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・ニューマン投影式の理解の仕方
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2011年01月29日

ニューマン投影式の理解の仕方

たまには基本的なのも。

化学構造を表す方法には色々なものがあって、分子の形などを理解したりするのにそれぞれに適した描き方が出来るようになることは重要であり、分子の空間認識や結合の出方(sp3炭素が正四面体状になっている等)を頭に入れられるようにするには様々な投影法での描き方が出来るようになって置かないといけません。以前はフィッシャー投影図の変換法を紹介しましたが、今回はニューマン投影式の話。


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Newman投影式は二つの炭素を結ぶ結合の延長線上から分子を見た図を表す方法で、もっぱら置換基同士の立体反発などを理解する際に用いられます。Newman投影式はどこの炭素―炭素結合を基準にするかで書き方が変わってきますが、下ではn-butaneの例で、真ん中二つの炭素を結ぶ結合に着目した形を書きました。この場合、元々のジグザグ型をそのままNewman投影式に直すと、それぞれの置換基(Me)が最も離れた安定配座であるantiになります。この様に別の投影式に直す時には一気にやらずに段階を踏んで行った方が間違えません。(clickで拡大)

newman 基本アンチ.jpg

こうみるとまあジグザグからでも直せなくはないと思います。しかしこのNewman投影式から別の形に直そうとした場合、どうもNewman投影式特有の書き方のせいで、どう直していいのか分からない場合が有機化学初心者に見受けられる気がします。

Newman投影式は手前の炭素とそこから生えている3本の結合、奥の炭素とそこからの結合3本を放射状に書いたもので、手前と奥の炭素の3つずつの結合をずらして書くことで2個炭素があることを示しています。この図には真ん中に円があるのですが、Newman投影式の定義として「○」は後ろにある原子の中心、手前の原子の中心は手前の三つの結合を結ぶ「点」という風になっています。こうすることで完全に重なっている前後二つの原子を区別しています。

newman 解説.jpg

が、その定義そのままでイメージすると、同じ炭素だというのに手前の原子と後ろの原子の大きさが違ってしまうため(しかも手前が「点」で奥が「円」なので遠近法としても変)、どうやらこれで手前と奥の炭素のつながり方が分からなくなってしまうようです(そうでなくても○が無駄に大きいし)。単に手前と奥は単結合(σ結合)でつながっているので深く考える必要はないのですが、点と円という大きさの差が気になってしまわないようなイメージを思い浮かべるなら、円の部分を丸太に例えるとちょうどいいかと思います。
newman anti.jpg

このように真ん中の円を丸太と解釈しその両末端からそれぞれ3本結合が生えていると思えばよいのです。ぶっといけど単結合であるというイメージはわくかと思います(実写newman投影図みたいだし)。更に角度を変えたものを載せるとこんな感じ。(clickで拡大)

newman picture.jpg

もちろんこれは理解のための極端な話で、炭素から出ている結合の長さは、くっついているものによって変わりますが、この図みたいにダックスフントみたいな長さにはなっていませんのでそこは注意。

さて、Newman投影式には置換基の重なり方によっていくつか呼び方があり、手前と奥が完全に重なっているものをeclipse(但し、本当に重ねてしまうと分からなくなるので便宜上ちょっとずらして描く)、60°ずれているものをgauche、手前・奥それぞれの炭素の中で最も大きい置換基(この場合手前も奥もMe基)が180°離れている形をantiと呼びます。
newman投影図3種.jpg

これをどうやって感覚的に理解するか。そこで先ほどのn-butaneの図を改編し、Me基を「頭」と「尾」、Hを「足」に置き換えて動物に例えてみましょう。そうすると、もっとも置換基が重なるeclipse型は
newman犬正面.jpg

犬(別にネコでも馬でもいいけど)を真正面から見た形とみることが出来ます(clickで拡大)
。gauche型の場合は(clickで拡大)

犬gauche.jpg

(ノ∀`)おっと失礼
ってな具合に丁度ひっかけて片足上げてる犬を正面から見るとまさにgauche!!なおもっとも立体障害の少ないantiですが、もう上で書いてるしそれを動物で例えるとねじれて死んじゃうので載せません。

また以前紹介したフィッシャー投影式の変換の際に「フィッシャー投影式で書いた分子が立体的にはどうなっているのか」を書きましたが、これも動物で例えるとするとこんな感じ。(clickで拡大)

fischer図.jpg

猫やら犬やらが仰向けになっている(つまり背骨部分以外の手足は上を向いている)というイメージで考えることが出来ます。実際には単なる仰向けと言うよりは更に反り返ってイナバウアーかましてるようなイメージになりますけど。

以上、Newman投影式のイメージの仕方をポストしてみました。理解の一助になれば幸いです。余計こんがらがったらごめんなさい。

ちなみにこの後半の動物で例えるネタのパクリ元参考サイトは下のサイトのこの記事。

Master Organic Chemistry

↑英語だよ、がんばって読んでね!

このサイトは学部生のための有機化学講座のようなサイトですが、載っている内容は極めて詳細且つ濃ゆいもので、研究室に配属されて実際に有機実験に携わるようになってもかなり参考になる内容(確かに基本だけど、本当の初心者の頃に教えられても「なんのこっちゃ」ってなるので授業的にはすっ飛ばされるような内容等)も含まれていますので是非チェックしてみてください。

関連エントリ
・フィッシャー投影式をジグザグ式に変換する方法
・R/S表記やE/Z表記など
・糖(アルドヘキソース)の覚え方

by カエレバ

by カエレバ
posted by 樹 at 04:45 | Comment(2) | TrackBack(0) | 基礎有機化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本文より抜粋:「さて、Newman投影式には置換基の重なり方によっていくつか呼び方があり、手前と奥が完全に重なっているものをeclipse(但し、本当に重ねてしまうと分からなくなるので便宜上ちょっとずらして描く)、30°ずれているものをgauche、手前・奥それぞれの炭素の中で最も大きい置換基(この場合手前も奥もMe基)が180°離れている形をantiと呼びます。」


この一連の説明ですが、gauche形の所は30°ではなく60°ではないでしょうか?読んでいて「あれ?」と思ったのでコメントさせていただきました。
Posted by QB at 2012年01月15日 19:33
>QBさん

オウフ・・・なんというアホな間違い、訂正しました。
ありがとうございます。
Posted by かんりにん at 2012年01月15日 19:57
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