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2015年02月26日

特殊記号の出し方2:論文の著者注釈に使われてるやつ編

一応自称化学ブログなんですが、このブログで一番アクセスされるのは圧倒的にだいぶ前に書いたやつで、論文を書くとき等に便利な特殊記号の出し方(altコード、Altキーを押しながら数字を打つと出てくる)・ショートカットキーの話なんですよね。まあ理のジャンルを問わないどころか分離関係なく必要になるからそうなんでしょうけど。

特殊記号の出し方・ショートカットキーまとめ

というわけで2匹目のどじょうを狙うため関連エントリーを追加します(ぉぃ


論文ではその成果にかかわった人の名前その所属が記載されるので、外部との共同研究になれば複数の所属が記載されることになるわけです。所属うんぬんより誰がやったかの方が圧倒的に重要なので、所属先は著者の名前に上付きの注釈記号がついて、所属先は別のセクションでまとめて記載されることになるのがたいていです。

            b
Alan Smithee

b
 Bakada University

こんな感じ。大抵は1,2,3といった数字やa,b,cのアルファベットで注釈がつけられます。これとは別に「*」がついている人がいますがのは、これは責任著者、一番偉い人(たぶん、というかプロジェクトをまとめる人、代表者)を表す記号です。

ちなみに論文1報での世界最多著者数は2,512人だそうで、302ページにも及ぶ論文中、著者リストだけで21ページも費やしています。さらにそれぞれが異動したりして、各著者に働いていた当時の所属、さらにその注釈に現在所属が書いてあったりして引用番号が大変カオスな状況に。これらも数字及びアルファベットで表されていますが、1から始まる当時の所属は「38」にもなっている上、現在の所属先を示すための番号はさらに「a」から始まり「z」を越して「aa」→「az」でもおさまりきらず「bc」に到達しています。むしろ2500人もいてそれくらいでおさまってるのがすごいという風に見ればいいのか?そしてしれっと混ざる複数の「† deceased(死亡)」の文字。

Precision Electroweak Measurements on the Z Resonance
Phys.Rept. 2006, 427, 257-454


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2015.5.23追記
最近最多著者記録が更新されました。なんと倍以上、5154人だそうで。
著者の所属先はa→zを越え、aa→zzを通りこし、aaaaまで到達。

Combined Measurement of the Higgs Boson Mass in pp Collisions at s√=7 and 8 TeV with the ATLAS and CMS Experiments
G. Aad et al. Phys. Rev. Lett. 114, 191803


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この注釈記号を何にするかは論文誌の会社、学会によるのですが、中には数字やアルファベットではなく、記号で表すスタイルのところもあります。この場合、共同研究者先が多ければ多いほどその所属を表すために珍奇な記号を引っ張り出して記載するといったことになり、新着論文でたまに見かけて「なんじゃこの記号」となることも。
アメリカ化学会誌はこの記号派なのでいろんなのが見られます。

というわけで、他にどんな記号があるのかふと気になってしまったので、論文の、主に著者所属を表す注釈にもちいられている記号を色々と探してリストにしてみました。ついでにそれらの特殊記号の出し方(Altコード)も記しておきます。
なお今回、共同研究先が多くなる傾向が強いJ. Med. Chem.誌を中心に探しました。こういうマーク、検索とかでもひっかけられなくて手動で探さざるを得ないからもう大変。
すこしずつ集めたとはいえ、アホなことやってんなと自分でも思ったり(´・ω・`)

・定番編
† Dagger Alt+0134
‡ Double dagger Alt+0135
§ Section sign Alt+0167
¶ Paragraph sign Alt+0182
# sharp

ダガー、ダブルダガーは真っ先に使われる記号で、共同研究でもしなければ大体これらだけで足りてしまうことがほとんどです。セクション記号も多く使われておりますが、この記号は通常の文章でもよく見るので、英字フォントでのこの記号の出し方を覚えておくと便利かもしれません。ほかにもパラグラフ記号やシャープも見られます。先ほどの世界最多著者論文でも触れましたがこの†は十字架記号として亡くなった著者を表す際にも使われる時があります。なのでこの†記号、メールの署名欄に使ってる人もそれなりにいるんですけど外国人相手にこれで出したらなんか縁起わるい感じ受けるんではないかと思ったり
(´・ω・`)


