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2011年07月04日

スマートフォンと化学・教育

スマートフォン持ってますか?

i-modeの誕生以降独自の進化を遂げ、ガラパゴス携帯(いい意味でも悪い意味でも)などとも言われるようになった日本の携帯電話ですが、ここ2,3年でいわゆるスマートフォンといわれる次世代携帯電話が広がりを見せています。一方、スマートフォン先進国(?)のアメリカはというと、高校生の85%がiPodなどのmp3プレーヤー(一部はiPod touchなどネットと接続可能)、70%がノートパソコンやネットブック、30%もがすでにiPhone, Blackberry, Androidなどのスマートフォンを持っているという調査結果が出ているそうで、ほとんどの人が携帯可能なインターネットアクセスツールを持っているということになります。中でもスマートフォンの保持率は今後ますます増えると予想されています。

スマートフォンはこれまで以上にPCに近いスペック、特にインターネット接続、処理機能がPC同等になっており、携帯用ネットブック(なんか変な言葉ですが)と言えるほどの機能を持ったデバイスであり、電話-telephone, 遠隔地と会話するもの-以上のものになっています(というよりは通話機能の存在が薄くなりすぎて、もはや「電話」ですらない気も、。日本ではi-mode以降とっくにそんな感じですが)。

こういった高機能ツール、特に携帯性・ネットへのアクセスの容易さに注目し、スマートフォンを化学の教育の場に利用していこうという意見も出されています。


Smart phones, a powerful tool in the chemistry classroom
Williams, A. J. and Pence, H. E.
J. Chem. Educ. 2011, 88, 683.


アメリカ化学会(ACS)ではすでに科学論文や本を著者・タイトル・アブストなどから検索できるiPhoneアプリを出しており、イギリス化学会、Nature出版グループなどでもPodcastが利用できます。ChemSpiderも最近モバイル用に対応したそうです。

アプリでいうとさらに多くが存在しており、モル濃度などを計算するアプリ、化学データベースを利用できるもの、化学構造をスマホ上で描画できるもの等が上記の論文で紹介されており、ChemMobiというアプリでは3000万以上の化学物質についての構造・物性・市販されているかどうかなどの情報を検索できるようになっているそうです。

アプリだけではなくスマホの機能を利用した例では、記憶容量の増大とカメラの高性能化を利用し、ノートをとるのではなく黒板をカメラで撮影して保存したりノートをスキャンするなどの使われ方が既に大学の授業でも見受けられます。書かないと覚えられないような気がするんですがまあ新しいノートの取り方ですね。ただ中学高校でこれやったらスマホ没収されそうだから大学以上限定の方法かと思いますが。

中でもスマホの利用法としてこの論文の中で注目されているのがQRコード(いわゆる二次元バーコード)。これを化学の授業や研究で使っていこうという意見が出されています。QRコードはいわゆる昔からの一次元バーコードよりも多くの情報量を記述でき、携帯でそれを読み込むことでその情報にアクセスすることが出来ます。既に博物館や動物園、雑誌やショッピングモールなどで見られているように、QRコードにインターネットサイトのURLを記録させ、携帯で読み込むことで埋め込まれているサイトに簡単にアクセスして情報を得る、といった使い方がされています。

この意見論文では、このQRコードを試薬ビンや溶媒ビンに貼りつけることによって、薬品情報(データや取扱説明ビデオ)やMSDSなどへのアクセスが容易になる、としています。今は一次元バーコードリーダーを用意する必要、試薬販売会社のサイトなどに行ってMSDSを薬品の名前やCAS番号を打ち込んで探し出す必要があるので、各自のスマホで直接情報にアクセスできるようになればいちいちPCのところまで行かなくてもいいので便利。他にも、既に実験器具に2Dバーコードを貼り付けて使用方法などのビデオにアクセスできるようにする試みや、スマートフォンをclicker的に利用したりと、色々なことが行われているようで、そのためにiPhoneやiPod touchを学生全員に支給しているところもあるそうです(うらやましいと思ったけど考えてみたら学費に反映されてて強制的に買わされるような感じじゃないのかと思うとうらやましくないですね、それとも試験運用だからタダなんだろうか、レンタル?)。

個人的には授業中見せられるビデオ等が、QRコードを経由して授業後も各自好きな時に見られるようにしておけば便利なんじゃないかと思っています。何度もみられますし。

もちろん全てをこの様なデジタル機器に頼るのはよろしくないわけで、文明の利器を使うところとそうでないところをどう分けて行くかが重要な課題かと思いますし、デジタル機器利用による弊害(iPhone入試カンニング事件や、特にdigital divide問題)もあるわけですから、そういった対応も今後必須になってくるでしょう。

と、非スマホのガラケー持ち、あんまりデジタル化するのどうなのよと思ってる管理人がお送りいたしました。
説 得 力 な し!!
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おまけ
書くのやめようかと思ったけど話題になったこのニュース。

大学の「代返」防止します 学生証と座席で出席管理

試験の代返は別として、授業の代返ってそんな取り締まるほどのものでしたっけ。頼んだことも頼まれたこともないですが、出てたって聞いてないやつは聞いてないし、来なくたって分かってるやつは分かってるし。そんな「教育」と関係ない部分の管理に大金使うくらいならさっき上に挙げたような試みにもっと力を使う(スマホがまだ日本で浸透していないせいもあるとは思います)か、頼らないアナログな方法を考えるべきではないか、そもそも重きを置くところはそこなんですかと思う次第。
posted by 樹 at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 化学とネット・PC | 更新情報をチェックする
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