化合物の名前-ゲームやアニメに出てきそう編-: たゆたえども沈まず-有機化学あれこれ-
よくアクセスがあるものをまとめておきました。右バーのカテゴリ別も参照ください。

レポート・実験データ等のまとめ
・研究室に貼っておくと便利な表などをあつめてみた(現在も随時更新追加中)
・検索・計算に使える化学サイトをあつめてみた
・特殊記号の出し方・ショートカットキーまとめ
・MS WORDショートカットや特殊アルファベットの入力法まとめ
・Powerpointのショートカットキー
・出版社ごとのオープンアクセス化費用をまとめてみた(有機合成化学向け)
・ネットコンテンツを参考文献に挙げる話
・情報ソースはウィキペディア、な論文の話
・タダで読めるけど・・・-オープンジャーナルのあやしい世界
・最近のOLのはなし

材料化学・自然化学・疑似化学
・ボーイング787の窓の秘密とクロミック材料の話
・アメフラシの紫汁の謎
・タコが光ってもいいじゃなイカ!-青い毒タコ・ヒョウモンダコ科の秘密-
・やけど虫の毒と抗がん活性
・世界一大きい花の臭いの話
・竜の血の赤、虫の赤
・撤回された天然竜血分子が全合成で確かめられた話
・はじけるキャンディ・ドンパッチの話
・危険なDHMO? SDS(MSDS)の話
・水を脱水した話
・高校生が高価な薬分子を格安で作った、という話
・人工分子は天然に存在しないのか―抗がん剤分解物は妖精さんだった話―
・創薬分子が天然から採れた!!と思ったら・・・な話

有機合成化学実験
・Swern酸化の利点
・光延"反転"の話
・実験、爆発:やってはいけない組み合わせ
・モレキュラーシーブスは塩基か酸性か
・TBAFにモレシな話
・モレキュラーシーブスの乾燥法で収率が変わった話
・原料の不純物で反応が行ったり行かなかったりした話

大学講義の初級有機化学
・フィッシャー投影式をジグザグ式に変換する方法
・ニューマン投影式の理解の仕方
・R/S表記やE/Z表記など

2011年03月04日

化合物の名前-ゲームやアニメに出てきそう編-

まじめなネタ続けちゃったので疲れた、ので小ネタをはさむ(ぉ

前にも有機化合物の名前を紹介しましたが、オカダ酸にマンザミンなど、人の名前以上に豊富な名前が存在する(かぶっちゃだめだし)のでさまざまなものがあります。そんな中で今回はなんかゲームとか漫画とかに出てきそうな臭いのしそうな名前のものを集めてみました。


まずは天然物から、深淵・アビス(abyss)の名を冠するポリケチド型抗生物質アビッソマイシン(Abyssomicin)。複雑な格好をしていて上の環はアトロプ異性体も存在できるくらいにきつきつになっています。なんでアビスなんて名前が付いているかっていうと深海で取れたからでしょうね。実際単離も深海微生物からですし。
abyssomicin C.jpg

※追記------------------

他にもアビッシノン(Abyssinone)アビッセニン(abyssenine)と言った天然物もあるようです。
abyssinone.jpg

------------------------

次は謎(enigma)という名の化合物、エニグマゾール(enigmazole)。クマの一種じゃないよ!なんで謎(enigma)なんて名前が付いているのか謎です。いやほんとは調べてないだけなんだけど(ぉ
(※追記 海綿の一種、Cinachyrella enigmaticaから取れたからのようです。じゃあなんで海綿の名前にenigmaが入ってるのかっていう話ですが、それは相変わらず不明。)

エニグマゾールA.jpg

※追記------------------
Enigmaなんてちょっと小難しいこと言わないでそのまんまなお名前、その名もクェスチオマイシン(questiomycin)なんてのもいたりします。Answermycinとかはないんでしょうかね。
questiomycin A.jpg
------------------------

そして中にはこんなのも。その名もAngelic acid!
angelic acid.jpg
「エンジェリックアシッド!!」とかなんか技でありそう、FAIRY TAILあたりで。
それにしてもエンジェリックアシッド、エンジェル酸、天使酸なんてずいぶんとロマンチックなお名前じゃないですか・:*:・(*´∀`*)
二つ並べるとまさに天使の羽っぽい感じでクリスマスあたりにカポー(※couple)向けに宣伝したったら流行りそう。天使酸マジ天使。

と、言いたいところですが、正式な和名はエンジェル酸でも天使酸でもなく、
「アンゲリカ酸」
と実にしょんぼりなお名前(´・ω・`)
まあアンゲリカ(アンゼリカ)種の植物から主に取れるから当然そういう名前になる(というかangelicというのもangelicaから来てるし)のはそうなんだけど、もうちょっと洒落聞かせてほしかったなあと思ったり(もっとも、angelicaの学名自体が「天使」に因んでいるので結局一周して天使の意味になるんですけど)。あと、二つ並べて天使の羽に見えるのは、アンゲリカ酸のE/Z異性体であるチグリン酸の方がそれっぽく見える気がします。
tiglic acid.jpg

