2012年03月22日

化合物のお名前-そっくりさん編-

化合物のお名前シリーーズ!

というわけで誰も特に待ちに待ってないこちらのコーナー。
天然から単離された有機化合物は無数にあるわけで、どうしても似てしまう名前もできてしまいます。構造とかもまるで違うのに「これどうやって言いわけんの?」と思ってしまうほどにそっくりな名前もあったりします。そんなものを集めてみました。


まずはアルカロイドから「タシロミン」と「タシロニン」。英語だとtashiromineにtashironinだからだいぶ似てないけど日本語だとそっくりだからおk!(何
タシロミンの方は新反応を開発したときのダシ応用例としてよく合成されており、山のように合成例が報告されています。一方タシロ「ニ」ンの方はアルカロイドですらなく、構造もまるで別物。こちらはタシロニンそのものの全合成は未だ報告がないなど、一方のマーシー田代さんと比べるとずいぶん頑固なようです。

tashiro.jpg

次はスペルは違うけど発音そっくりなもの「pyrrolysine」。(正確にはプロリン誘導体ですが)ピロールのついたリジン(アミノ酸)なので、和名的には「ピロールリジン」という発音でなされるようですが、どう見てもpyrrolidine(ピロリジン)です、本当にありが(ry

pyrrolysine.jpg

お次はどちらも柑橘類から単離された化合物、「リモ『ネ』ン」と「リモ『ニ』ン」。一方はレモンの香りで有名ですが、もう一方のリモノイドであるリモニンの方は抗腫瘍活性が報告されている、まるで似てない複雑な化合物。問題はこれ、英語的に発音するとどっちも「リモニン」になってしまうんですよね。前者は正確には「リモニーン」だからいいのかもしれませんが、どちらにしてもややこしいったらありゃしない(;´Д`)

limonin.jpg

次ともなると、英語のスペルとしてもほとんど差のない化合物、その名も

「Elisabethin」「Elizabethin」

もはや間違い探しの域に達してきたような気もしますが、違いはsかzかだけ。和名的には前者が「エリ『』ベチン」で後者が「エリ『』ベチン」のようですが、どっちも元はエリザベスやんけと思うのは私だけでしょうか。てか英語だとどうなるんだろ。

elisabeth.jpg


ところでつい最近、Vanderbilt大学のLinsley教授らによって植物アルカロイドの全合成が報告されたのですが・・・


amabiline.jpg


完全に一致キタコレ


左がつい最近でた論文の方のamabilineで、ムラサキ科の植物から単離されたpyrrolizidineアルカロイド。右は彼岸花アルカロイドの方のamabiline。単離元すら異なります。右の彼岸花アマビリンが1993年に単離・構造決定・命名がされたのに対し、左のアマビリンは40年以上も前からこの名称が使われているそうです。なのに同一名称。どうしてこうなった。

化合物の名前は別に「命名委員会」みたいなところが決めるわけではなく、発見者の名づけたもん勝ちであるため、こういう事態になったのだとは思いますが調べなかったんでしょうかね・・・。逆に最初に発見した人が付ける名前がイコールその化合物として定着するかと言えばそうでもなく、後から見つけた人が命名したものが定着するパターンもありますし、一個の化合物がいろんなとこから単離された暁には、各単離者が各自で命名した結果、いろんな名前が付けられている場合も多々あるので調べるといろいろと面白いですよ。

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posted by 樹 at 09:00 | Comment(3) | TrackBack(0) | 化合物・反応お名前 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
amabiline構造式の下の名前、iが抜けてるよ(’’

完全一致してないじゃんと思った
Posted by at 2012年03月22日 11:37
ん?アマブリンとアマビリンじゃないんですか?どっちにしろ紛らわしいですけど。
Posted by さとう at 2012年03月22日 11:58
フォントでかくしすぎて気づかなかったorz
修正しました。
元の論文もアマビリンであってます。
Posted by かんりにん at 2012年03月22日 13:42
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