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2014年03月06日

カルボニルのα位ヒドロキシ化

カルボニル化合物は分子変換を行うのに有用なもので、特にケト型―エノール型への互変異性を利用したカルボニルα位の官能基化は有機合成を学ぶ上でも基本的な反応のひとつです。これらはカルボニルα位に新しい炭素―炭素結合を構築する上でも重要ですが、なにも増やせるのは炭素-炭素結合に限りません。高度に酸素官能基化された分子を合成する際には水酸基のような極性官能基が導入できるのが望ましいので、簡単に生成できるエノラートを使ってα位に水酸基を入れることができれば便利なわけです。

というわけで今回はケトン等カルボニルのエノラート、エノールエーテルを使ってα位に水酸基を導入する方法をまとめてみました。

一番楽というかすぐ思い浮かぶ条件としては、エノールエーテル類のオレフィンをmCPBAといったエポキシ化試薬を使ってエポキシ化し、アセタール→カルボニルへの変換によって水酸基にする方法です。ただし、ケトンなどのカルボニルそのままだと使えないので一度エノールエーテルとしてから酸化しないといけません。

5 mCPBA hydroxylation.jpg

しかし、いちいちエノールエーテル取ってくるのもめんどいので、せっかくカルボニルあるんだからエノラートのまま反応させたいものです。そういった条件で有名なのはDavisのオキサジリジンを酸化剤としたα-ヒドロキシ化で、ベンズアルデヒドから調製されるラセミのオキサジリジンが一般的に用いられますが、カンファーなどの不斉補助基をもったキラルなオキサジリジンを使うことで立体選択的に水酸基を導入することもできます。

6 Davis oxidation.jpg

酸素官能基を導入する酸化剤は他にもあり、ニトロソ化合物を用いることもあります。以下の例ではヒドロキシアミドを系内で酸化してニトロソ化合物へと変換した後にα位に水酸基を導入しています。

3 Yamamoto synthesis.jpg

このように酸素官能基を入れる際に多様な酸化剤があるわけですが、酸素官能基を入れるのに最も手ごろな酸化剤と言えば断然酸素ガスなわけです。この場合、酸素そのものを使うと生成物は過酸化物になるので還元剤が必要になります。亜リン酸エステル類がよくつかわれます。最近の改良条件ではエノラート発生に必要な塩基を触媒量にまで低減させ、室温という温和な条件でα-ヒドロキシ化をさせるというものも報告されています。

7 Jiao oxygen hydroxylation.jpg

ところがこの手のα-ヒドロキシ化、ケトン、エステル等ならいいのですがこれをアルデヒドに対してやると目的のモノの収率は低いです。実際上に挙げた酸素酸化もアルデヒドに対してだと50%を切っています。
じゃあ一体何ができるのか、というとなんと炭素―炭素結合の切断を経て、一炭素分短くなったカルボニルへと変換されてしまいます。これはこれで使える方法なので知っておくと結構使えるかもしれません。

1 Wender taxol.jpg

ではアルデヒドのα位に水酸基を収率よく入れるにはどうしたらよいか。そこで役に立つのが有機触媒を用いた反応。MacMillanらは有機触媒であるプロリン、水酸基ソースとしてニトロソベンゼンをつかうことでアルデヒドのα位に酸素官能基を導入しています。ちなみにこのニトロソベンゼンを使ったα位官能基化、条件によってはOで導入されるのではなくNが入ることもあるのでα位アミノ化にも使われます。

2 MacMillan hydroxylation.jpg

以上、カルボニル化合物のα位の水酸化反応を色々挙げてみました。古くから使われている手法ですが最近でも改良法が出てきており、色々知っておくと便利です。同じ流れでα位に窒素官能基を導入する手法もアルカロイドやアミノ酸合成で重宝されています。

ちなみに途中で挙げたアルデヒドの炭素-炭素結合の切断を伴うタイプの反応として、最近IBXとヨウ素を用い、アルコールから一炭素短いカルボン酸へと変換する手法が報告されています。水酸基導入関係ないけど炭素-炭素結合の切断、酸化度の高い状態へ変換する方法、もしくはうまく酸化が行かないときの副反応としておさえておくとよいかもしれません。

4 Arimoto dehomologation.jpg



posted by 樹 at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 基礎有機化学 | 更新情報をチェックする
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