくと便利なものを集めてみました。
なんたる手抜き

by カエレバ


・pKa表1 (pdf, Harvard大, Evans研)
・pKaの表2 (Bordwell pKa Table)
・pKaの表3 (Penn State University, Williams研、リンク先は甲南大)
pKaの表は色々と転がっていますが、有名どころは上の二つでしょうか。PDFでupされているEvans研のものが貼るのには便利。一番下のやつ貼るには細かいしページ数も多いですが、かなりの数のサンプルが載っていますので冊子体として持つのなら重宝します。

・The pKBHX Database: Toward a Better Understanding of Hydrogen-Bond Basicity for Medicinal Chemists (J. Med. Chem. 2009, 52, 4073)

でこっちはpKbのHXに対するデータベース、表というよりはperspective論文か。鎖状アミドよりも環状ウレアの方が水素結合力強いとは知らなんだ。


・溶媒安定剤の表1(pdf, 和光純薬)
・溶媒安定剤の表2(pdf, 関東化学)
案外忘れられてますが、一般溶媒には安定剤が含まれているものもあります。反応の邪魔をするだけならともかく、分光分析にこういった普通の溶媒を使うととんでもないことになります。また、「脱水溶媒なら大丈夫」と思って使ってる学生もいるようですが、脱水溶媒が保証しているのは含水量だけであって
『脱水溶媒(分光分析に使えるとは言っていない)』
なわけです。ちゃんとスペクトル分析用の溶媒を使いましょう。

・ゴム、プラスチックの耐薬品性一覧1 (アズワン)
・ゴム、プラスチックの耐薬品性一覧2 (共和ゴム)
・ゴム、プラスチックの耐薬品性一覧3 (フロンケミカル, PDF)
・ゴム、プラスチックの耐薬品性一覧3 (オレンジブック, PDF)

で、それらゴムやプラスチック製品の薬品、溶媒に対する耐性の評価表がこちら(一部耐金属も含む)。様々な有機溶媒だけでなく、オリーブオイルとか日用品の項目もあることからわかるようにこれらは日用品にも大きな影響をあたえます。そのため、様々な会社がこの表を公開しております。サンプルとして4つ上に挙げましたが、「耐薬品性一覧」でググってもらえればこれ以外にも様々なものが引っかかりますので使いやすいものをお探しください。


・溶媒のUVカットオフ波長(Florida State Univ., Shatruk研)
・溶媒ごとのCV測定可能幅、電位窓(PDF, Florida State Univ., Shatruk研)
その分光分析に重要な溶媒データ。UVにしてもCVにしても溶媒ごとで測定できる範囲が違いますので、資料を溶解できる溶媒、観測したい範囲をもとに、これらの表を参考にして測定溶媒を選びましょう。


・プラスティック製品から溶出するコンタミ
Science 2008, 322, 917
生化学実験:プラスチック器具のコンタミにご用心(Chem-Station)
混ざりものでもう一つ。プラスティックとかゴムとかを有機溶媒等々にさらしていると使っているものから可塑剤などが混ざりこんでしまうことがあります、要注意。


・クールバス表1(Boston College, Hoveyda研)
・クールバス表2(pdf, Scripps研究所, Shenvi研)
・クールバス表3(pdf, 東京化成)
最近は低温恒温槽機器も割と普通になりましたが、台数制限もあるのでチャチャッと終わる反応ならクールバスでやっちゃいたいところ。機械の方と違ってすぐ冷えるし。小スケールなら圧倒的に非機械での冷却が有利。-100、-78、-40、0℃と言った定番のところから中途半端な温度まで冷やせる組み合わせが載っています。ただ長時間反応だとやっぱり機械じゃないと無理。


・ホスフィン類のコーンアングル(Boston College, Hoveyda研)
触媒屋、錯体屋さん向け。


・ランタノイド金属のオキソフィリシティグラフ(Chem. Commun. 1999, 1703)
・ランタノイド金属ルイス酸性や原子半径・オキソフィリシティ等まとめ総説(ACIE 2002 41 3554)

地味にほしいけどマニアックすぎて探すの大変なもののひとつ。ランタノイド類の酸素原子との親和性を比較した論文です(下の総説だと最初のページにまとめ表が)。これ見てるとなんでアレがよく使われるのか、と言ったことも一目でわかります。

・試薬の滴定法(pdf, Scripp研究所, Shenvi研)
メーカーの提示している試薬濃度は意外とお手元に届くころには変わっちゃってたりするのです。定番はBuLi。というわけで厳密に使うのであれば定期的に滴定して現在の試薬濃度をはっきりさせておきましょう。


