2012年03月17日

学会発表の位置づけ

ネタは上がってるんだけど書いてる余裕なっしんぐ(じゃあこのポストはなんだ
というわけでちょっと思ったことを。

1) Japan fails to settle university dispute
Nature 2012 483, 259.


2) Final say
Nature 2012, 483, 246.



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今号のNatureに載っていた記事で、東北大総長の多重投稿疑惑についての論説です。「日本には大学等から独立した調査機関がないのでどうにかすべき」と言った内容ですがその辺はまあそうなんでしょうけどここでは無視。研究以前に利権やらなんやらも絡んでるという話もあるし。

疑惑の内容は、「論文発表した内容が、先行して発表された国際会議の議事録と酷似している」という2重投稿。国際学会の議事録が論文と同等の扱いを受けるってのがよくわからんのですが、分野が違うと扱いも違うってことなんでしょうか(Pure Appl. Chem.の内容がJACSと全く同じだったとかそういう感じ?)。

気になったのはそれに関連して引っかかってきたブログだか意見だかの中に

「学会発表含め一度業績として発表したものは本質的に同一の内容は重ねて発表できない」

とかいう意見まであったこと。
そんなこと言ったら少なくとも有機化学の分野の化学者のほとんどが多重投稿者になるんですが・・・。大体それでOnlyの業績として扱われるんだとしたら「データ等の審査がないので実験内容についてはザル」+「成果が追いつかれるかもしれないけど抜かれることはない」学会報告でみんな済ませて論文なんか誰も出さなくなる(出せなくなる)ような・・・。


じゃあ学会発表が業績にもならない無駄なのかと言えばそんなこともなく、先行して発表して押さえておくという意味もあるわけで(逆に学会発表でやったのを見られて相手にアクセルがかかり、論文発表を抜かれるという話もあるのでgkbr)。ではそれが先行発表としてどれだけの重みがあるかが難しいところで、この辺の加減が知ってるか知らないかみたいなあいまいな感じ。学会発表が先行してるから俺のが先だ!いやいや論文で発表してないだろお前!みたいなのがあったり、知ってた知らなかったという話にもなってくるわけで。いちいち学会のabstまで漁って論文書くわけにもいかないですから、もし知ってしまったら学会発表番号を参考文献で取り上げておくという風にするのがマナーかなあと個人的には思いますがどうでしょうか。


実際(当時)論文にはなっていない成果内容の(他の人の)学会発表を参考文献に挙げている例もあります(別に追いぬいたという論文ではなく、その成果を発信するフェアな気持ちからのものですが)。

Synthesis of bicyclo[4.2.0]octan-2-ol, a substructure of solanoeclepin A
Isobe M. et al. TL 2011 52, 1847-1850.


もっとも流石に個人的な交流で聞いた話で成果として抑えちゃうのはどうかと思うのですけど↓(ref 7に注目)それともGrant等での報告会をpersonal communicationとしているだけなのでしょうか。

Syntheses of the Stemona Alkaloids (±)-Stenine, (±)-Neostenine, and (±)-13-Epineostenine Using a Stereodivergent Diels–Alder/Azido-Schmidt Reaction
Aube, J. et al. J. Am. Chem. Soc., 2008, 130 , 6018–6024


とまあ、1週間後に迫った日本化学会年会やら薬学会やらを前にして思った次第でございます。学会自体は勉強目的で参加してるわけですが、前々から気になっていたので。

超余談
ポスター筒が荷物になって邪魔なので、iPadのでっかいのみたいなのでポスタープレゼンするような時代に早くなってもらいたいと思う一方で、あのポスター筒担いでると「がっかいはっぴょう!」って感じがするのでうーん。

by カエレバ
posted by 樹 at 09:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 有機化学雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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