2010年10月27日

フィッシャー投影式をジグザグ式に変換する方法

いきなりマニアックな話から開始して誰得な感じですが、今回は一気に話を基礎的なところまで下げてみます。ますます対象が誰だかわかりませんねw

有機化学を初めて最初の難関はFischer投影式の変換でしょう。Fischer図とは魚の背骨見たいな構造式の書き方で、主鎖の中で酸化度が最も高い官能基を上に持ってくるルールがあります。一方ジグザグ式はその名の通り、主鎖をジグザグに横にのばしていくタイプ。有機化学の試験で「Fischer式をジグザグ式に直せ」という問題は鉄板と言えます。それだけ分子や骨格の立体認識を確実にするためにも重要なことなのです。
糖1.jpg

ではFischer式からどうすれば楽に変換できるでしょうか。そのためには炭素原子がどういう形で結合を伸ばしているかを頭に叩き込んでおく必要があります。炭素原子(sp3炭素)は正四面体型になるように4つの結合を伸ばしています。この形をFischer式のルールで書くと、横に出ている二つの結合は紙面手前、縦の結合は紙面裏に出ていることになります。
糖2.jpg

これをもう一つ炭素鎖が伸びたもので見てみると、図のようになります。
糖2-5.jpg

このようにFischer式での形では、主鎖が紙面手前に向かって盛り上がっている、猫背見たいな格好になっているのが分かります(Fischer式の図を左から見たものを書いてみるとよくわかります)。

では更に長いものになるとどうすればいいのか。ここではD-glucoseを例に見てみましょう。Fischer式ではそれこそ魚の背骨っぽい感じが出てくる位長くなってますが、やることは同じ。Fischer式の縦軸は紙面手前に向かって盛り上がっている山なわけですから、それを左から覗いてやった形に書きなおすと図のようなものになります。
糖3.jpg

こうして真っ平らな感じのFischer式からクサビの付いた立体っぽい構造式へと変換したら、後はそれをジグザグに直すだけ。と言ってもここの作業で立体化学を間違えてしまうことが多々ある他、頭の中で色々ねじった結果、わけがわからなくなるなどと言ったこともあるでしょう。それを防ぐためには、特定の炭素の部分だけ変えればよいのです。つまり、ジグザグの上(または下)の山に既になっている部分は固定し、そうなっていない部分の官能基の向きをひっくり返せばよいのです。その際、手前に来ていた官能基はひっくり返した後では後ろ側に向いていることに注意してください。
糖4-5.jpg

こうして向きを直していきます。下図では奇数番号の炭素をひっくり返しています。
これでFischer投影図からジグザグへの変換はおしまいです。(clickで拡大)
糖4.jpg

さて、Fischer式からの変換の際に「左から見る」としましたが、これにも理由があります。特に糖のFischer式を変換する際には左から見た図を書いておいた方が便利なのです。つまり、左から見た図を下図の要領で変換するだけで、糖の書き方のルールに則った(こう書かないとテスト的にもバツを食らうし教授がキレます)6員環型の糖構造へと容易に変換することが可能なのです。ちなみに6員環から上下に官能基が出ている形をHaworth式と言います。(clickで拡大)
糖5.jpg

こうしておけばいちいち頭の中で炭素鎖をねじらなくても簡単に変換できます。でも一番重要なのはsp3炭素原子の手の出し方が正四面体方向であるということを認識しておくことにあります。こうやって空間的な認識を持っておけば、複雑な分子になっても大体の構造が頭の中で思い浮かべられるようになるからです。一番いいのは分子模型をいじくりたおすことなんですが・・・まああれ高いんですよね。

関連エントリ
・ニューマン投影式の理解の仕方
・R/S表記やE/Z表記など

・糖(アルドヘキソース)の覚え方

by カエレバ

by カエレバ

posted by 樹 at 01:34 | Comment(6) | 基礎有機化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
さんざん悩んでいたのですが、このページを見て解決しました!!
このページが一番フィッシャー投影式がわかりやすいです♪
Posted by SK at 2012年02月05日 15:14
>SKさん
ありがとうございます、そういってもらえると作った甲斐があったってもんです。
Posted by かんりにん at 2012年02月09日 01:38
他のサイトと違ってとても分かりやすくて、この記事を見ながら何回か練習していたら書けるようになりました。ありがとうございます!とても助かりました。
Posted by えり at 2016年01月07日 17:22
>えりさん
そういってもらえると書いた甲斐があります。期末試験シーズンですねえ。
Posted by かんりにん at 2016年01月08日 22:34
Posted by at 2016年07月13日 16:30
そもそもジグザグになってないのもありますが、1番大きいのは上2つと下ではカルボニル(アルデヒド)のある側が逆なので、そろえるようにひっくり返しましょう(つまり楔の向きは全部逆になる)。
Posted by かんりにん at 2016年07月14日 01:25
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: