というワイリーサイエンスブログのエントリーが出てたのでちょっと思ったことを。
Graphical abstractのインパクトの過激化(?)が目を引く昨今ですが(JOCの萌え萌え表紙とか
だからといって
3-Methoxypyrazoles from 1,1-dimethoxyethene, few original results
↑自分で言うなwwwっていうタイトルもどうかと思いますがw
さて最近思ったのは文章っぽいタイトルが増えたような、という感じがしてます。この辺はどうも分野に寄るような気もしますが、昔はそんなに合成分野にはなかったようなタイトルが増えたように思います。最近はライトノベルのタイトルも長文化してますし、それどころか政党名すら文章になってることを考えるとそういう時流なのかもしれません(それはない)。典型的なタイトルは動詞がない(動名詞とかは別)、例えば"Total synthesis of ○○"とか"○○, a sesquiterpene from ▽"とかなんですが、下のDanishefskyのものは
Total Synthesis of Peribysin E Necessitates Revision of the Assignment of its Absolute Configuration
と言った感じ。大半は"Total synthesis and structural revision of~"とか"Total synthesis and absolute configuration of~"なところに普段使わないnecessitateなんて動詞を使ってきたのでずいぶん印象に残っているタイトルです。
他で多いのは疑問文がタイトルになってるものでしょうか。
How Many Lithium Ions Can Be Inserted onto Fused C6 Aromatic Ring Systems?
や、前に二次軌道相互作用の話をしたときに挙げた
Do Secondary Orbital Interactions Really Exist?
Salvatella, L. et al. Acc. Chem. Res. 2000, 33, 658-664.
The Source of the endo Rule in the Diels-Alder Reaction: Are Secondary Ortibal Interactions Really Necessary?
Salvatella, L. et al. Eur. JOC 2005, 85-90.
もそのたぐい。読み手にも疑問を想起させて読む気にさせるナイス戦略。しかしこういうのを英語でやれるセンスがうらやましい。
逆にまるで説明になってないタイトルもあったり。"New synthesis of○○"ってあるのに何がニューなのか、手段も原料も書いてないものがあったりするとインパクトに欠けますね・・・はっ、実は「どこがニューやねん」と思わせて逆に読ませる巧妙な手段なのでは!!(ないない
で、なんでこんな話を書いたかというとwileyブログの他にこんなタイトルの本を見つけたからなので・・・↓
Catalysis (Wiley)
いやーザックリしすぎでしょこのタイトル
でもCatalysisの方の中身検索で目次見たらガチで全体的に網羅しにかかってるっぽいです。でももうちょっとなんとかならんかったのか・・・。なお2008年にもWileyから別の著者で同名の本が出ているがこちらはGreen chemistryにfocusを当ててる模様。Asymmetric synthesisは出版元のWileyのサイトを見るにどうやらこれ第二弾らしく、コンテンツを見るとC-H活性化やら無保護合成から解析手法まで最近の合成にも触れている様子。
以上、タイトルだけじゃ中身の良し悪しはわからんぞ、という話でした(あれ?