・NMRでの溶媒、および不純物の化学シフト(Organometallics, 2010, 29, 2176)
NMR測定に置いてド定番ともいえる論文。各種重溶媒中での溶媒ピークや、代表的な不純物の化学シフト(水、グリースやその他試薬などだけでなく、有機金属反応トレース用にガスのシフトもある)もバッチリ表になっています。1Hだけでなく13Cの表も。また、論文本体だけでなくSupporitng Informationにさらに詳しい表がたっぷりあるので、あわせて壁に貼ってNMR測定後すぐに確認できるようにしておきましょう。

ちなみにこのOrganometallicsの前はJOCのペーパー(JOC 1997, 62, 7512)が、JOCのmost read論文1位を10年以上にわたり独占し続けてきました。が、しかし2010年に別著者によるこのupdate的論文が出てとってかわられてしまった感があります。
諸行無常。と思ってたけど今見たらまだ1,2位にいたんですがしぶとい。


・工業的に使われる有機溶媒の、各種重溶媒中での1H, 13C NMR化学シフト (Org. Process Res. Dev DOI:10.1021/acs.oprd.5b00417)
で、その上のJOCをベースに、40種の工業的に利用される有機溶媒の、6種類の重溶媒中でのNMR化学シフトをまとめたのがこの論文。酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタンくらいならおなじみですが、ちょっと違う溶媒だとわからないもんです。また使う重溶媒を変更すると化学シフトも変わるし。というわけで上のものを溶媒ピークに特化してまとめて過去論文を改定したもの。オープンアクセスなのでどこでも読めます。


・溶媒混和性の表(和光、gen-lab)
和光純薬の表(pdf)
gen-labの表(pdf)
2種類の溶媒が混ざり合うかどうか。
意外に混ざらないものもあるので貼ってみておくと便利。


・有機溶剤の物性(pdf, 東京化成)
一般的な有機溶媒の融点、沸点、比重のリスト。それだけでなく水との共沸点や混和性まで一枚に収まっている優れもの。


・TLCの呈色液レシピ その1(pdf, 東大, 金井研)
・TLCの呈色液レシピ その2(pdf, UC Berkeley, Sarpong研)

TLCにはいろんな呈色液がありますが、種類を変えるだけである呈色液では2点しかいなかったのに別のやつだと5点いた!なんてことも。分離時やほしいものを見逃さないため、また焼け方や色、その発色タイミングなど、化合物の様々な性格を知ることができるので侮ってはいけませんTLC。
下の(その2)のSarpong研のものは300を超えるTLCレシピと、化合物に対応するおすすめ呈色液まで載っているというすさまじさ。あまりに量が多いので貼っておくのは無理ですが全部印刷してラボに一冊用意しておくといいかもしれません。
個人的にはUV→ヨウ素→呈色液でやると3種類の情報が1枚のTLCで得られるので便利。特にヨウ素は焼かなくてもいいので、ヨウ素呈色後別の呈色液にドボンできるのが利点。


・Photoredox触媒や電子移動酸化剤の電位一覧表 (PDF, BRSM)
最近大流行中のphotoredox触媒を中心とした電気化学的試薬類の電位の一覧表。Photoredox反応をする人にはもちろん有用ですが、DDQや酸素(O2)、CAN、ビタミンC(ascorbic acid)の酸化還元電位もあるのでいろいろ便利です。

・F+等価体となる求電子的フッ素化試薬のN-F結合の強さとF供与能(J. Org. Chem. 2017, 82, 4129)
これまたここ最近ますます流行りのフッ素化に使われる求電子的フッ素化試薬の反応性を調査してまとめたもの。大体のはgraphical abstractに描いてある通りですが、フッ素化でお困りの際にどうぞ。

・有機環状化合物の名称と番号(pdf, 東京化成)
環の名前、特に複素環の名前はなかなか最初は覚えづらいものがあります。そして名前を知っていたとしても案外わかっていないのが「どこが1位なのか」ということ。化合物ごと大幅に変わったりします。
化合物や試薬の取り違えを防ぐためにも知っておきたいところです。


・結晶成長やマウントのしかた、コツの載ったポスター
・Crystallography Posters (MiTeGen, 各リンク先はPDF)
・Tips Technique (Crystal Growth) (Johns Hopkins University)
X線結晶構造解析などで必要なテクニック。絵付きなのでわかりやすい。
上の方は結構細かいのでA0横サイズで印刷すべし。
もっと詳しくやり方やコツを知りたい人用は以下のPDFを参照。
・How to grow good single crystals(Durham University Howard's group)
・X-Ray Crystallography Laboratory (Michigan State University)

