以前にも何度か化合物の変な名前を紹介してきました。なかにはゲームに出てきそうな感じの中二病感たっぷりなものなど色々ありましたが、今回はもっと直接的にすごそうな、小学生大喜びな感じのスーパーでハイパーな名前を集めてみました。
過去ネタ:反応・化合物のお名前シリーズ
まずはSuperな化合物、スーパーストライド(superstolide)。共役不飽和ジエン2つにcis-デカリン骨格を持ったマクロライドで、強力な抗がん活性を持っており、なるほどスーパーな感じがします(なにそれ)。Roushらは23員環のビス-テトラエンマクロラクトンからの分子内Diels-Alder反応によってcis-デカリン骨格を構築し、全合成を達成しています。

次はなんとhyperな化合物、ハイペラスピン(hyperaspine)。3-oxaquinolizidine骨格を持ったアルカロイドです。

この”hyper”を冠した天然物はまだまだあり、ハイペロラクトン類(hyperolactones)もその一つ。その中のハイペロラクトンCは、別の天然物であるジンギベレン(zingiberene)と

Hyperのついた化合物の中でも特に多いのが、Polycyclic Polyprenylated AcylPhloroglucinol類(PPaPs)の化合物で、生合成経路解明の観点や生理活性に加えすさまじい骨格の複雑さから合成研究が盛んに行われています。その一つ、多様な生理活性、高密度にプレニル化された構造を有するハイパーフォリン(hyperforin)は柴崎―金井研によって緻密な戦略に基づく全合成が達成されています。また、最近になってハイパーパプアノン(hyperpapuanone)を含む多数のPPaP類天然物の効率的全合成がNature Chemistryにて発表されています。


The total synthesis of hyperpapuanone, hyperibone L, epi-clusianone and oblongifolin A
Nicole Biber, Katrin Möws & Bernd Plietker
Nature Chem. DOI:10.1038/nchem.1170
他のPPaP類の中のハイペリボンK(hyperibone K)ともなると、ただでさえ高度かつ高密度に官能基化されているというのにさらにアダマンタン骨格まで持っています。ここまで来るとさすがハイパーとつくだけはあるといった感じがします。このhyperibone KはPorco Jr.らによってclusiaphenoneからの不斉脱芳香族的付加反応により合成が達成されています。

さて、super, hyperと来て、他にはないもんかと思ったのですが、superも他にはみあたらないし、greatも見つかりませんでした。Ultraも天然有機化合物からは見つかりませんでした(群青色成分はultramarineでultraが付きます、ちなみに無機化合物)が、合成品で有機分子のウルトラを見つけることができました。ウルトラというとやっぱり光の国から僕らのために来たあの某ヒーローを思い出すところですが、その見つかった有機化合物というのが・・・・

ウルトラ”ミ”ン!!!・・・って惜しぃいいいっ!!
というわけで物取り研究者の方、取れた化合物にスーパーとかウルトラ・グレート・マーベラス等つけてなんかすごそうな名前にしてみるのはいかがでしょうか?ウルトラ”マ”ン、お待ちしております(ぉ
もちろんスペシウム光線撃ってる格好でw
なるほど。
さらに光照射のスイッチングで赤←→白にカラーリングを変えられたら完璧なウルトラマン!
誰かつくってーw