・図形編
● Alt+9679
○ Alt+9675
▲ Alt+9650
▼ Alt+9660
□ Alt+9633
◆ Alt+9670
× Alt+0215 Multiplication Sign

○、●、△、▽、×
J. Med. Chem. 2013, 56, 4521

J. Med. Chem. 2008, 51, 7866

▲、□
J. Med. Chem. 2013, 56, 3943

マル、サンカク、シカクだけでなく白黒、逆三角にダイヤ状四角(ダイヤ記号はまた別にある)と様々。これやりだすといろんな記号使えそう。そして数学記号のようなきがしないでもないですが「バツ(かける?)」も使われてたり。マルはともかくバツってやだなあ。
ちなみに△と▽はAlt codeが存在しないのでもうどっかから貼りつけるかそのまま日本語から変換したやつを使うしかないのでは、と思ったり。変換法をご存知の方からのコメント募集しております。


・数学記号編
∥Alt+8741 Parallel
⊥ Alt+8869 Perpendicular
Δ Alt+916 Delta
∇ Alt+8711 Nabla
∞ Alt+8734 Infinity
デルタ
J. Nat. Prod. 2012, 75, 1534
ナブラ
Org. Lett. 2014, 16, 3888
直角・平行・無限大
J. Med. Chem. DOI:10.1021/jm501565k

フォント上では斜めになってますが、実際の論文では「II」という形で登場する平行記号が数学記号の中では多く使われています。そしてどういうわけか直角の記号(なんか見るの中学以来な気がする)も次に高頻度で登場します。なんで直角なんでしょうか、角度記号とかないのかな。ややこしいことに、先ほど登場した三角形、逆三角形とは別にデルタ、ナブラも使われています。関係ないけど「ナブラ」という記号をロマサガシリーズの必殺技「高速ナブラ」で覚えた人は僕だけではないはず。
中二病感をくすぐる記号としては無限大記号∞も著者所属の記号として利用されています。やったーかっこいい!!





・お金編
£  British Pound Alt+0163
¢  Cent Alt+0162
$  dollor

英ポンド
J. Med. Chem. 1996, 39, 1967
セント
J. Med. Chem. 2007, 50, 3765
$マーク
Angew. Chem. Int. Ed. 2015, 54, 2090

ロマサガ金.jpg


やっぱり人間はゼニやでえええええ(何
ついに使う記号が無くなってきたのか、とうとうお金の単位記号にまで手が及んでいます。お金の支援元を表すためなのかと思いきや普通に所属を表すために使ってました。円¥(Alt+165)やユーロ€(Alt+128)は見つからなかったのですがこれも誰か使ってるんですかね。それにしてもドルはともかくセントはやだなあ、なんか貢献度も安そうで・・・。なお、英ポンドの記号は著者の異動先を示すものだったので、「イギリス行ったんやろな」と思ってたらめっちゃアメリカでやんの。なんでやねん!!!
ちなみに$マークの所属は大阪大学でした。なんとなく「ミナミの帝王」感が(そうかな?



・その他
☆ 星 Alt+9734
マルチーズクロス.jpg Maltese Cross Alt+10016

星マーク
Tetrahedron Lett. DOI:10.1016/j.tetlet.2015.01.027
マルタ十字
Tetrahedron 2007, 63, 8305

色々出てきたけど意外になかった星マーク。そして見たことあるけど名前知らない変な十字。どうもこのwebテキストフォントだとうまく表示されないっぽいので画像も添付しておきますが、これはマルチーズ・クロス(マルタ十字)。犬じゃないです。この星マークを使っている論文の場合は著者注釈ではなく論文タイトルにこれを付けていましたが、いずれの場合も用途は同じで『訃報(deceased, in memory ofといったモノ)』として使われています。†記号の場合もそうですがだからお星さまに十字なんでしょうか、合掌。

と、探せるだけ探してみました。みなさんも投稿される際は是非オリジナリティあふれる所属記号で論文を飾って見てはいかがでしょうか。そんなとこ誰も見ないけど。
これ、変な記号使って出版社とかからダメ出しされることってあるんだろうか
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