・色々な略号(pdf, 東京化成)
知ってる人は知ってる略号。とは言ってもアミノ酸やら糖の略号になると使う人じゃないと覚えてないので、居室に貼っておくのにはいいかと思います。卒修論あたりには便利?
ちなみに毎度貼ってるウチのこれ↓も卒修論あたりには重宝してるようです。
特殊記号の出し方・ショートカットキーまとめ
Powerpointのショートカットキー


・Prof. H. Mayr's reactivity scales posters
以前(検索・計算に使える化学サイトをあつめてみた)も載せたMayr教授がまとめた化学種ごとの反応性をまとめた表。


・有機リチウムの溶媒・添加剤ごとの寿命 (pdf, Saylor academy.org)
どれだけ作り置きできるか(基本できないけど)、とか買った試薬がどれくらい持つかとかがよくわかります。
ちなみに元文献も↓表っぽくなってるのでこちらでもOK。
J. Org. Chem. 1997, 62, 1514-1515
J. Org. Chem. 1992, 57, 6833-6837


・Njardarson groupの創薬化合物表 (University of Arizona)
創薬分子(抗体含む)の売れ筋ランキングや病気ごと、構造ごとなど特徴ごとにまとめた表がたくさんupされており、構造式もちゃんとついています。これはA4じゃなくてA0ポスターサイズでカラー印刷して貼っておきたいところ。一例は↓
・Top Pharmaceutical poster
・Disease-focused pharmaceutical posters

J. Med. Chem. 2014, 57, 2832
J. Chem. Ed. 2013, 90, 1403


・Bioorthogonal Reactions for Labeling Proteins (ACS Chem. Biol., 2014, 9, 16-20)
いわゆるアジド-アルキンの反応に代表されるタンパクをラベル化するための生体直交型反応の表。
表と言っても論文中にしかないので、PDFから切り貼りして拡大コピーして使いましょう。


・How Chemistry Changed The World (C&EN)
化学が世界に与えてきた影響をまとめた表。じっくり見ないとわからないので教員のお部屋用?A0,A3サイズの印刷じゃないと読めないかも。


・一家に一枚周期表(科学技術週間・文科省)
定番の周期表。周期表だけでなくゲノム情報とかもあります。サイズを考えるとA4印刷の物を貼るより、ちゃんと売ってる大きいサイズのを貼っておくほうがいいかも。


と色々なデータ表等を載せました。インテリアもデータベースにしておくと、困った時にすぐみられるように貼っておくと便利です。快適なラボライフを目指しましょう!




とはいうものの、勉強ばっかりでも息が詰まるので以下アクセント用のおまけ。

おまけ・ネタ絵など

・院生の耳に念仏(京大中條研)
・淡青評論:夢を語ろう(東大金井研)
イイハナシダナー。・゜・(/Д`)・゜・。
というわけで学生居室にでかでかと貼っておきましょう、特に上。



・「ダメな科学」を見分けるための大まかな指針」のポスター(うさうさメモ)
色々と胡散臭いやつを見極めるだけでなく、自分がちゃんとした「科学」を行うための指針が書いてあります。肝に銘じておきましょう。ちなみに元になった英語版は↓
英語版元サイト


・ダースベイダー「NMRみてるけど、これエピってるじゃん」
ルーク『No!!Nooooooooooooo!!!!!』(synthetic remarks)


Noooooooooooooooooooooooooooo!!!!!!!!!!!!


・Rejection letter bingo (on twitter)
みんなもリジェクトコメントを集めてビンゴを目指そう!(なお賞品はボスの鉄拳の模様


レポートを提出する白熊 (期末試験も近いらしいので)
早め早めにやって見直すとか見てもらうのが大事。こうならないように↑


・有機合成化学の研究室で使われるハンドサイン (on twitter)
・学生セッションで質疑応答のときに会場の後ろにいる指導教員がつかうハンドサイン (on twitter)

研究室は軍隊!学会は戦場!
ホント有機合成は地獄だぜ!!
フゥハハハーハァー!!!!
posted by 樹 at 23:26 | Comment(2) | TrackBack(0) | 化学とネット・PC | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
金井研のTLCの呈色液レシピがリンク切れになっているようですね。
以下のURLにあります。
http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~kanai/document/img/TLCStains.pdf
Posted by at 2016年09月03日 23:40
ありがとうございます。リンクを貼りなおしました。
Posted by かんりにん at 2016年09月06日 23:59
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