アンゲリカ酸自体はエステルとしてアロマテラピーにも使われるカモミールなどのアロマ抽出液にも含まれているそうです。なおさら「エンジェル酸含有!天使の香りを貴女に」みたいなあおりでやれば売上上がりそうですね。是非アロマ屋さんは試してみてください、嘘はついてないし。ただ、エンジェル酸なんて名前のものはないからこの辺で法律に引っ掛かりそうな気がすごいしますけど。「エンジェリックアシッドが含まれています」にしとけば問題ないかしらん?その辺はしーらないっと、自己責任自己責任。
ちなみに「天使 酸」でググってもangelic acidは出て来ず、ヒアルロン酸がらみの美容モノしか上がってきません。商機!!
他にもangelを冠した化合物としてアンゲリシン(angelicin)やアンゲリカラクトン(angelca lactone)という天然物もあります。
アンゲリシンとか.jpg

似たようなものでは「摂理」、「神意」、「神(最初を大文字にした場合)」というずいぶんと神々しい意味を持った単語"providence"を冠したプロヴィデンシン(providencin)という化合物もあります。フラン環、エポキシ化されたγラクトン、エキソメチレン+水酸基の生えた多置換シクロブタン環などかなり複雑な構造をしたフラノセンブラン型ジテルペンで、John Wood, Johann Mulzer, Dirk Traunerらを始めとしたグループが合成研究を行っていますが、今も全合成は達成されていません。(※プロヴィデンシア島から取れたからこういう名前のようです)
providencin.jpg

すごくどうでもいいんですが、「プロヴィデンス」というと聖闘士星矢ハーデス編のタナトスの必殺技を思い出してしまうのは僕だけですかね?(オサーン発見!)
ガンダムSEEDにプロヴィデンスガンダムってのもいたけど。

---------------------
2012 2/20追記
ゲームと言えばおなじみRPG、といえば龍と勇者。
こんな化合物もあるのです、ドラゴナミド!

dragonamide.jpg

まさにゲームにありそうな名前。
長ーい身体な感じがまさにドラゴン!(ぉ
実際にはdrago beachで取ってきたシアノバクテリアから見つかったからなのでドラゴンと関係ないのが残念。
---------------------

さて、天然物を外れると色々あるんですが、特にあんまり有機化学とかかわってない人から見ると「デス・マーチン試薬」はそういう臭いのする化学物質に思われているような気がします。「デス」って響きのせいでしょうけどね。ちなみに「デス」は「Daniel B. Dess」というお名前。「Death」じゃないよ!
あと個人的にはメルドラム酸はなんかドラクエにありそうな感じ。
DMP.jpg

他にも魔法-Magic-を冠したものもあり、マジック酸(magic acid)、マジックブレット(magic bullet、TCIの製品でFAB-MS用のマトリックス)、マジックメチル(magic methyl、Methyl fluorosulfonateの別名。ちなみにmagic acidとこれはGeorge Olahの発明品)などがあります。
これの中国語名が面白くて、順に
「魔酸」、「魔术子弹」、「魔幻甲基」
となります。もうRPGに出てきてもおかしくない感じ。特に魔幻甲基なんかからだに装備できそうです、レアアイテムかしらん?
ちなみに中国語での「甲」は炭素数を表しており、炭素1個分のことです。

マジック酸.jpg
magic bullet.jpg
magic methyl.jpg

他にも色々あると思いますが、これらの試薬を作ったりターゲットにする際には是非、
「くくく、この俺に魔幻甲基を使わせるのはお前が初めてだ・・・・、光栄に思いがいい!!」
みたいな邪気眼的行動に出ながら実験をするとまた一味違うかもしれませんね。周りからどういう目で見られるかは知りませんがw
posted by 樹 at 03:54| Comment(2) | TrackBack(0) | 化合物・反応お名前 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>マジックブレット(magic bullet)
ここ見て「あれ、弾丸ならバレットじゃないの?」と思ってリンク先見たら「マジックビュウレット」と書いてあって、「もしかして東京化成の人ビウレット反応と混同してる?」とか思ったんですが、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%A0
>ただし英単語 bullet は本来「ブリット」のように発音し、日本語に音写するにしても普通なら「ブレット」となるところ。「バレット」は一種の慣用読みということになる。
とあって、バレットというのは日本で定着してる書き方なんだと気づきました。

>ただ、エンジェル酸なんて名前のものはないからこの辺で法律に引っ掛かりそうな気がすごいしますけど。

どこかで目薬の箱に「涙の主成分ポタッシウム配合!」と書いてあったというネタを読んだことがあります。
カリウムも言い換えれば新薬みたいな響きになりますね。

マジックメチルは実はすごい猛毒だったりします。
白衣に数滴付着しただけで、しばらくして肺水腫で死亡した例があるとか。
ただホスゲンと同様に遅効性なので症状が出るまでに数時間掛かるので、RPGで「ポイズン」の代わりに「魔幻甲基」とか設定しても、1戦闘に何時間掛かってるんだという突込みが入りそうですが。
ちなみに硫黄とメチル基の間に酸素が入ってない化合物もあって、通称はフメットというそうですが、こちらもマジックメチルに負けず劣らずの猛毒だったりします。

ちなみに神経ガスのタブンは、中国語で「塔崩」という字を当てます。
国崩しとかコロニー落としみたいでなんかライトノベルに出てきそうなセンスですね。
Posted by CF3 at 2012年03月15日 20:22
>CF3さん
まあ結局はメチル化剤ですからねえ。
それにしてもそんな猛毒だとは、メチル水銀の話思いだしました。

Bulletはブレットと発音した方が近いですね、バレットは日本語でしかみないです。

>「塔崩」
パイルドライバーか何かですか?(違
Posted by かんりにん at 2012年03月17日 01:38
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック