というわけで誰も特に待ちに待ってないこちらのコーナー。
天然から単離された有機化合物は無数にあるわけで、どうしても似てしまう名前もできてしまいます。構造とかもまるで違うのに「これどうやって言いわけんの?」と思ってしまうほどにそっくりな名前もあったりします。そんなものを集めてみました。
まずはアルカロイドから「タシロミン」と「タシロニン」。英語だとtashiromineにtashironinだからだいぶ似てないけど日本語だとそっくりだからおk!(何
タシロミンの方は新反応を開発したときの
次はスペルは違うけど発音そっくりなもの「pyrrolysine」。(正確にはプロリン誘導体ですが)ピロールのついたリジン(アミノ酸)なので、和名的には「ピロールリジン」という発音でなされるようですが、どう見てもpyrrolidine(ピロリジン)です、本当にありが(ry
お次はどちらも柑橘類から単離された化合物、「リモ『ネ』ン」と「リモ『ニ』ン」。一方はレモンの香りで有名ですが、もう一方のリモノイドであるリモニンの方は抗腫瘍活性が報告されている、まるで似てない複雑な化合物。問題はこれ、英語的に発音するとどっちも「リモニン」になってしまうんですよね。前者は正確には「リモニーン」だからいいのかもしれませんが、どちらにしてもややこしいったらありゃしない(;´Д`)
次ともなると、英語のスペルとしてもほとんど差のない化合物、その名も
「Elisabethin」と「Elizabethin」
もはや間違い探しの域に達してきたような気もしますが、違いはsかzかだけ。和名的には前者が「エリ『サ』ベチン」で後者が「エリ『ザ』ベチン」のようですが、どっちも元はエリザベスやんけと思うのは私だけでしょうか。てか英語だとどうなるんだろ。
ところでつい最近、Vanderbilt大学のLinsley教授らによって植物アルカロイドの全合成が報告されたのですが・・・
完全に一致キタコレ
左がつい最近でた論文の方のamabilineで、ムラサキ科の植物から単離されたpyrrolizidineアルカロイド。右は彼岸花アルカロイドの方のamabiline。単離元すら異なります。右の彼岸花アマビリンが1993年に単離・構造決定・命名がされたのに対し、左のアマビリンは40年以上も前からこの名称が使われているそうです。なのに同一名称。どうしてこうなった。
化合物の名前は別に「命名委員会」みたいなところが決めるわけではなく、発見者の名づけたもん勝ちであるため、こういう事態になったのだとは思いますが調べなかったんでしょうかね・・・。逆に最初に発見した人が付ける名前がイコールその化合物として定着するかと言えばそうでもなく、後から見つけた人が命名したものが定着するパターンもありますし、一個の化合物がいろんなとこから単離された暁には、各単離者が各自で命名した結果、いろんな名前が付けられている場合も多々あるので調べるといろいろと面白いですよ。
完全一致してないじゃんと思った
修正しました。
元の論文もアマビリンであってます。
日本語的にはブチン全く区別付きませんけど英語は英語でbutynとbutyneはどうやって分けるんですかねえ・・・
リシンは最初聞いたとき「やっべ、その辺にある天然アミノ酸なのに猛毒なのか!」とか勘違いしました
(´・ω・`)