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2013年06月08日

疑似科学雑感

何やらにわかに疑似科学談義が沸騰しているようで。

ラジオ出演「疑似科学を科学する」(有機化学美術館)

ネットでは電波ゆんゆんなやつからカルト化してるものまで見ますが、EM菌や『水にありがとううんぬん』いう話を今のところ実際には耳にしていないのでどこまで重症化してるのかは直接にはわかりません(と言ってる間にかなり浸透して深刻な感じになってるのね)。
ただ昨年のお盆頃、Facebookで回ってきたシェアにこんなものが来て朝から著しく不機嫌になったことはあります。

・「ありがとう」で桃が長持ち? 2000人が「いいね!」した驚きの実験(ねとらぼ)
・【桃はなんにも知らないよ】「ありがとう」で桃が長持ちした実験に3000人が「いいね!」を押した厳しい現実。(うるるねっと)

桃に「ありがとう」という紙を敷くと鮮度が保たれて、「ばかやろう」という紙だと腐るってなもので、要は水からの伝言の変法ですね。『腐ってる割には下の紙きれいですね^^』とか『ルーマニア語とかM72星雲語だとどうなるんですか』とか突っ込みどころしかないわけですが(つーか『何に対して』ありがとうなのかと)、そんなものに見事に同調して拡散されて回ってきたわけです。知り合いがこういうのに引っかかるともう悲しくなってきます。ちなみにこれを拡散してきた大元の人間は、その前の年に別の媒体で全く同じネタを拡散させていたそうで、どちらも『息子の自由研究』として広めていたそうです。二年連続同じネタで自由研究やるやつがどこにいるのかと。というわけでこのネタは今年もおそらく広めにかかるでしょう、ご注意ください。

で、なんでこんなもんに引っかかるかっていうのは有機化学美術館佐藤さんのおっしゃる
『厄介なことに、疑似科学には”感動”があるから』
にほぼ集約されるような気がします。あえて付け加えるなら
感動 神秘 陰謀
大体この三点セットでしょうか。以前取り上げた天然志向なんかも自然の神秘に加えて医者・製薬会社を政治家を織り交ぜ悪に仕立て上げるストーリーが基本ですし、その延長にあるのがEM菌とかだと思ってます。そしてこれら三つを軸にしたトンデモ理論は、いくら理屈で説得したとて対象の思想にかかわってくるので感情的な反論で返ってくるので話にならんのですよね。で、説得あきらめて撤収すると『はい論破www』と勝利宣言されるし。まあこの辺は疑似科学じゃなくてもそうですが。ちなみにFacebookで上の桃の話を回してきた友人は他にも「南米産のこの果物は抗がん薬の1000倍も効果があると医者が認めている!」と言った出所不詳過ぎるネタも回してきてるのでもうね(;´Д`)てか1000倍も効いたらそれもはや毒じゃないの?

人工分子は天然に存在しないのか―抗がん剤分解物は妖精さんだった話―

この手の話に関しては
『公的な追試・立証』を拒絶
『断定的な物言い(治る!とか)』
かつ、やけにすり寄ってくるようなネタはまず疑ってかからないといけません。学術論文だって嘘や再現できないものもそれなりにありますが、こういうのは世界中から追試、検証を受けて、それで嘘なら蜂の巣になるわけで。EM菌は見事にこれに当てはまるようでなぜか「勝手な検証」を禁止しているそうな。
なお、水からの伝言の場合には学校の課題として出されるほど重症化しているそうで『言われた通りの結果にならなかった(当たり前)だけど、それだと点数評価が悪くなるのでできたことにしてレポート書いた』という事態も報告されているそうです(以下長崎大レポートサムネイルにあったんだけど、今は消滅してしまったっぽい)。ねつ造を許す土壌すら生みかねません。

科学リテラシー実態調査のお願い(2013年度版)(長崎大)
↑これ結構衝撃的なこと書いてありますよ、必見です。

で、この手のインチキを減らすにはどうしたらいいか、その対策として
「化学者たるもの5%の時間を化学のイメージ改善に費やすべきだ」(Chem-Station,「化学物質恐怖症への処方箋」より)
というのが挙げられています。『そんなことをしても仲間の溜飲を下げるだけで何の役にも立っていない』という批判を見たことありますが、それでほっといた結果がご覧の有様なわけですから、血液型診断みたいに定着する前に早めに徹底的に駆逐せねばなりません。

