2018年05月24日

トリアゾール環を機能素子として使った話 その2:環そのものを機能素子化した話

はい、大分あいだが開いてしまいましたが前回の続き↓

トリアゾール環を機能素子として使った話 その1:金属触媒反応への利用


TriazoleIntro2.jpg


アジド―アルキンの[3+2]クリック反応で簡単に作れるようになった1,2,3-トリアゾール環。
前回は金属触媒反応への利用、トリアゾールをぶっ壊したりリガンドにしたりといった使い方でしたが、今回はもっとダイレクトに、トリアゾール骨格そのものを使った例をまとめました。

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2018年05月07日

トリアゾール環を機能素子として使った話 その1:金属触媒反応への利用

前回は急遽Publonsの話にしましたが、本来はこっちを先にする予定だったのよ(ヽ'ω`)
というわけで、前々回の続き(?)。

アジドを自在に区別して色々とくっつけた話

前々回はアジド基をコントロールして反応させる話をしましたが、その際メインとなっていたのはアルキンとアジドとの環化によるトリアゾール環の形成です。このトリアゾール環は極めて頑丈なので、簡便に2分子(以上)をくっつけるにはもってこいの反応のため、広く多用されています。

が、このトリアゾール環、「分子と分子を簡単にくっつける」というクリックケミストリーのお題目のせいか、単なる『分子と分子をくっつけるための接合部』という雑な認識しかされていないんではという節が多々あります。まあくっつけるという目的においては余計な事されると困るからそれはそれでいいんでしょうけど、あれだけしょっちゅう見るようになって簡単に作れるようになったせっかくの複素環なのに、何にも使えない使われないというのではあんまりな話。

ですがさすがにそんなわけはありません。
クリックケミストリーが頻繁に用いられるケミカルバイオロジーやメディシナル分野においてトリアゾール環(N1位置換、つまり真ん中以外のNで置換されたトリアゾール)はアミド結合部位の生物学的等価体となることが知られており、簡便に合成でき環構造による配向性制御が可能という点でペプチドミメティクス分子のデザインでも重要な素子となっています。

TriazoleIntro2.jpg
T. L. Mindt, et al.
1,2,3-Triazoles as Amide Bond Mimics: Triazole Scan Yields Protease-Resistant Peptidomimetics for Tumor Targeting
Angew. Chem. Int. Ed. 2013, 52, 8957.


1,2,3-Triazoles as Amide-bond Surrogates in Peptidomimetics
CHIMIA 2013, 67, 262.


とはいうものの、さてこのトリアゾール、もっと他にも使い道は知られていないのでしょうか。
今回はそんな話をまとめました。
ところで一口にトリアゾールと言ってもclick chemistryで有名になった方は1,2,3-triazoleで、他にもNの位置が異なる1,2,4-triazoleがあります。これもこれで複素創薬分子とかであるのですが、今回は1,2,3-triazoleに話を絞ります。

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2018年04月24日

査読歴と紐付いた研究者プロフィールサービス・Publonsを試してみた

新年度始まりましたね(今更感)。と言いながら新年度っぽい話は一切しません(ぉ
ワシも残り少ない(たぶん)ので「沈まず」とか言ってるけどどうなることやら(ヽ'ω`)

さてそんなことはさておき、よせばいいのに例によって結構なボリュームのやつを投下しようとヒーヒー言いながら書いてたら、こんなのがちょうどChem-Stationから!

研究者向けプロフィールサービス徹底比較!(Chem-Station)

最近山のように押し寄せ、登録が必須になりつつあるプロフィールサービスが重要度順に紹介されています。特にORCIDは論文投稿にすでに必要だし、ResearcherID、Researchmapも公募や今後科研費申請とかにも必要になってきそうでなんか色々登録するもん増えて大変(;´Д`)
あ、CVにはこれらのリンクは貼ってます。

実はこの手の話、だいぶ前にしようとしてめんどくさいからやってなかったんですが、今回便乗する形であんまり書かれてなかった、ほかのサービスと比べて査読に特化したサービス・Publonsの話をすることにしました。

publon0.png
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2018年03月19日

アジドを自在に区別して色々とくっつけた話

はいどもー、ブログでの個人による身勝手な直接発信の集積で混乱をもたらしてる人ですこんにちは!(՞ةڼ◔)

(24)科学論文は広く社会のためにある (野依良治の視点, JST)
※一応言っときますが、御大がここで言ってるのはわけのわからんトンチキ学説や胡散臭い理論(一次情報)をちゃんとした論文や学会無視してブログやらSNSで直接かつ一方的な発信する輩の話ですからね、念のため。


さてそんな話(ぉぃ)は置いといて、今回はすっかりクリックケミストリーでメジャー官能基に出世した感のあるアジド基の話です。

0 azide.jpg

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2018年02月23日

博士課程学生が論文の責任著者(Corresponding Author*)になってる話

もう博士論文公聴会シーズンも終わり、国公立あたりだと修士論文とか卒論発表真っただ中といったところでしょうか。論文かいてるー?

さて博士論文や修士論文は書いてる学生本人だけの単著ですが、科学関係での学術論文は研究室のボスを少なくとも含んだ複数著者によるものが殆どです。そして論文にはかならずその内容についての責任を負う人間がおり、責任著者(corresponding author、コレスポ)と呼ばれます。大概の論文は名前にアスタリスク*がついているのがそのコレスポで、2000年以降の論文だと本人のメールアドレスが発表グループを代表して掲載されています。責任著者、って言うからにはなんかあったら責任取らなきゃいけない人のはずなんですが、なんとなく世間的には単純に『一番偉い人』みたいな認識。あんまり責任取ってないケースが多いような。このコレスポは一人だけとは限らず、共同研究とかのため複数人いることも最近は多くなってきましたが、基本的には研究室を主宰しているボスがコレスポ*として名を連ね、実働部隊の学生やらポスドクやらはなんも付いてないパターンが大多数かと思います(その代わり名前の順番、特に1st authorをめぐって(ry

まあこの辺の裁量は割と学術分野でも変わるので断定的には言えないものもありますが、いずれにせよ、科学や医学では学生のうちからテーマ自分で一から考えて研究するなんて現実的に難しい話なのでこのコレスポ*として論文に載るってことはあまりないし、僕が学生の時はかんがえもしなかったのですが、特にそういう傾向のない化学やバイオロジーの分野でも学生がこのコレスポになるケースもあるようです。

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posted by 樹 at 08:00 | Comment(0) | 有機化学雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする