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2011年04月23日

R/S表記やE/Z表記など

新学期も始まったことだし、久々に基本的なやつを載せてみます。

不斉炭素.jpg

4つの結合手を持つsp3炭素はテトラポット状の形をしています。この置換基が図のように全て異なる場合、鏡にうつしたものとオリジナルとでは一致しません。つまり右手と左手の関係のように「殆ど同じだけど、完全に同じではない」ものになるわけです。

鏡像体の例.jpg


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これがどういった影響を及ぼすか。例えばハサミには右利き用と左利き用があり、右手でハサミを使おうとしたら右利き用のハサミを使わないとうまく切れません。我々人間の体はこのように鏡の片方の化合物で殆どが構成されており、薬は右手で右利き用ハサミを使うのと同じような理屈で効果を発現しています。そこへ、今まで効いていた薬などの鏡像体を持ってきた場合、右手で左利き用のハサミを使うようなことになってしまい、本来の機能が発現出来なくなります。「ハサミはハサミだけど、右手からしてみたらなんかうまいこと行かない」という感じ。つまり組み合わせが重要なのです。生理活性にどんな違いが出てくるかといった例は山ほど転がっているのでここでは一つしか挙げませんが、甘味料であるアスパルテームの場合、普段摂取している分子の鏡像体は甘味ではなく苦味をもたらしてしまいます。

アスパルテーム.jpg

このように光学活性、不斉の概念は創薬だけでなく食品や香料化学においても極めて重要であり、それぞれの炭素を「右手」「左手」と言ったような区別をつけるように取り決めておかないと、構造を見ていちいち解析しないといけなくなったり、色々呼び方や薬としての登録などで不便になってしまいます。そこで登場するのがR/S表記という絶対立体化学(ラセミ等の場合、ある一つの立体化学に対してどっちかという「相対的」な立体化学であるのに対し、光学活性体(鏡像体の存在しない)である立体化学は相対的ではない「絶対」的なものであるから)の表し方。ある炭素についている置換基に序列をつけてその向きでRもしくはSに分類しよう、というもので、ものすごく大雑把に説明すると、

1.周期表で後の方に来るやつほど強い。 例) H < C < O < Cl、

2.一番序列の低い置換基を自分の視点の逆サイドに持っていく。(試験問題的には大体Hが付いているのでC-Hを奥に持っていく)→一番弱い置換基が見えななくなる視点から残りの三つを判定する。

3.残り三つの置換基に序列をつけ、右回りなら(R) 、左回りなら(S)とする。

4.問題にしている炭素原子を出発して、一つ目の炭素で決着がつかない場合には次の炭素、それでもだめなら次、と繰り返す。

5.二重結合等は同じものがくっついているものとする。 (C=Oなら O-C-Oとしてカウント)

6.早く力尽きたヤツは負け。 (-CH3などで行きどまる)

RS表記.jpg

大体これで決められます。具体例は↓の通り。乳酸とカルボンを例にしています。めんどくさいので最初から一番順位の低いC-Hを奥にやった形で書いていますが、乳酸の場合には一番強いのが水酸基の「O」が不斉中心の隣りにくっついているのでこの側鎖が一番、次に右にあるカルボニルと左にあるメチル基との比較になりますがカルボニルの方が酸素原子が付いているのでC-Hしかないメチル基よりも上、というわけで2番。これを序列順にぐるっと回すと左回りに=(S)体ということになります。

カルボンの場合にはちょっとややこしくて、一番目はもっとも置換されている右下、残り二つは同じメチレン(-CH2-)なので次の炭素鎖で判定することになります。そして次に行くと左下の側鎖には酸素原子が付いているのでこいつが二番目。なので残りが三番目。これを矢印で追うと右回り=(R)となります。間違えてはいけないのはRだのSだのは分子そのものの絶対立体化学ではなく、不斉炭素一個一個に対して与えられるものだということ。6こ不斉炭素があれば6個それぞれに対してR,Sを判定しなければなりません。なお、R, S斜体ですので注意。

RS表記 例.jpg

Sp2平面の場合でも同じようにRe面、Si面と言った分類法があります。この分け方は分子の立体云々よりも、反応時の面選択性を説明する際に使われます。

ReとSi面.jpg

と、長々書きましたが、大学院生や研究室配属された人なんかにとってはこんなのは常識ですが、有機化学始めたての学生にとっては結構めんどくさい問題。特に上記のルール(Cahn-Ingold-Baldwin則)を分かったとしても一体どっちがRでどっちがSだったかごっちゃになることも良くある話。RSの語源もラテン語でよーわからんし。

そんな人は

(R)体 ⇒ Right ⇒ 右回りの矢印

つまりR体のRは"Right"の"R"」だという風に覚えておけば簡単かと思います。Rの文字を見ただけで想起しやすいですし、S体は当然その逆、左回りの矢印と言う風に自動的に決まります。Re面、Si面に関しても同様にしてまとめて覚えてしまいましょう。

が、E/Z表記(の覚え方)に関してはちょっと問題がでてしまいます。

EZの例.jpg

炭素−炭素2重結合についている置換基が同じ側を向いていれば(Z)、そっぽ向いていれば(E)のオレフィンと言う風に命名されます(置換基の順位は大体前述同様)。Zはドイツ語のZusammen、EはEntgegenから来ているのですが、困ったことにZ、Eという文字の形から思い浮かべるのとは完全に逆の形の幾何異性として定義されてしまっています。ドイツ語を第二外国語などで勉強していれば何の問題もないですが、全員ドイツ語を取っているわけはないですし。

そこで、ちゃんと相対配置もイメージできるような確実な覚え方を考えてみました!置換基の気持ちに立って覚えてみましょう!







Z ⇒ 『ずっと・・・一緒だよ////』
Z-オレフィン.jpg

E ⇒ 『ンガチョ!』
E-オレフィン.jpg

どうです?これでE/Zを簡単に覚えられるだけでなく、置換基の向きまでイメージ出来ちゃうはずです!!(キリッ
是非使ってみてください。なおこのせいで余計ややこしくなったとしても当方では一切の責任を持ちませんので念のため(ぇ

関連エントリ
・フィッシャー投影式をジグザグ式に変換する方法
・ニューマン投影式の理解の仕方
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posted by 樹 at 13:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 基礎有機化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
R,Sは自分もRは"Right"右(回り)で覚えています
E,ZはZの上と下の平行線(?)上に同じ置換基がついてるってことで覚えてます
Posted by at 2011年05月01日 22:55
ども、管理人です。
やっぱりR=Rightですか。他の方がどうやって覚えてたのかも気になってました。特にEZはドイツ語で覚えちゃってたので。
Posted by かんりにん at 2011年05月03日 22:48
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