『発信の内容については、「○○のサイトにもう書いてあったことだから、自分はもういいか」ではなく、同じようなことを書くことにも意義があります。「どこかにもこういうことが書いてあったな、××さんもそう言っていたな、じゃあこれはやはり正しいのかな」と、情報の信頼性が増すことにつながるからです。重複した情報は単なる無駄ではなく、力につながります。』(有機化学美術館)

ブログだけでなく、(金儲け等の悪意を持ってやってるか、本気で信じてるかにかかわらず)疑似科学屋がtwitterやFacebookを積極活用してるのと同様に、SNSを利用するのも強力な手段でしょう。実際、疑似科学のみならず政治経済の頭悪い記事がツイッター上でフルボッコになっているのをよく見ます。こういった評価が可視化して伝えられるようになったのはいいですね。『○○のサイトにもう書いてあった』ならそれを引用して(リンク貼って)紹介するのでも十分だとおもいます。

但し、これは決定的な手段にはなりません(無駄という意味ではない)。いくらネットソースが実生活に浸透しているとはいえ、インターネットコンテンツは所詮受動的な媒体。だからどれだけ正しいことを書いたところで、知りたいと思うこと、そうに違いないと思ったこと(それがどんな怪電波でも)が引っかかるようにできています。SNSですら、胡散臭い連中とその反対派のコミュニティ(TLやウォール)には明らかな断絶があります(監視目的でフォローしてるのはいても基本汚いもんなんか見たくないですしね)。つまり届かんのです。それでいて相手は実生活でのフットワークもかなりアクティブなのが問題なので色々問題(加えて下賤なメディアがこれを拡散して回るというのもどうにかならんのかね)。


科学を理解しようとしない人に科学を語ることに意味はあるのか?(Chem-Station)


一般でやれることは限られるのでSNSやブログでの発信というスタイルくらいしかありませんが、ここまで深刻化してるんなら高校・大学あたりでは『疑似科学入門』とかに特化したような科学リテラシー系授業を文理問わず必修にしてやるくらいの攻めの対策が必要なんじゃないのかと思うわけです。カリキュラム動かすの大変でしょうけどそれくらい能動的にやらないとまずいんじゃなかろうかと。別にこれを教員だけで抱え込む必要はなくてサイエンスコミュニケーター、会社の技術広報の方等を講師に招いてやってもらうスタイルで全然いいんじゃないかと思うのですがどうでしょう。こういうのをちゃんとしとかないと社会に出たときに碌なことないからこの辺もっと金をかけた方が人も育つんじゃないですかねえ、学校として。
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・疑似科学がなくならない理由としてよく「疑似科学は金になるが、その批判は金にならない」と言われますが、この授業必修化の件はそれを解消できる手段として有効に働くんじゃないかと思うんですよ。またサイエンスコミュニケーターというものをもっと身近なものにするという点でも。(2013/6/8 16時頃追記)
・高校大学と言わず小中からじゃないと、というコメントもあるようで確かにもっと早いうちから手を打った方がよさそうですね、吸収の早いうちに。教員への指導まで言い出すとキリないので挙げませんでしたが。(2013/6/9)
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なお、一番最初に挙げた桃の話、個人的ハイライトは
「こんなもんに2000人もいいね!を押したこと」ではなく、
「きれいな言葉って大事なんですね!感動しました!シェアさせてください!」
*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!☆
とスイーツなコメントした人が、このネタに懐疑的な人に向かって
『お前はかわいそうなやつだ』『人を信じることのできない心の貧しい人間』
だのと実名で罵詈雑言を浴びせて罵倒するところ
にあると思いました、まる。
「きれいな言葉って大事!」とはなんだったのか。
Facebookって実名な分、自分の品性知性をモロに露呈するってわかってんのかね。あとFacebookの『○○したらシェア!』はtwitterでの『○○したらRT』よりもはるかに悪意と下心と打算に満ちてるよね。
(all links accessed on Jun/8/2013)


posted by 樹 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学雑記 | 更新情報をチェックする
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