2011年08月06日

ネットコンテンツを参考文献に挙げる話

インターネットという紙、テレビ以外の、しかも個人が容易に情報発信者となれる手段が発達し、様々なコンテンツがネット上にあふれています。それもいわゆる便所の落書きから百科事典クラスまで玉石混交。情報ソースとしてネットのコンテンツを挙げる場合も多くなってきました。


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しかし、インターネットコンテンツは往々にして

いつでも簡単に内容を変えられる(悪く言えば改ざん)上に、変更したことが見た目分からない(紙媒体なら修正が入ったことがすぐわかる)

ものであるので、情報ソースとして挙げる際には注意が必要です。最近もレポート期間中だけwikipediaの内容を嘘に書き替えてた教授がいるとかいないとかいう話がtwitterに出てきて、学生らは怒りのポストを多数していたようですが、wikipediaなんてものはそれくらい危ういソースだということを認識しておくべきでしょう。

「誰にでも直せる→正しい物が残る」とか「ブリタニカ百科事典並に正しい」とかいうことが売りにされてるwikipediaですが、この「誰にでも直せる」ということはイコール

・誰かが直そうとしない限り修正されない
・今載っているものが正しいという保証がない
・最終的に正しい物が残ったとしても自分が引用した瞬間のそれが正しいものだという保証がない


であるわけで、修正の効かない、あるいは誰が修正したかが明確な紙媒体と比べれば参考に挙げるには極めて危険なものということは頭にいれておくべきだと思います。まあコピペが楽だからというのが大きいでしょうけど、切り貼りの文章なんて読めば一発でばれますから(TAとしての経験から)。

さて、レポート課題をwikipediaで片付けることの是非は置いといて、きょう日研究室のホームページや学術論文に至るまでのアカデミックなコンテンツもネット上に溢れるようになってきました。学術論文ですら紙媒体を廃止してしまう時代ですからもはやページ番号と言うもの自体が完全に形式的なものになってしまっているような気がします。実際、onlineには載ってるけどまだ正式な版にはなってない論文を参照する際にはページ番号ではなく「DOI」が論文に載せられています(昔の論文だと「in this issue」とか「in this journal」とかで書いてあって「だからどこのページだよ!!」と言いたくなる感じでしたが)。最近では論文のReference欄に個人のブログが載ってるなんて話も聞きます。

学術論文に置いてReferenceを打つ時には「著者」「論文誌名」「発行年、巻、号、ページ」「本のタイトル、出版社、版」などを書き記すわけですが、ではネットコンテンツを論文のRefereceとして参照する場合には一体どのようにすればいいのでしょうか。Journal of the chemical educationの論文でのウェブコンテンツの引用例を見てみると、


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(13) ChemSpider Blog Entry by Antony Williams (6 April 2010):
ChemSpider Mobile Goes Live. http://www.chemspider.com/blog/chemspider-mobile-goes-live.html (accessed Apr 2011).

(8) Byers, J. Chemical Ecology of Insects Web Site Home Page.
http://www.chemical-ecology.net/ (accessed Feb 2011).

(14) Home Page of the Janda Group at the Scripps Research
Institute, the Skaggs Institute for Chemical Biology. http://www.scripps.edu/chem/janda/ (accessed Feb 2011).

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と、この様になっています。URLを載せるのは当然として、ウェブサイトの名前や所属、著者・管理人の名前が挙げられています(管理人が非実名のハンドルネームだったらどうするんでしょうかね?)。

注目したいのは「自分が参照するためにアクセスした時期」が記載されている点(太字の部分)。つまり「アクセスしたこの時期には自分がreferした情報・サイトが存在していた」ことを明らかにし、将来ありうるサイト消滅、内容変更に対して対応しているのです。Referした情報が、後々読んだ人がアクセスしたときに見つからなかったりした場合には論文そのものの信頼性にも影響するので、親切心からというよりは自分のためという意味合いが強い気がしますが。特にサイトが消滅した場合には後釜がアダルトサイトになっていたなんて話もありますので、こういう風に明確にしておかないと後々訴えられかねないのかもしれません。

日本として公式にどう対応しているのかは分かりませんが、こういう対応にはやはりアメリカは早いもので、US National Library of Medicineは2007年の時点ですでにE-mailを含めたネット等電子媒体のciteの仕方、ルールを本で示しています。

Refereces
@Citing Material on the Internet
Chapter 22. Books and Other Individual Titles on the Internet
Chapter 23. Journals on the Internet
Chapter 24. Databases/Retrieval Systems on the Internet
Chapter 25. Web Sites
Chapter 26. Electronic Mail and Discussion Forums


in

Citing Medicine: The NLM Style Guide for Authors, Editors, and Publishers [Internet]. 2nd edition



AHow to cite a blog in an academic paper
in putting down a marker [blog, August 2011 accessed]
←早速つけてみたw

ネットコンテンツを普通に引用する時代に備えて、こういうアカデミックな形での引用のお作法を知っておいた方がいいのかもしれません(業界やjournalによってもスタイルが違うでしょうけど)。もっとも、参照した日付を足したり、上記のルールに則ったからと言って授業のレポートにwikipediaをReferenceとして挙げていいのかと言えば全くの別問題ですが。
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posted by 樹 at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 化学とネット・PC | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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