2013年01月20日

試薬を飲ませた話

前回「更新頻度が落ちる」と言ったな、あれは嘘だ(何

塩酸を水で薄め生徒に飲ませる 愛知、中学教諭が「罰」
(朝日新聞)

生徒に希釈塩酸飲ませる=実験ミスで罰、健康被害なし−愛知(時事通信)

学校での体罰やらなんやらが話題に上っていますが、遂にはこんな話まで。実験ミスの内容が危険を伴う重大なものだったのかそうでないのかも気になるところですが(そうでないならコラッ!ぐらいで済む話だし、うまく結果が出ないというだけならそれはちゃんと考察の対象であり怒られるものではない)、塩酸飲ますってなにそれ。既に化学関係ブログやまとめブログも含めいろんなところで反応がでています。
そりゃ胃酸は塩酸だし(嘔吐した場合にのどがヒリヒリするのは胃酸でやられているため)、希塩酸なら食道くらいは問題ないでしょうが、大丈夫だからとか硫酸だったらどうだとかそういう問題じゃないです。化学薬品は食用厳禁。ましてや罰でやるなぞ論外中の論外。

個人的には、健康被害がなかったのはよかったことですが『健康被害なし』や『塩酸って胃酸だし』というのが独り歩きして『塩酸は飲んでも大丈夫!』という風に広まりやしないかというのが気にかかります(いつのまにか硫酸も大丈夫!とか尾ひれもつきそうだし)。

昔中学の理科の授業で水の電気分解の実験をやりましたが、この実験、『水』の電気分解とはいうものの、実際に使うのは劇物で酸よりタチの悪い塩基性のNaOH水溶液。水そのものだと電気分解にならないので電解液である水酸化ナトリウム水溶液を使うわけですが(Naは出てこないので)、これを

「『水』の電気分解に『NaOH水溶液』を使う」

「ってことはNaOH水溶液は水と同じだから飲んでも平気じゃね!?」


という変な方向に頭が回った同級生が高濃度NaOH水溶液を飲もうとしたという事件が実際にありました。実際には自分含めた周りが止めて(口にはかかったけど)、そのあと普段温厚だった理科の先生が大激怒の大説教ということになったのをよく覚えています。勿論飲んでいたら大惨事ですから当然ですが。

こういう小学生中学生対象のものですら危険なものを使うのが化学実験ですから、その危険性を含めて教えるのが教員であるはずです。冗談のつもりかなにか知りませんが、それを化学の入り口の段階から『大丈夫だ、問題ない』などという認識を持たせるようなことをさせるのは生徒の今後の安全管理・リスク認識に重大な悪影響をもたらすものでしかありません。

化学実験は使うもの全てが毒物・危険物であるという認識を常に持っておこなってください。

化学実験における事故例と安全

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posted by 樹 at 03:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 事故・爆発・毒物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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