2015年04月13日

検索・計算に使える化学サイトをあつめてみた

有機化学のネタもちかいうちやりますが、年度始まりということで実験やら論文さがしやらに使える化学サイトをまとめて紹介してみます。まあ有名なものもあるとは思いますけど、新B4、新M1(と新スタッフ?)向けメインということで。

ちなみにウチのサイトでよくアクセスされるPC便利系記事はこちら↓
特殊記号の出し方・ショートカットキーまとめ
Powerpointのショートカットキー


・ジャーナルデータベース
各論文誌のインパクトファクター値を検索できるサイト。いちいち論文誌のサイトに行かなくてもここで大体ひっかけることができますし、4年分のIF値が出てくるので年々上がってるのか下がってるのかも分かります。またこのサイトで探せる論文誌は化学に限らず生物、医学、デバイス、行動学など多分野にわたっており、多方面で研究に携わる人に使えるサイトとなっています。
さすがにこれは学生向けではないですし、そもそも
「こんなもんいつ使うん?」と思うかもしれません。ですが

「自身の論文を、論文誌のインパクトファクターを添えてリストにしてください」

的なよーわからん書類を要求されることもあるんですよ! (_・ω・)_バァン
そんなIFなんて年ごとに代わるもんをいちいち論文誌ごと調べるのめんどくさすぎるので、こういう書類作成には便利だし、投稿しようと思ってる先の最近の具合を知るにもいいかもしれません。
(※権利関係なのかどうか知りませんがこのサイト年度ごとにURLごと変わって消滅する傾向にあるので注意、一応定期的に更新してリンク切れにならないようにはしていますが)


Prof. H. Mayr's reactivity scales posters
求核力、求電子力を判断する経験則としてHSAB則(Hard and Soft Acid and Base rule)がよく知られていますが、あくまでこれは経験則であり、これに合致しない場合も多々あります。Mayr教授は実験的手法を通して求核性、求電子性を化学種ごとに調査、その反応性の相性を経験則ではなく数値化しています。

そしてMayr研での研究成果をまとめて表にしたものを自身のホームページで公開しています。PDFファイルとしてupされていますのでプリントして壁に貼っておくと便利ですよ。より詳しい情報を知りたい場合、下のデータベースにすべて記載されていますので探してみましょう。

Welcome to our Database of Nucleophilicities and Electrophilicities
(↑はデータベースの見方の説明。このページ一番下のリンクからデータベースに行ける)


Table of azeotropy(溶媒共沸表、4/17追加)
AZEOTROPIC DATA, Chapter 1, 1973, pp 1-314; Advances in Chemistry, Volume 6
Anal. Chem. 1949, 21, 831–873
Anal. Chem. 1947, 19, 508–600

沸点が高くてエバポやポンプで飛ばしづらかったりする溶媒は多々ありますが、別の低沸点溶媒を混ぜることで共沸点を作る場合、本来の沸点よりもはるかに低い温度で溶媒を除去することができるようになります。共沸点を作らない溶媒の方が多いので、どの溶媒を混ぜれば共沸で除去できるかは知ってないとやりにくいのですが、この手のデータベースはほんとになくて苦労します。伝統的に誰かからの伝聞で教わることの方が多いのではないかと思います。

上の論文はその共沸の可否を載せた大々的な表になります。特に一番上のリンクのは本の一章分が丸々共沸表でかなりのボリュームです。オンラインにもこういった検索可能なデータベースはあるにはあるのですが、えらく使いづらかったので論文の方を挙げましたが、ひとつサイトを挙げておきます。ただ、データ量は少ないので使えるかどうかは微妙なところです。

Azeotrope database for organic solvent mixtures

・Chemistry reference resolver
・こんなサービスが欲しかった! 「Chemistry Reference Resolver」
・化学研究ライフハック:化学検索ツールをあなたのブラウザに(Chem-Station)

日本語での詳しい解説があるので本家ではなくケムステを挙げましたが、論文検索に非常に強力なツール(website)。論文誌、号もしくは年、ページがわかっていれば、それを検索窓に放り込むだけで本誌に飛べるという優れもの。論文誌は一般的に使われるような略号でもOK(例:Tetrahedron Letters→TL、J. Am. Chem. Soc→JACS)。chemistry reference resolverのウェブサイトに飛んでもいいのですが、特にFirefox等向けのアドオンは非常に強力で、いちいち検索サイトに飛ばなくてもツールバー上に入れるだけですぐに飛べます。正直な話これがないともはや生きていけないレベルで日常的に使っています

化合物データ検索
有機化合物のスペクトルデータベース SDBS(AIST)
CH-NMR-NP天然物NMRデータベース(JEOL)
NPEdia(Natural Products Encyclopedia)化合物検索(理化学研究所 ケミカルバイオロジー研究領域)

天然物やその他複雑化合物のデータ検索はなかなかやりませんが、単純化合物のデータを確認するのには特に一番上の産総研データベースが重宝します。1H, 13C NMRだけでなくIRなど他の色々なデータが載っています。ちなみに試薬会社のAldrichも実は販売している試薬の1H, 13C NMRを公開してるのでチェックしてみましょう。

アルドリッチweb toolbox
試薬会社アルドリッチが公開している実験用のツール類。以下にそのうちのいくつかを紹介します。

Pressure-Temperature Nomograph
圧力と常圧での沸点から、その圧力での沸点を導き出す沸点換算図表をjavaアプリとしてそれぞれの数値を入力すると厳密な数値が出せるというもの。減圧蒸留をするときにはポンプやオイルバスの性能によって目的の温度にできないこともありますので、適宜蒸留できる圧力・温度を出すことができます。常圧沸点がわからない場合でも、たとえば文献情報で減圧時の沸点がわかっていればその数値を入力して常圧時の沸点を算出し、改めて目的圧力/温度での条件を出して自己条件で蒸留することもできます。

なお、紙ベースであれば東京化成でPDFが公開されています。
まあ正直、これ印刷して定規当てた方が早(ry
東京化成の沸点換算図表(PDF)

単位換算
長さ、重さなどの単位を換算するモノ。こういうサイトはいくつかありますが、長さ、重さ、圧力、体積、密度、流速からトルクに至るまでが一つにまとまったものはなかなかないです。

溶液調製に必要な基質量計算
目的の濃度の溶液を作るために、何ミリの溶液であれば何グラムの基質が必要かを計算してくれるもの。これくらい自分で計算してもいいような気はしますが、楽は楽ですね。ちなみに分光分析で使うような0.1mmol/Lでの溶液調製をこれでやろうとすると、当然ですがとてつもなく少ない量となります。段階希釈には使えないのでさすがにそれは自分で計算しましょう。

既知溶液を薄める計算
と前の項目で言いましたが、↑と組み合わせることで段階希釈計算も可能。自分で計算するよりも変に間違えなくていいと思うか、やっぱ自分でやった方がいいと思うかは人次第ですけど。


という感じで自分でも使っている色々実験で役立つサイトを挙げてみました(溶液計算と単位換算は使ってないけどw)。特にreference resolverは論文のreference探しに強力ですし、Aldrichの沸点換算はポンプパワーが目的圧力に足りないときの蒸留で役に立ったりします。色々試してみて快適な(?)ラボライフを過ごしてください。
posted by 樹 at 10:00 | Comment(0) | TrackBack(1) | 化学とネット・PC | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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