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2013年05月19日

研究者ロールモデルについて

学振締切が近いんでしょうかね、えらく学振の話が増えてきた気がします。
私のころと言えばDの先輩はそんなに数いなかったし、学振者に至っては周りかけらもいなかったので『学振?なにそれおいしいの?』くらい身近じゃなかったですねえ。というか『学振の採用は旧帝の有名研究室だけで採用されるように裏で決まっているんだよ!!!』(な、なんだってー!?)とMMRのキバヤシさん並みの噂が堂々とまかり通ってましたし、それくらい断絶されてる感ありました。説明会もサポートもなかったし。いまでも大体あってるとは思いますけどね、ノウハウの蓄積的な意味で。

学振にしてもD進にしてもアカデミア志望にしてもやっぱり先輩がいないとやりづらいですよね、徒然草にも「少しのことにも先達はあらまほしきことなり」とあるくらいですから、人生を決める事柄になればなおさらで。学振の書き方なら、最近は色々ネットでも見られるようなコンテンツも増えたのでずいぶん便利になったもんです(=ハードルも上がってるわけですがw)。

学振申請書を磨き上げる11のポイント [文章編・後編](Chem-Station)

しかし進路となるとやっぱり実際に行った人がいないとなかなかに不安です。D進ならまだしもアカデミアなんてポスドク含めそうそういません。有名大になればまあそこそこいるかとは思いますがそれ以外は全然だし。大体大学・公務員を無駄にたたいたり、研究費をバッサリ削減してヤンヤヤンヤ言われる昨今のネガティブな扱いや金銭面、生活面、超のつく就職倍率(10倍越えは当たり前)の話からすればアカデミアに残ろうとする理由を探す方が大変な気もします。ちなみにこれは日本だけの話じゃなくてアメリカ含め世界的にこういう流れのようで。↑アゲアゲ↑な中国はどうなんでしょうか、気になるところです。

と、そんな研究者をもっと知ってもらうための方法として研究者ロールモデルというものがあります。辞書的には「具体的な行動技術や行動事例を模倣・学習する対象となる人材」だそうで、要するに「目標とする人」。大学のパンフなんかにはよく研究者一人ないし二人を取り上げて、研究の話だけでなく生活、苦労話や一日の過ごし方など全般にわたる、どちらかというと人間の中身に主眼を置いた記事を用意しているところがあります。特に日本だと「女性研究者」をターゲットにした研究者ロールモデルというのが多いような気がしますね。まあ男でも少ないのだからますます女性はこういうのが必要でしょうし。

しかしこのロールモデル、いい面ばかりじゃないという指摘もあります。


Why women leave academia and why universities should be worried
(The Guardian)


ガーディアン紙のコラムで、去年の今頃の記事でえらい古いのですが、「アカデミアに残る女性がなんで少ないのか」という話。PhD生として研究を始めた当初は女性で72%、男性で61%が研究者としてやっていこうと思っていたのに、3年目には女性で37%、男性で59%と、女性の割合が激減して、その中でもアカデミアに残ろうと思っているのがたったの12%(女性)と21%(男性)にまで減っている理由についての考察が色々書かれています(ソウルジェムも真っ黒け!)。女性はともかく男性で2割って結構多いような気もしますが日本が少なすぎるだけなんですかね。

で、ここでは「なんで女性の方がこんなに減ってる?」ということに関して主な考察が書いてあるわけなんですがそれは割愛。
しかし一点、気になることが書かれていました。
該当箇所をそのまま引用します。

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Both men and women PhD candidates come to realize that a string of post-docs is part of a career path, and they see that this can require frequent moves and a lack of security about future employment. Women are more negatively affected than men by the competitiveness in this stage of an academic career and their concerns about competitiveness are fuelled, they say, by a relative lack of self-confidence.

Women more than men see great sacrifice as a prerequisite for success in academia. This comes in part from their perception of women who have succeeded, from the nature of the available role models. Successful female professors are perceived by female PhD candidates as displaying masculine characteristics, such as aggression and competitiveness, and they were often childless.
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この太字の部分、どう思いますか?
女性が研究者としてやっていこうと思わなくなる原因の一つに「研究者として成功している人・ロールモデルとなる研究者」の影響があるというのです。
そんなアホな、と思ってしまうのですが、どうもその成功者の力強さ、競争力をみて、『ああまでにならないとやっていけない』と思ってしまうことに理由がある、とこの記事では指摘しているようです。特に、ただでさえ研究費が削減されて困難な研究費の獲得や対外的な(一般向けなど)活動、研究そのもののextremeっぷりはかなりネガティブに映るようで、本コラムでもこれは指摘されています。まあこれは実際思いましたけどね、どうすんのよこれから(;´Д`)と。京大の山中先生もマラソンで資金集めに奔走したという話が有名ですが、ああまでしないと集まらないというブラックな話がなぜ美談扱いになってるのか理解に苦しみます。

このロールモデルの負の影響に関しては意識して思ったことはなかったのでなかなかに驚きました。でも考えてみるとよくわかるんですよ。これ女性研究者とか関係なく、経験ありませんか?ものすごいできる先輩を見て憧れる一方で、その人の苦労や挫折を目の当たりにすることで『ああ、あの人でもこんな風になるんじゃ俺には到底無理だ』と思ったり、第一線の研究者の「四六時中実験」「寝てない、ていうか寝ない」「10日に一本論文書く」とかいうウルトラパワフルな話を聞いてやっていける自信を無くしてしまったりとか。ちなみに研究者ロールモデルのパンフレット、目標としてもらうため、色々知ってもらうため、ぜひ目指してもらいたいために紹介してるはずなのに、内輪ですらドン引きな一日の生活スケジュールを正直に載せちゃってる人もいるので(5時出勤~2時帰宅(就寝ではない)とか)さすがにそれはもうちょっと考えて載せた方が人来るんじゃないかと思うんですよ(´・ω・`)

実力うんぬんの話は「まあ、そういうすごい人もいるけど気にすんな!」としか言いようがないのですが、生活面や研究費の問題はかなり深刻で、本コラムは「もっと待遇や雇用環境改善しないと女性研究者どころかアカデミア進むヤツ自体もっと減るぞ!」という風に最終的にまとめています。欧州の研究費削減はNatureやらScienceでも頻繁に取り上げられてますしかなり大変なようですね。日本でも博士倍増やら博士課程学費免除やら景気のいい話が最近出てきてますが、もちろんそれも重要なんですけど、もっと出口の方の改善(アカデミアじゃなくたって新卒至上主義の撤廃とか)を積極的に進めないと、ハーメルンの笛吹いて集めておいてからレミング集団入水みたいなことになりかねないので、その辺もっと重視してもらいたいものです。
と思ったら国立大教員に外国人を激増させる案もセットらしいのでハーメルンの笛→東尋坊のコンボにならないか心配ですわ。直接つぶしにかかった事業仕分けと比べたらだいぶマシな気もするけどどっちもアレ。てか外人が増えるような環境を作れば結果的に増えるはずなのにそれを目的にするってどうよ。これだって待遇改善しないと来ないよ?



posted by 樹 at 08:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学雑記 | 更新情報をチェックする
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