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2012年01月23日

クモの糸とアリの話

クモと言われて思い浮かべるのは網を張るクモ、歩き回るクモのどちらでしょうか。この辺は人にもよりますが、地面を歩きまわる方と比べて別に注目しなくても目に入ってくる網を張る方がどちらかというと日本では印象として強い気がします。網を張らない方のクモに関しては私は小1の時にアシダカグモの一種(全長15cmくらい、動きが極めて素早い)が風呂場に入ってきてこれ以上にない恐怖を味わったことがあるのであばばばば。
それはそれとして、蜘蛛の糸と言えばすぐに思い浮かべるのが

・頑丈
・ネバネバ
・カンダタ

でしょう(最後なんか違う
実際蜘蛛の糸を強固な素材として実際に利用しようとする話もあります。その辺はChemStationさんでも話題に出てますのでここではスルー。
今回は頑丈さとネバネバ以外の話。
(※クモの写真は載せてないのでご安心ください)


クモの巣はどういう構成になっているかというと、地上など巣の足場となる場所と場所を結ぶ縦糸と獲物を捕獲するのに使う横糸からなっており、ネバネバするのは横糸のみです。縦糸はクモ自身が移動するように粘着性はありません。危険が迫った時には縦糸を伝って巣から足場(木など)に避難します。

spider web.jpg

というとまあ普通によくできた住まい位にしか思いませんが、よーく考えてみると外部と接続している縦糸に粘着性がないということはクモが逃げ出せるだけでなく、余所からの侵入者もそこからやって来れるということに他なりません。とはいうものの所詮クモの糸一本ですから余りに大きいのはやってこれないわけですが、アリのような小さい生き物であれば容易に巣に侵入出来てしまいます。

アリぐらい大したこと・・・と思うかもしれませんが一匹でもかなりの怪力な上に、絵にかいたような数の暴力で襲いかかってくるアリは小動物にとって極めて脅威です。極端な例で言えばサスライアリなどは集団での大行軍を行い、昆虫から牛に至るまで襲いかかって餌にしてしまったりと、小さいからと言って侮れない生き物です。

アリだー.jpg

しかしクモの巣にアリがびっしり、といった光景はそう見ません。その理由の一つとなる論文がこちら。

1) A novel property of spider silk: chemical defence against ants
Li, D. et al. Proc. R. Soc. B 2011 online
DOI:10.1098/rspb.2011.2193


2) Why Are Ants Rarely Seen on the Webs of Spiders?
(Chemistry Views)


ジョロウグモの一種から、特定のアリ3種に対する忌避物質を単離したというもので、見つかった物質というのが2-pyrrolidinone、あら単純。しかしこの2-pyrrolidinone、多くのアリが危険を知らせるフェロモンとして採用している物質でもあります。つまりこれを塗っておけばアリが危険と判断してやってこない、というわけです。

pyrrolidinone.jpg

クモの糸はねばねばしてるとか頑丈とかいうイメージですが、こういう天敵の忌避物質もちゃんとぬってあるんですね、よく出来たもんです。なお面白いことに、この物質は子グモからは検出されないそうです。危険じゃん!と思うところですが、子グモの糸だと細すぎてそもそもアリが渡ってこれないとのこと。うーん、ますます良く出来てる。

ちなみに全てのクモからこれが出てくるかというとそんなことはないので、種類によって別の物質を用いているのかそれとも何かまた別の理由があるのか、まだまだ謎の部分は多いです。
posted by 樹 at 10:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 生き物の化学物質 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
シロアリに効くといいですね。
単純な物質なので生産しやすそうですし。
Posted by CF3 at 2012年03月15日 19:10
>CF3さん

結構効果のあるアリが限られるみたいなので汎用性となると厳しいかもしれません。大量生産可能な点ではかなり優れているので何かしらの虫に対して使ったら案外効くやつもでてくるかも?
Posted by かんりにん at 2012年03月17日 01:35
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