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2011年08月28日

水を脱水した話

(2018/08/22 リンク切れ修正)
たまにはネタ記事を。

水は生命に不可欠な物質であるせいか、生命力等々に結び付けたものや、逆に化学力(のようなもの)を売りにした怪しげな商品によく見られる物質でもあります。昨今の事情もあってこの手のものも増えてきているような気もしますが、こういうのは東西問わず世の中に出回っているものです。そんな中から今回紹介するのは名前からして突っ込みどころ満載なお水、

その名も"Dehydrated water"!!


  ( ゚д゚)    dehydrated water....
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
   \/     /
      ̄ ̄ ̄

  ( ゚д゚ )    "脱水"・・・水!?
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
   \/     /
      ̄ ̄ ̄

わけがわからないよ。

「蒸留水とかの間違いじゃ?」と思うかもしれませんが、蒸留水は"distilled water"、精製水は"purified water"であり、dehydrated waterである以上「脱水水」なわけです。水を脱水とか意味不明すぎます。

実はdehydrated waterは既に缶で存在しており、"Bernard dehydrated water"が良く知られているようです。その缶の中身は空!そりゃそうですねw
どうやらジョークグッズらしいこの缶は実際に存在する食品会社によって作られているようで、ご丁寧に栄養成分表まで用意されています。もちろん全ての値はゼロですがw

bernard deydrated DHMO.jpg

ところが世の中にはなんと「質量を持った脱水水」が販売されているようです。それがちょっと前のC&ENに紹介(?)されていたモノ。

1) Dehydrated water C&EN 2011, 89(8), 48.

2) More on dehydrated water C&EN March 23rd, 2011 • 10:03

C&ENで紹介されているこいつはAmazon.comでもバイヤー経由で購入できてしまうようです。ゲル状のものを封入したカプセルだそうで、その中身の正体は「ダイエット時の栄養補給になり、化学物質、鉛、栄養素、毒を含まない、塵のように乾燥していて軽量でコンパクト、保存容易な"dehydrated water"」だそうです、わーすごーい(棒

驚くべきことにこのカプセルはそのまま摂取するのではなく、
お湯でrehydrateし、溶解させて摂取する
必要があるそうです。何を言っているのかわからないと思いますが、書いてるこっちも訳が分かりませんw
せっかくコンタミがないきれいな脱水水を、世の中に出回っている汚い水と混ぜて飲むことになるんですけどどういうことなんでしょうか。

リンクは貼りたくないので貼りませんが、この業者のサイトにはFAQが載せられておりその中身について説明(どれもおちょくった感じのものですけど)がされています。どういうわけか商品の説明よりも「どうやったらうちに就職できるか」に重点が置かれたHPになっているのでますます意味がわからないのですが、その商品の説明に関するFAQにはこう書かれています。

-------------------------------
Q:
"Isn't dehydrated water basically 2 parts hydrogen and 1 part oxygen, which is basically the air you breathe when it is broken down? Did I miss something?

Response:
Yes, it appears you have missed something. H2O is regular hydrated water; the same polluted stuff that comes out of your sink. We do not offer H20 or hydrated water. As you can tell from our website, we only offer Dehydrated water.


-------------------------------

えっ?

なんということでしょう、どうやら我々が水だと思っていたH2Oは"hydrated water"だったようです。このwebsiteを見る限り、本気で売るにしてはえらくふざけた書き方なのでジョークの可能性もありますがそれにしてはたちが悪いような気がします。気になる方はC&ENを参照、もしくは"dehydrated water"でググると一発目にそのサイトが出てくるので見てみてください。

以上、これはアメリカでの話ではありますが、この手のモノは日本にだって水に限らずごまんとあるわけですからくれぐれも注意。大体えせ科学とかじゃなくても壮大なメリットばっかりを謳ってすり寄ってくるのは大抵怪しいのですけど。

ちなみにこれを書いてる途中、youtubeで"dehydrate water"を検索してみたところ、様々な会社からの胡散臭い粉末水のムービーが山のように出てきました。ツッコミ待ちなモノから本気で売る気なものまで色々あるので是非探してみてください。

あれ、この話有機関係なくない?

※2012年6月12日追記
世界初「粉末の水」完成 カップめんの技術を応用
(虚構新聞)←


安心の虚構新聞ネタですが、残念ながら既に粉末のドライ水は上に書いたように既に完成していたのです、虚構新聞破れたり!!(棒読み
トンデモ科学はこういう考え抜いたウソを上回ることやる(しかもそれで金を搾取)から困る。
posted by 樹 at 12:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 有機化学雑記 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
タイトルにつられた。ネタすぎて、笑わされました。
Posted by Nob at 2011年09月25日 09:24
>Nobさん
ありがとうございますw
こういうのも純粋にネタでやってるんなら無害なんですけどねえ・・・
Posted by かんりにん at 2011年11月06日 23:11
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