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材料化学・自然化学・疑似化学
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大学講義の初級有機化学
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・ニューマン投影式の理解の仕方
・R/S表記やE/Z表記など

2014年12月26日

レビューはレビュー誌だけでやってくれませんかね

はーい、年末なので愚痴言いまーーーす。╭( ・ㅂ・)و
いや別にそういう決まりもコーナーもないですがなんとなく思ってることです。

・レビュー多すぎじゃね??
・レビュー多くてもよくね?
(Chem-Station)

ケムステの半年以上前のネタにいまさら乗っかるとかさすがにどうかしてる感もありますが、お題はもう書いた通り。「総説多くてもなんでもいいからとにかく総説は総説誌だけでやってくれ」と。

まあ大体のことはケムステで既に書かれているので何書いても意見はかぶるんですが(特に上の方と)、あえてあちらに書いて無くて総説は総説誌でやってもらわないと困ることを挙げてみようかと思います。


現在、一般論文誌で総説を出しているような場合で大変に困っていることが以下の点。

総 説 が 探 し づ ら い

そう、成果発表をメインとする一般誌に総説コーナーが混ざるようになるとほんと総説を探すのがほんと大変なんですよ。大体どこのjournal行っても「論文題名」とか言った検索カテゴリーはあっても「Review or Article」というカテゴリは見当たりません。従って、調べたい研究関連キーワードに加えて「review」とかいう単語加えて検索するか、さもなくばヒットしてきた山のような論文リストからいちいちそれっぽいものをにらめっこしながら探してこないといけないんですよ、しんどいんですよもう。

だって例えばタイトルが「Recent development of なんちゃら」とか書いてあったら十中八九総説だな、とわかりますがそんなわかりやすいタイトルの総説なんか半分もないし、パッと見で総説を探し当てるの難しいタイトルばっかり。

これがChemical ReviewsやChemical Society Reviewsと言った総説専門誌だったらヒットする奴は全部総説に決まっていますが、Angewandte Chemie、Synlett、Tetrahedronみたいなところだと原著論文の大量ヒットに埋もれて目的の総説をなかなか探し当てられないんですよ。そりゃ冊子体やissueごとに見ればすぐわかりますけど検索機能は激烈に落ちますしそもそも冊子体はどこも最近とってないし。

おかげで探してるサブジェクトの総説はありまぁすあるのかないのかよくわかんない状況からいつまでたっても抜け出せないことが多いです。総説を引用してる論文ヒットできればいいですが中途半端に新しくて引用伸びてないような総説だとほんと見つけられない・・・
「そんなもんSciFinderやReaxysで探せばええやん」という意見もまあそうなんですが、journal横断型データベースで検索かけるより学会誌や出版社ごとで検索かけた方が結構当たるんですよ、個人的に。

というわけで提言その1:
「総説コーナー増設するんなら、総説だけをひっかけられるような検索機能を追加せえ!」


そしてもう一つ言いたい点がこちら。


原著論文アクセスランキングに総説が食い込んでくるのはアンフェア

最近は論文誌ごと、「一か月のアクセスTop20論文」「年間アクセスランキング」と言ったコーナーを設けており、研究室のホームページを見ても「もっとも読まれた論文に選ばれました!」と言ったアピール文がよく記載してあります。その研究成果が(いいか悪いかは別として)注目を集めているという証拠でもあるわけですからこれをアピールしない手はありません。しかし、研究成果発表である原著論文は「ある一つの事柄に対する報告」であるうえ、「賞味期限が短め」という性質があります。これに対し総説論文は「一分野総まとめ」である上に「オリジナル報告論文のcitation、アクセスを奪う」性質を持っています。「オリジナルはとりあえず置いといて総説読んどきゃいいや」となりがち(よっぽど光るか気になる研究でない限り大体こうなってしまいますよね)なので、アクセス数も総説の方が多くなります。実際、Tetrahedron誌で公表されているランキング「直近90日で最もダウンロードされた論文」の24論文中半分ちかい11報が総説となっています、原著論文が大多数を占める論文誌にもかかわらず(2014年12月25日時点)。

Most Downloaded Tetrahedron Articles(Elsevier, Dec. 25 2014 accessed)

また、総説誌はまとめ論文であるため「自分で研究してなくても書けてしまう」ことから、有名な分野なのに見たことも聞いたこともない『あんただれ?』という著者も結構見られます。そういう人らが書いた場合でないにしても、そもそも性質の異なる総説論文が原著論文と同じ土俵のアクセス/ダウンロードランキングにジャカスカ食い込んできて、原著論文成果をアピールする場所が削られるのは正直あまりいい気分ではありません。Impact factor増強の目的からすれば総説コーナーを追加すれば当然このアクセス/ダウンロードランキングにどんどんあらわれてくるのはわかりきったことなのでその辺論文誌側もどうにかしてもらいたいと思います。

ということで提言その2:
「別に総説コーナー増やしていいからこういうランキングからは総説抜いてくれませんかね?」

余談ですが、上に書いた「誰だかわかんない人が書いた総説」、これ発展途上国とかで多く見られるパターンです。彼らの場合海外で学位を取っても本国に戻ってのハイクォリティな研究は環境的に望めないことが多いために起こっている気がします。実際某国での講演会、その国の結構偉い目な先生なのに講演の50分を総説のような一般概説に使い、自分の研究成果は5分だけ、なんてパターンに遭遇したこともあります。結局そういうところでは「いい成果を出す」ことではなく「いっぱいモノを知ってる」ことでpromoteしていくパターンが現実的であるために、自分自身で研究しなくても一杯見てもらえて引用も多い総説を書きたがるんじゃないのかなあという感想を持ちました。もっともそれで高IF誌に通っているんなら立派なもんですが。

さらに余談。総説なのにAccountのように自分の成果が9割を占めたうえ、それらのほとんどがThesis、unpublished resultsからの引用、さらに対外的論文発表をしていないのに天然物の全合成をしたという報告(引用はアプローチだけで終わった全く経路の違う論文と博士論文)をどさくさに紛れてやりおったアメリカ化学会論文を1つ知っているので、こいつに比べたらどんなクソ総説も許せちゃう私。
posted by 樹 at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学雑記 | 更新情報をチェックする
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