世界三大学術誌Cell、最新号の表紙がタンパク質を擬人化した女の子ということで話題に
(アレ待チろまん)
こういう注目を集める表紙になると全くの門外漢や科学にかかわってもない人からも食いついてもらえるので、そのインパクトは計り知れない物があります。事実、以前に同じCellの表紙をJOJOでおなじみの荒木飛呂彦氏が手掛けた際には2chまとめブログ等までもが取り上げて(中身についてはほぼスル―だけど)大騒ぎになりました。逆に日本工業新聞での記事は「表紙になった」くらいの取り上げ方で荒木氏に一切触れず、ずいぶんそっけなくて面白かったです。
取り上げた人によっては「萌えイラスト」とか言われているようですが、個人的には「ラブケミストリー」の表紙みたいでオサレだと思ってるんですが、これは私の萌えのハードルが一般人より高いからですかそうですか。まあ萌え云々言うのであれば2010年に登場したJ. Org. Chemの表紙に勝てるモノは未だに無いような気がします(何がすごいってこれだけ萌え萌え言われてるのにこの論文が日本発『じゃない』ところ)。
こういう表紙なりgraphical abstractは大体がその機能・効果を分かりやすく伝えるものになっていますが、分子の形をベースにした擬人化などでabstや表紙にインパクトを与えることも出来るはずです(分子が人型になってしまったナノプシャンシリーズは別、あれはあれで凄まじいインパクトですがw)。
[3/2追記:そういえば元素自体は既に萌え擬人化されてましたねw忘れてたw]
以下は個人的なイメージで書いておりますのでご了承くださいw異論は認める。
例えば有機金属触媒に欠かせないリガンド類。無数のデザインが存在しますが、中でも香月リガンドやTrostリガンド等のサレン型配位子なんかはもはやGP03デンドロビウム(ガンダム0083)やミーティア(ガンダムSEED)にしか見えません。その格好といい、中心金属の機能を強化する意味でもまさにパワーアップのための装甲と言えるでしょう。これらを使った論文を出される方は是非バンダイナムコにお願いしてabst、表紙に採用してみてください。

右がデンドロビウム・ちまっと真ん中に埋まってるのが
ポルフィリン類なんかも金属を四つのユニットで囲われてる感じなんか曼荼羅っぽくて、金属が中心に鎮座している感じがないですか?

と言いながら例えに曼荼羅じゃなくてゲームからシーモア最終異体(FF10)を持ちだす。ちなみに筆者はスクウェア時代のFF派、スクエニ時代じゃないのがミソ。リアルに曼荼羅での例を挙げるなら黄金聖闘士のシャカ(乙女座)を出すべきかしら。
こういう金属錯体やリガンドは大体が対称系が多いのですが、中には全然対称になってない物も。Jacobsenのクロムリガンドを初めて見た時は、左右のアンバランスさ、片側だけやけにゴツくなってるあたりでまじカッコイイ(゚∀゚)と思ったもんです。プロリン系触媒や岸不斉リガンドなんかもそれに通じるものがありますが。

例が特に思い浮かばなかったので超巨大武器持ちで知られるブラック★ロックシューターを持って来てみましたがさすがに無理があったか(;´Д`)
とまあ触媒リガンドだけでも色々想像力を書きたてるものがあるのでやろうと思えばなかなかにインパクトのあるAbstが作れそうです。なおこのエントリーは冒頭のCellの話+管理人の「サレン錯体がデンドロビウムに見えてしょうがない病」を端に発した発作的なものですw
では人工的なものじゃなく、天然有機化合物になんか面白い格好のモノは無いでしょうか。有名どころだとポリエーテル類は巨大な芋虫・ムカデのような格好に例えられていますが、カリチェアマイシンのような巨大かつ特異なエンジイン骨格を持った分子もなかなかにインパクトがあり、戦艦や宇宙船を見ているような迫力があります。

↑個人的にエンジイン部分が
ホワイトベース(ガンダム)のブリッジ(艦橋)に見えてしょうがなくてアレ
もっとストレートなものだとテロメスタチンやペンタメチルアナモキシ酸があります。ペンタメチルアナモキシ酸はまんま階段状分子ですし、テロメスタチンに至ってはウルトラマンの八つ裂き光輪まんまな格好。今すぐ分子模型を作って投げて遊びたい衝動に駈られます。是非論文誌でウルトラマンにテロメスタチンを投げてもらいたいものです。

上記は化合物の構造から色々例えられそうなものを挙げましたが、化合物の名前ではどうでしょう。以前にも「化合物の名前-ゲームやアニメに出てきそう編-」で取り上げましたがドラゴナミドなんて化合物もありまして、細長いあたりもとても龍にそっくりです(ぇ もし全合成等をされた場合にはドラゴンをクエストするようなabstや表紙を検討されてはいかがでしょう。ちなみにこの名前、drago beachで取ってきたシアノバクテリアに由来するので龍とは無関係です。

↑Dragonamideと龍。似てるでしょ、尻尾の辺りとか!尻尾の辺りとか!(力説
また最近ハイペリオンなんていう化合物も報告されております。ハイペリオンという名前自体はギリシャ神話の神ヒュペリオンがオリジナルですが、競走馬に駆逐艦に衛星に特撮映画と色んなものに付けられているので、表紙に選ばれた際にはお好きなものをどうぞ。

まあ表紙になるために論文を書いてるわけではないのでこういった話は本末転倒な気はしますが、昔と違ってフォローできる論文数が激増しているせいでabstの絵の影響がますます大きくなっていますので、ここまで極端なことはやらないにしても自分の研究を一枚絵でドーンと見せつけるにはどういう風にしたらいいか、というのも頭のどこかで考えながら研究するとよいかもしれません。表紙採用はなかなかないことですが、graphical abstractは殆どの場合書く破目になるわけですし。
そこいくとホント天然物合成のabstや表紙って経路示すばっかりで地味な気が・・・、いちいちデザイン悩まなくていいし、過程が分かりやすいからいいといえばいいんだけど。