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レポート・実験データ等のまとめ
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材料化学・自然化学・疑似化学
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撤回された天然竜血分子が全合成で確かめられた話
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・水を脱水した話
・高校生が高価な薬分子を格安で作った、という話
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有機合成化学実験
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・光延"反転"の話
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・モレキュラーシーブスは塩基か酸性か
・TBAFにモレシな話
・モレキュラーシーブスの乾燥法で収率が変わった話
・原料の不純物で反応が行ったり行かなかったりした話

大学講義の初級有機化学
・フィッシャー投影式をジグザグ式に変換する方法
・ニューマン投影式の理解の仕方
・R/S表記やE/Z表記など

2012年06月10日

論文取り下げの話

最近JACS論文が撤回になったという話がありました。専門外なので詳細は言えませんが、これを知ったのがretractionwatchっていう研究不正監視サイト。世の中にはいろんなまとめサイトがあるのですが、こういった論文取り下げまとめサイトなんてのもあるんですね。

Retraction Watch

有用と言えば有用なんですがなんとなく
|Д゚)ω・`)Д´)∀・) ジー
ってみんなから監視されてる感じがしてアレ。
ちなみに確認出来る中で最古の論文retraction(英語)は1756年なんだとか。

The first-ever English language retraction (1756)?
(Retraction Watch)


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で、ふと思ったんですけどこういうのは大概生物・医学関係のモノが大半を占めて、珠に化学っていう感じですが、天然物の単離構造決定や全合成で、こういったretractionってあったっけな、と。反応モノではSames研のSezen事件やNaH酸化事件などありますが、単離合成モノでこういった話知らないなあと。あれだけ騒動になったHexacyclinol全合成も取り下げにはなっていませんし。※追記:2012/11/14にRetractされました。

何を全合成したの?Hexacyclinolの合成(Chem-station)
Hexacyclinol–The Data Debate (C&EN)
Hexacyclinol: A Forensic Case (In the Pipeline)、LaClair本人?がコメント欄に降臨

反応論文だと反応一発だから簡単に皆追試出来てしまう一方で、単離合成は山を登りきるまでで一つだからそれが困難だからかなーと(NaH酸化が取り下げになったのは手法がシンプルすぎて全世界で追試されまくってしまったことも一因)。
物取りだと「そいつが生産をやめちゃったから」という言い訳も通りますし(以前載せた『人工創薬分子が天然から単離された』という胡散臭い話も「取れた量少ないしもうとれないですぅ><」という一文(超意訳)が)、合成は合成で工程数かかるから周りも再現することは難しいし、できなきゃできないで「腕が悪い!合成経路が悪い!」とか言えてしまうし、何より追試する労力と時間の消費が半端じゃないので誰もやらないことが主原因かなと。

まあ何を以て論文取り下げに相当するかというのは難しいですが、天然物合成は「提出構造の合成と『確認』」が大半の場合目的であり、「『出来た』『一致した』と言う」だけで通ってしまう節があります(生理活性検定までしていれば別ですが)。よって、自身の研究のproofのためにはあいだの合成中間体−特に後半になればなるほど―の化合物フルデータを速報だろうがなんだろうがちゃんと提示しておくことが他の分野以上に重要になってくるのですが、大概そういう怪しげな論文はLetter・速報であるのを良いことに碌すっぽデータを載せてないってのが問題(それを通す方も通す方ですが)。上記のHexacyclinolもまるでデータがなく、LaClairが合成したという提出構造を再度合成して検証するしかないのですが、合成したと言い張っているものが実際には超不安定で取れないものだった場合(提出構造のHexacyclinolは見るからに不安定)には悪魔の証明になってしまうわけで。
(※超不安定天然物でもトロンボキサンA2やインドリゾマイシン、ビシクロブタンカルボン酸のように全合成によって構造が確かめられた例は数多くあります)

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2012/11/14追記分
遂にLa ClairのHexacyclinol全合成論文が取り下げになりました。ただその理由は「十分な実験データがない」とのこと。Acceptしといて今更その理由はないだろうに・・・。

Retraction: Total Syntheses of Hexacyclinol, 5-epi-Hexacyclinol, and Desoxohexacyclinol Unveil an Antimalarial Prodrug Motif
La Clair, J. J. ACIE

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実際、前の人が合成した全合成中間体を合成したのにそこから全合成が出来なかったりすることはままあります(論文中でも「彼らのルートを再現出来なかった」とか「出来たけど報告と違って収率めちゃ悪い」とか書かれます)。勿論ウデや試薬・溶媒純度に本当に依存しているものも中にはあるとは思いますが。

仮に追試出来たとしても散々苦労したところで「彼らの手法に従って全合成を達成した」というたった一文で片付けられてしまう&「ああ他人のに乗っかったのねw」とか思われるので報われた感はあまりなくションボリな感じではありますが、論文追試という意味では既知合成中間体からの全合成は学術的にはかなり重要なのではないでしょうか。というわけで形式全合成(途中でやめない場合)をやる人は「お前が本当に合成したのか、この私が試してやろう!」といった意気込みで研究を進めてはいかがでしょう。

もっとも大概はそこに到達した時点で力尽きてめげるんですけど

おまけ
rejectされた上にretractされた可哀想な論文(蝉コロン)

これはかわいそすぎる・・・(´・ω・`)

(6/11, 2:40くらい、後半部分を色々修正と追記)
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posted by 樹 at 19:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 研究・論文不正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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